第1回鳴門教育大学運営諮問会議議事要録

日時

平成12年7月7日(月)  13:30~16:35

場所

A3会議室(人文棟6階)

出席者

井内慶次郎 委員((財)日本視聴覚協会会長)
大塚  公  委員(大塚化学代表取締役会長)
亀井俊明  委員(鳴門市長)
桑原信義  委員(徳島銀行相談役)
佐藤修策  委員(湊川女子短期大学長)
高木弘子  委員(元 徳島県教育委員会教育委員長)
高倉  翔  委員(明海大学長)
中野重人  委員(日本体育大学教授)
野原 明   委員(文化女子大学教授)

欠席者

青木武久  委員(徳島県教育委員会教育長)

陪席者

溝上学長,佐々木副学長,福岡副学長,百足事務局長,橋本附属図書館長,山本学校教育実践センター長,田中第1部学部主事,高橋第2部学部主事,西村第3部学部主事中川第4部学部主事,吉田第5部学部主事

岡本総務部長,大塩教務部長,土居庶務課長,陶山会計課長,稲垣施設課長,入江教務課長,臼井図書課長,森田入学主幹

会議次第

(1)開会

  総務部長から会議の開会が告げられた後,溝上学長から,本会議の設置に至るまでの経緯に関する説明,並びに本学の管理・運営に対し指導・助言等を賜りたい旨の内容を含めた挨拶が行われた。

(2)出席者紹介

  委員名簿順に各委員から自己紹介が行われた。なお,青木委員は公務のため今回欠席している旨,総務部長から説明が行われた。
  引き続き,大学側から陪席している教官,並びに事務局部課長の自己紹介が行われた。

(3)日程・資料確認

  総務部長から,「第1回運営諮問会議配付資料一覧」に基づき,配付資料の有無について確認 が行われた後,日程説明が行われた。

(4)議事

  1. 会長・副会長の選出について

    溝上学長から,運営諮問会議規則第6条に基づき,会長・副会長の選出方法とその職務について説明が行われ,委員の互選により会長に井内委員を,副会長に桑原委員を選出した。

  2. 鳴門教育大学の概要について

    溝上学長,佐々木副学長,福岡副学長から「大学の現状と課題」及び「大学改革」等について,それぞれ資料に基づき説明が行われた。

    <説明項目:溝上学長>

    • 組織の概略について
    • 学生や社会のニーズに応じた教育研究体制について
    • 教育実践力の涵養について
    • 学修機会の拡大について
    • 評価と目標について
    • 地域との協力について
    • 課題について

    <説明項目:福岡副学長>

    • 大学院学校教育研究科入学状況及び現職教員の派遣要請等の取組について
    • 大学院修了者(現職教員以外)の就職状況について
    • 平成12年度兵庫教育大学大学院連合学校教育学研究科入学者状況について
    • 学校教育学部受験状況及び受験者獲得のための取組について
    • 学校教育学部卒業者就職状況及び卒業・修了生に対する就職支援行事について
    • 平成12年度教員採用試験倍率について
    • 学術交流協定締結・学生交流状況について
    • 外国人留学生受入状況について

    <説明項目:佐々木副学長>

    • 自己点検・評価,授業評価等について
    • 単位互換制度について
    • 外部評価について
    • 地域との連携について
    • 外国との接点・連携について

    運営諮問会議委員からの意見等

    1. 大学の理念,特色等について
      • 運営諮問会議委員の発言

          学部入学定員の削減等,困難な状況の中で,文部省の方針等を受けながらも,鳴教大として未来に適用できる一貫した目標・方針,或いは特色についてはどのように考えられているのか。

      • 大学側の発言

          本学は「教師教育」,「教員養成」に特化した大学・大学院として出発しているので,その他の多角経営というものは考えず,そこに我々のアイデンティティを求めなくてはならないと考えている。
          本学の特色を出すため,一般的には教育職員養成審議会答申における基本的な立場を維持 しながら,学生には大学の周辺地域の自然・文化についての理解等を深めさせ,それを教育に 生かすための方策を十分に学ばせるとともに,地域で展開している視野の広い国際交流面にも触れてトレーニングを積ませることを考えている。

      • 運営諮問会議委員の発言

          特色ある大学を作るポイントは「入口と出口」にあると思う。入口については教官自らが学生を集めるよう努力するとともに,集めた学生は責任を持って指導を行うようにすればよいと思う。また,学生を集めるためには当然,出口面の配慮も重要であり,教官が責任を持って学生を就職させるような方向を打ち出す必要があると思う。

      • 運営諮問会議委員の発言

          私立大学では建学の精神・理念を授業の隅々に生かせる形にしているが,国立大学ではその面が薄いように思う。建学の精神・理念をどう発掘して,それを維持・存続させるかを考えることが必要だと思う。

      • 運営諮問会議委員の発言

          鳴教大が地域に密着し,地域との関係を大事にするのは大変よいことだが,地域を更に広げて接触していく ことも必要だと思う。徳島大学教育学部以来,残されている地盤(近畿地区等)を再度構築していく努力が必要だと思う。

      • 運営諮問会議委員の発言

          地元がこれだけバックアップしてくれている大学は他にはないと思う。これは鳴教大創設以来の歴史であり特色だと思う。その点を十分踏まえ,これからは非常に難しい時代ではあるが,いろいろと努力して頂きたい。

    2. 大学院学校教育研究科について
      • 運営諮問会議委員の発言

          現在の教員には,学級崩壊等に対応するためクラスマネージメントに関する力量が問われている。大学院において学校経営,学級経営について焦点を絞り込んだコースの設定は考えられないか。

      • 運営諮問会議委員の発言

          大学院で新設する教育臨床コースについては,今後,如何に個性を出していくかが大切なことになってくると思う。特に当該コースを修了した者の就職が学校ではなく病院等への方向へ流れると,他大学と全く変わらないことになり,更には内容が学校教育関係から離れていくおそれがある。

      • 運営諮問会議委員の発言

          大学院の総合学習開発コースの説明文中,「国際理解,環境,情報と生活」とあるが,学習指導要領の中に出てくる字句にあまりにも縛られすぎているのではないか。

      • 大学側の発言

          当該コースは「人間学」=「原論」を中心に据え,「環境」,「情報」,「国際」の全ての面から「人」 との関わりで組み上げている。つまり「人間とは何か」,「ウェル・ビーイングとは何か」を追求する方向で,総合的な学習の時間に対応できる教員を実践面から養っていきたいという考えである。

      • 運営諮問会議委員の発言

          現職教員の派遣側からみれば,大学院へ行ってどこが良くなったかということが大事なことであるので,大学側としては良くなって現場に戻るということを説明できるようにしなければならない。

      • 運営諮問会議委員の発言

          教育委員会に対しては,大学が何を行っているか,更に他大学との違いを比較した資料を渡す等,説明する上でも工夫する必要があると思う。
          また,修了生を対象とした共同研究システムとしての組織化を各都道府県に展開すれば教育委員会側も評価するのではないかと思う。

      • 運営諮問会議委員の発言

          10年の経験を持つ現職教員の中には,授業は非常によくできるがクラスマインドは全くできない,或いは授業の中身を生徒に理解させるという点で非常に問題があるという教員がいる。3教育大学は現職教員の再教育,専修免許の取得という点でもっと活用されてもよいのではないか。

      • 運営諮問会議委員の発言

          学校教育現場では,修士課程レベルの研究をしてきた者を十分に使い切るまでに成熟していな い面があると思う。卒業生・修了生に対するアフターケアを行うとともに,教育現場に寄与することにより学校側から現職教員を大学院へ送り出す意識にさせる等,組織的な方策を考える必要があると思う。

      • 運営諮問会議委員の発言

          現職教員の院生を増やす方向で更に努力する必要があると思う。そのためには全国区を対象とした大学院として,派遣要請活動を47都道府県全てで行ってもよいと思う。遠方の地域の者を受け入れることにより,大学だけでなく,院生にとってもプラスになると思う。

      • 大学側の発言

          大学院については,徳島県から毎年50数名の現職教員を派遣して頂いている。その他にも数は 少ないが,青森県や沖縄県等から本学に来て研究に勤しんでいるという状況がある。
          漠然と大学院へ来て単に教養を身につけるのではなく,大学院で何を得て,それを現場でどのよ うに活かすか ということを明確にしなければならないと思う。

    3. 学校教育学部について
      • 運営諮問会議委員の発言

          学部学生が教員免許状を取得した際に十分な実践的指導力が担保できるようカリキュラムや指 導の充実に 一層努力を重ねるとともに,鳴教大で得られた成果が一つのインパクトとなって全国を駆けめぐるような効果を期待したい。

      • 運営諮問会議委員の発言

          学部の小学校教育専修の中に英語科教育コースが設けられているが,これは小学校における英語教育に予め対応するために設けられたのか。

      • 大学側の発言

          ことばと異文化の理解に強い関心を持ち,「総合的な学習の時間」における国際理解教育に携わりたい人のために設けられたコースである。

      • 運営諮問会議委員の発言

          環境的にも「量より質」という点が強調されてくると思う。玉石混淆に学生を集めるのではなく, 質の向上を図る上で「石」を入れないように努力すれば,全国から応募者が集まり,なおかつ多くの「玉」が入学してくるようになると思う。

      • 大学側の発言

          本学の学生には,教師という職業の持つ意味を早く自覚・認識してもらいたいと思っている。教員になることが本来の立場であるが,いかなる職業に就いてもその基盤となり,広い意味での教育者になるという,高い理想と使命感を持つよう期待している。

      • 大学側の発言

          需要の多い都道府県(東京都,神奈川県等)では若干ずつ採用枠が広がってきているので,指導教官,就職指導関係者を通して,学生に挑戦するよう指導を行っているところである。ともかく学生の進路を保証することが我々の大きな使命である。

      • 大学側の発言

          学生には充実した学生生活がおくれるよう,また大学生として地域で奉仕をする熱意も持ってもらいたいと願っている。そのためにも学生と対話する場を設け,学生の声を聞くとともに,我々が期待することを述べることも大切なことだと思う。

    4. 教員の任期制について
      • 運営諮問会議委員の発言

          新教育大学の教官(助教授又は助手)は学校現場で1年間授業を行い,児童・生徒の指導を行う等すれば,大学における授業や研究面にも役立つと思う。大学教員の任期制を導入し,教育委員会と人事交流をすればどうか。

    5. 国際交流について
      • 運営諮問会議委員の発言

          国際化の一環としては,外国人留学生の受入れが一つのバロメーターになる。特に私費外国人留学生を受け入れる上でどのような工夫を考えているか。
          また,外国人留学生をどの程度受け入れる目標を持っているのか。

      • 大学側の発言

          文部省の外郭団体からの奨学金は支給する人数に限界があり,交流協定校全てに対して平等に振り分けることは難しく,予算の関係で近隣国の学生しか受 け入れらない。更に全般的な経済不況もあり,私費留学生は極めて少ないため 受入目標が立ちにくい。但し,大学としては,例えば学生宿舎を日本人学生との混住形式とすることを考える等,国際交流を一層押し進めていく体制作りをしている。
          今後とも民間を含めて奨学金を増やす努力をしていく必要があると思う。

      • 運営諮問会議委員の発言

          外国人留学生の質の問題で何か特色が出せないか。特に私費留学生に対してはいろいろ知恵 の出し方があると思うので検討願いたい。

    6. 生涯学習社会への対応について
      • 運営諮問会議委員の発言

          近年,学校以外のところで教育・学術・文化の生産エネルギーが出てきており,これには大学が企業から学びとるものがあると思う。今後は「生涯学習社会の展開」への対応についても考慮して頂きたい。

      • 運営諮問会議委員の発言

          現在,30大学で通信衛星を利用した公開講座を行っており,各大学のセールスポイントとなる講義を公開講座として全国に発信している。鳴教大においても地元等の協力を得て鳴門の文化を背景とした教育内容の講義を作り,全国へ発信する等,「新しい高度情報通信社会の展開」に対する取組についても検討して頂きたい。

    7. 地域との連携について
      • 運営諮問会議委員の発言

          「地域連絡協議会」とは,どのような内容の会議なのか。

      • 大学側の発言

          当該協議会は,徳島県下の教育関係,民間団体関係,国際交流関係等から12名の方を委員として委嘱し,年1回開催している。具体的には学生と地域との連携,地域に開かれた大学としての在り方等を中心に,教育・文化フォーラム関係,フレンドシップ事業関係,地元におけるボランティア関係等について議論が行われている。また,国際交流関係としては留学生と地域との結びつきについても話し合われている。

  3. その他(次回の会議について)

      井内会長から次回会議の持ち方等について質問が出され,溝上学長から「次回は大学が『どのような目標を設定し,どのように実行しているか,或いは実行しようとしているか』ということを具体的にお示しし,それに対してご助言,ご指摘等を頂きたいと考えている。」との説明が行われた。

(5)閉会

井内会長から,第1回運営諮問会議を閉会することが告げられた。

最終更新日:2010年03月19日

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