自己点検・評価報告書 (言語系(英語)教育講座)  藪下克彦

報告者 藪下克彦

1.学長の定める重点目標

1-1.教育大学教員としての授業実践

(1)目標・計画

  教員志望の学生の中には、教科書のレベルの内容が理解できれば教壇に立つことができると思っている者が多くいるが、「簡単な」内容でも生徒に理解させるには深い造詣が必要であることに気づかせるような授業をしたいと思っている。
  それに伴い、成績評価も客観的な基準に基づいて行うことはもちろんであるが、授業内容の意義、学問的背景理解、自発的探求などの質的な努力をくみ取るようなものにしたいと思っている。

(2)点検・評価

  • 学部と院の専門科目において、しばしば講義内容に関係のある文法事項と中学校の教科書に見られるその事項の説明を紹介した後、私がその項目に関していろいろな質問をする実践を行った。この実践により、受講生たちに、「無知の知」を体験させ、さらに、初等・中等レベルの教科教育を行うためには、より高度な学問的水準が要求されることを認識させることができたと考えている。
  • 授業の成績の評価に、出席回数や定期考査の結果のような基準だけではなく、授業中の質問、発言、意見発表などの意欲面の質的基準も入れている。特に、英語リーディングの授業では、授業中の質問、発言、意見発表の回数を記録し客観的に評価を行った。

1-2.大学教員としての社会(地域)貢献

(1)目標・計画

  好むと好まざるに関わらず現在進行しているグローバリゼーションの中、大学教員も世界基準を意識した研究を行わなければならないと考える。そのため、国際学会、学術誌においての研究発表につとめるとともに、国際学会、ワークショップの開催を予定している。また、研究活動の成果を、そのままの形ではなく、公開講座などの場で現場また一般に分かり易い形で地域に還元したいと考えている。

(2)点検・評価

  • 6月18−19日に宮崎国際会議場で開催された第4回「自然言語意味論の論理と工学に関する国際ワークショップ」の企画・実行委員を務めるとともに研究発表を行い、論文がプロシーディングに掲載された。11月8日にカリフォルニア大学ロサンゼルス校で開催された第一回「日本語・韓国語の意味論・語用論に関わるワークショップ」をソウル国立大学チャンミン・リー教授と共に企画・実行し、ならびに研究発表も行った。12月17ー19日にアムステル大学で開催された第16回「アムステルダム・コロキアム (Amsterdam Colloquium)」で研究発表を行い、その論文がプロシーディングに掲載された。3月21—23日に、マサチューセッツ大学アムハスト校で開催された第18回「意味論と言語理論」(Semantics and Linguistic Theory)で研究発表を行った。
  • 研究題目である動的意味論と談話文法の研究成果を鳴門教育大学公開講座『小学校英語担当者のためのやさしい英語教室』において、「コミュニカティブな文法とはどんなものか?−情報伝達の立場からのヒント−」と題して、英語の文法教育への示唆として発表した。

2.分野別

2-1.教育・学生生活支援

(1)目標・計画

  担任をしている学部学生が3年生になるので卒論内容、ゼミの決定を中心に相談にのり指導していきたいと思っている。また、ゼミ生に長期履修の3年生が一人いるので修論指導とともに教採試験の支援にもつとめたいと考えている。

(2)点検・評価

  • 研究室でお茶を飲みながら担任をしている学部3年生を中心に、なにげない世間話をしたり、ゼミの決定などに関する相談にのったりした。ゼミ決定の後も、引き続き、教採や生活に関する相談や話を聞いたりした。
  • 担任をしている長期履修生は、教採試験の支援が役に立ったのかどうか定かではないが、神戸市中学校英語教員の正式採用が決定した。

2-2.研究

(1)目標・計画

  1. 平成18年度内地研究員として大阪大学で行った研究成果を論文にまとめるとともに、明らかになった課題に関しての研究をすすめる予定である。
  2. 科学研究費補助金などの研究助成の公募に積極的に申請し、学外資金の調達に重点を置く。

(2)点検・評価

  1. 平成18年度内地研究員として大阪大学で行った研究成果を以下の形で発表した。6月18−19日に宮崎国際会議場で開催された第4回「自然言語意味論の論理と工学に関する国際ワークショップ」で、 “A Modal Scalar-Presuppositional Analysis of Only” と題する研究発表を行い、プロシーディングに掲載された。11月8日にカリフォルニア大学ロサンゼルス校で開催された第一回「日本語・韓国語の意味論・語用論に関わるワークショップ」で、 “Partition Semantics and Pragmatics of Contrastive Topic”と題する研究発表を行った。12月17-19日にアムステル大学で開催される第16回「アムステルダム・コロキアム (Amsterdam Colloquium)」で “At Least and At Most: Against a Modal Analysis”という題目で研究発表を行い、プロシーディングに論文が掲載された。3月21—23日に、マサチューセッツ大学アムハスト校で開催された第18回「意味論と言語理論」(Semantics and Linguistic Theory)で “A New Approach to Contrastive Topic: Partition Semantics and Pragmatics”と題する研究発表を行った。
  2. 科学研究費補助金申請を計画していたが、準備が間に合わず、次回の申請に向けて準備続行中である。なお、今回は、『「形式意味論と形式語用論の研究・教育拠点グループ」の実現に向けて』という大阪大学大学院言語文化研究科・准教授・緒方典裕氏を研究代表者とする基盤研究B(一般)の申請に、研究分担者として加わった。

2-3.大学運営

(1)目標・計画

  前年に引き続き、大学院教務委員会委員として、本学の運営に貢献する。

(2)点検・評価

  前年度に引き続き、大学院教務委員会委員として、大学院教務関係の議題審議、講座また学生との連絡調整などを行い、大学の運営に貢献できたと思っている。

2-4.附属学校・社会との連携、国際交流等

(1)目標・計画

  1. 授業(「教科教育実践」、研究授業)などのおりに、附属学校教員との交流を深め、共同研究の環境づくりに務める。(附属学校)
  2. 大学と地域・社会また留学生との交流、相互理解を図る事業に取り組みたい。(社会連携、国際貢献)

(2)点検・評価

  1. 付属小・中学校に教育実習、研究授業などの機会に何度か足を運び、その時には、付属の教員の人たちとは、懇談の機会があるが、正式な研究会・懇談会には至ってはいないが、平成20年度できるだけ早い時期の開催を目指し予定を調整中である。
  2. 公開講座『小学校英語担当者のためのやさしい英語教室』で講師を務め、地域・社会との連携をおこなった。また、毎年、日本語教育指導助手として英語コースから1人受け入れてもらっているオーストラリアのバロッサ・バレーにあるFaith Lutheran Schoolという中等学校の日本語担当のEckermann先生とその夫で昨年までその学校の校長先生だった夫妻が、日本旅行中の10月9日に鳴門で英語講座として歓迎会を開き、日豪の教育事情、日本文化、日本での英語教育、オーストラリアでの日本語教育などについて懇談した。

3.本学への総合的貢献(特記事項)

  重点目標の一つである「大学教員としての社会(地域)貢献」と「研究」の目標・計画としてグローバル時代の国際的研究の発表を掲げ、4回の国際研究学会で研究発表することができた。特に、その内の二つの研究学会「アムステルダム・コロキアム (Amsterdam Colloquium)」と「意味論と言語理論」(Semantics and Linguistic Theory)は、採択率が極めて低く、水準が高いことで知られている。世界最高水準の研究学会で発表することで、鳴門教育大学の研究の水準の高さの一端を示すことができたのではないかと思っている。

最終更新日:2010年02月25日

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