社会科教育コース

コース概要

社会を見る眼,伝える力を養う

 
社会科に関わる4分野を究めます
 本コースでは,「歴史学分野」「地理学分野」「公民系分野」「社会科教育学分野」の4分野について,専門的・総合的な研究ができます。それぞれ独自の専門を持ち,ユニークな研究を行っている9人の教員から,丁寧な個別指導をうけることができます。関心・テーマに基づいた各分野の学問研究を深めることができます。

演習や教育現場での実習を通して,専門性を深め,教育実践力を高めることができます
 大学での少人数の演習・ゼミ活動で学ぶことで,各分野の背景となる人文・社会諸科学の学問的基盤を深めることができます。その上で,教育現場での実習(フィールドワーク)を通して,教科内容の総合的な分析,教材開発,さらにはそれらを活かした授業デザインを行う能力を身につけます。小学校から高等学校までの社会系教科における授業・カリキュラム開発に求められる,高い専門性と教育実践力の修得をめざします。

しっかりとした理論に根ざして, 社会科の諸課題に対応できます
 演習では,社会の見方・考え方について,院生と教員が互いに意見を交わしあい,よりよい授業実践のための土台をつくることができます。実習では,演習で学んだことを活かし,児童・生徒との対話をしながらの授業実践を行うと同時に,さまざまな教育業務の経験を積むことで,教育現場の理解を深めることができます。

仲間と共に教師への夢を語り合う
 学部を卒業したばかりの院生,社会人を経験した院生,そして現職教員の院生が,同じ院生として学び合います。その多様性が,新しい飛躍の原点です。さまざまな立場の院生が切磋琢磨しながら,教育・研究について活発な議論を行う,活気に満ちた大学院生活は,必ずやあなたの人生のステップアップに活かされることでしょう。自分の将来,人類の未来について,一緒に語り合い,新たな道を切り拓きませんか。
 

 

 

担当教員紹介(令和5年4月1日現在)            

氏 名 青葉 暢子
職 名 教授
専門分野 経済学
詳細データ
研究内容 労働経済学,保険論,応用ミクロ経済学,情報経済論
授業科目 社会認識教育(公民)の内容構成演習A・B,社会認識教育(公民)の教材開発演習A・B,社会認識教育(公民)の学習指導と授業デザインA・B
メッセージ

 学生時代には保険企業の行動についてミクロ経済学を用いて研究を行い,American Risk and Insurance Association annual meeting,日本経済学会,日本金融学会,保険学会で学会発表を行ってきました。鳴門教育大学に着任後は非正規雇用の労働が企業の生産性にどのような影響を与えるのかについて研究しています。大学院の授業では財政政策や外国為替相場が私たちの生活にどのような影響を与えるのかについて中学生や高校生に説明する授業を作る等しています。ゼミでは,個々の関心のあるテーマについて掘り下げて研究してもらいます。これまでのゼミ生の研究テーマは,雇用格差,金融危機,コンピュータゲーム(経済に与える影響),自動車産業,産学連携,AIが雇用に与える影響,地方都市の介護の問題等です。

氏 名 麻生 多聞
職 名 教授
専門分野 憲法学
詳細データ
研究内容 憲法9条解釈論,在沖米軍基地問題
授業科目 社会認識教育(公民)の教材開発演習A,社会認識教育(公民)の学習指導と授業デザインAなど
メッセージ

 大学院では,法学・政治学を担当しています。教育現場で憲法教育をどのように実践すべきかについて,学生の皆さんと一緒に考えていきたいと考えています。価値の多元性ということが多々の分野で謳われるようになり,教育現場の社会科教育においても「価値注入型授業」は忌避される傾向が見られます。教科書の内容も,憲法学習に限っていえば,20年前とは大きく変容するに至っています。しかし,個々の憲法問題に対して,教員各自が自由な裁量で自説を語ってよい,ということにはなりません。社会科学領域における憲法学界では,憲法研究者が「学説」を構築してきています。学説の到達点を把握し,いかなる理論が展開されているか。まずはそこを出発点とするのでなければ,学術的な裏付けを欠いた独善的な授業実践に陥ってしまうことでしょう。大学院では,様々なテーマに関する憲法学説の勉強をお手伝いしたいと考えています。

氏 名 原田 昌博
職 名 教授
専門分野 西洋史(ドイツ現代史)
詳細データ
研究内容 ワイマル共和国時代におけるナチズム運動の展開
授業科目 社会認識教育(地理歴史)の内容構成演習B,社会認識教育(地理歴史)の教材開発演習B
メッセージ

 専門は西洋史学(ドイツ現代史)です。長らくワイマル共和国期のナチズム運動と労働者の関係を研究してきましたが,近年では共和国末期のベルリンで頻発していた政治的街頭闘争(政治的暴力)に関心を移し,政治的暴力の実態や,地域内の暴力の拠点として酒場が担っていた政治的機能の解明に取り組んでいます。研究にあたっては,ドイツの文書館や図書館に出向き,そこに所蔵されている史料を可能な限り調査・収集して実証的に分析を進めるように心がけています。歴史教育の面では,「歴史とは何か」あるいは「歴史を教えるうえで必要なことは何か」を常に問いながら,歴史(世界史)の授業や教材のあり方を考えていきたいと思っています。著書として『ナチズムと労働者―ワイマル共和国時代のナチス経営細胞組織』(勁草書房,2004年),『政治的暴力の共和国―ワイマル時代における街頭・酒場とナチズム』(名古屋大学出版会,2021年)などがあります。

氏 名 町田 哲
職 名 教授
専門分野 日本史(日本近世史,地域史)
詳細データ
研究内容 近世村落史,山里の生業と流通,四国遍路と地域文化
授業科目 社会認識教育(地理歴史)の内容構成演習B,社会認識教育(地理歴史)の教材開発演習B
メッセージ

 専門分野は日本史(近世)。大学院では,地域史の視角から,歴史学(日本史)に関する方法を議論した上で,どのように新たな歴史像が見えてくるのかといった,内容の検討を進めています。
 専門は日本近世史で,日本近世における地域の社会構造の解明がテーマです。大阪・和泉地域の村落を皮切りに,村請制・村落運営・地主小作関係・宮座・講など ,村内の諸要素の関連性を重視しながら,村落社会に生きた人々のありようを探ってきました。近年は,阿波の山間地域を対象に,近世日本の山里における生業と流通について検討しています。また,近世の四国遍路と地域文化についても,倒れ遍路の実態,統制,札所寺院の構造等から,その分析に取り組んでいます。
 地域に遺されてきた古文書には,私たちが思いもよらないような,無数のかけがいのない史実が詰まっています。大学院ではこれらを調査し,一つ一つを共同で掘り下げることで,歴史の見方・考え方を養っていきたいと思います。

氏 名 立岡 裕士
職 名 特命教授
専門分野 地理学
詳細データ
研究内容 地理思想,地図表現
授業科目 社会認識教育(地理歴史)の内容構成演習Aなど 
メッセージ

 地理学を専門とし,これまで地理学史・地理思想史および地図表現について研究してきた。近年の発表論文は以下の通りである。
・明治初年の阿波国地誌
・宝塚歌劇における風土記
・早鳥/はやとり:変化する教材・教材観
・児童向けに再話された古風土記の特徴:子どもはどのような 風土記を与えられたか
・児童向けに再話された風土記説話の目録ならびに索引
・問題としての近代風土記:風土記愛研究のために
・公的図書館における新風土記叢書の所蔵状況:新風土記叢書の普及について考えるために

氏 名 伊藤 直之
職 名 准教授
専門分野 社会科教育学,地理教育
詳細データ
研究内容 社会科教育におけるケイパビリティー論,社会教育と連携(学社連携)した教科教育
授業科目 社会認識教育(地理歴史)の学習指導 と授業デザインAなど
メッセージ

 専門分野は,社会科教育学です。特に地理教育を対象にして,いかなる状況の学校・子どもにも強力な学問的知識を提供することによって,将来の選択に自主的に参加できるような潜在能力(ケイパビリティー)を育み,社会正義へ寄与しようとする国際研究プロジェクト(GeoCapabilities)に参加しており,その成果を日本やアジア各国に普及させる取り組みを行っています。そのほかに,学校外で行われている社会教育(生涯学習)と学校教育の連携によって,異なる年齢の子どもや大人を含めた地域の成員のシビックプライドを醸成する教育実践のデザインについて研究しています。子どもに育む「資質・能力」は何かという観点で,地理教育や歴史教育における強力な知識やそれを生み出す教師の強力なペタゴギー(教授法)について,あるいは,工学部や経済学部などの異なる学問・学生との交流を通して,学校教育と教科教育の円滑な接続とは何かについてみなさんと一緒に探究できたらと思っています。

氏 名 井上 奈穂
職 名 准教授
専門分野 社会科教育学
詳細データ
研究内容 学習評価,授業方法
授業科目 社会認識教育(公民)の学習指導と授業デザインA・B
メッセージ

 社会系教科には,多様な授業理論,そして,授業形態が存在しています。しかし,その評価方略は必ずしも授業理論,授業形態に対応したものとなっていません。「授業と評価の一体化」を図るためには,それらの対応関係を明らかにする必要があります。その課題に,既存の授業理論の授業化の過程を分析し,授業理論の本質的な特質の抽出を行うことにより,アプローチしています。
 また,これらの研究成果を踏まえ,小学校,中学校の社会科における子どもの主体的な判断力育成を目的とした授業実践(住民投票,自動車産業,フードマイレージ,風評被害,高度経済成長,水道システム)の開発・実践・検証を行っています。最近は,外部機関と連携し,社会との接続を意識した授業の開発・実践にも取り組んでいます。

氏 名 畠山 輝雄
職 名 准教授
専門分野 人文地理学
詳細データ
研究内容 公共サービスに関する地理学的研究,地域政策における「地域」の捉え方
授業科目 社会認識教育(地理歴史)の教材開発演習Aなど
メッセージ

 専門は人文地理学です。その中でも社会地理学,行政地理学を専門としています。具体的には,福祉分野を中心とした公共サービスに関する地理学的研究として,サービス需給の空間的問題,地域におけるステークホルダーの関係性について研究しています。また,地域政策における「地域」の捉え方についても検討し,地理的分野の教材開発論にもつなげています。
 小・中学校,高校における地理的分野の内容は,地理学的理論や概念が基盤となっており,これらを理解することで,学校現場において暗記ではなく理解させる授業を実践することが可能となります。このため教職大学院では,地理学的理論や概念を基盤とした「地理的な見方・考え方」というコンピテンシーと,具体的な地理的事象の理解に関わるコンテンツの組み合わせから,教材をどのように開発し,それらを児童・生徒にどのように伝えるかという方法論を共に学んでいきたいと考えています。また地理的分野では,身近な日常生活との関係性から授業をすることが重要です。このためには,よりリアルな教材やそれらを用いた説明ができるよう,現地に出かけて自分の五感を活用しながら行うフィールドワークが重要です。この実践法についても教授したいと思います。

氏 名 眞野 豊
職 名 准教授
専門分野 社会学
詳細データ
研究内容 ジェンダー,セクシュアリティ,多様な性と教育に関する研究など
授業科目 社会認識教育(公民)の内容構成演習B,社会認識教育(公民)内容構成演習Aなど
メッセージ

 専門は社会学(ジェンダー,セクシュアリティ)です。これまで,学校空間における同性愛嫌悪やジェンダー規範に着目し,多様なセクシュアリティをめぐって生じる問題について調査・分析を行なってきました。また,性(SOGIESC)の多様性に対応した教育カリキュラムや授業の開発,教職員研修のあり方などについても,現場の教職員と連携しながら研究を重ねてきました。
 私が研究テーマとして取り組んできた「性」は,私たちの存在の根幹に関わる重要なものであると同時に,人とのつながりを深めたり人生を豊かにしたりするものです。一方で,性による差別も起こっています。性が本来持っている多様性や豊かさを見落として,狭い視点に閉じ込めてしまうことで,性が差別や抑圧の原因となってしまうのです。社会学の学びを通して,差別や偏見など私たちが社会の中で直面する問題や困難について理解し,その解決策を一緒に考えていきましょう。

 

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教務部入試課広報係
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