理科教育コース

コース概要

目指すのは研究し続ける理科教師

 

 流行や小手先のテクニックに走らず,自然科学の普遍的本質に迫る理科教育を追求します
 理科教育コースでは,物理学・化学・生物学・地学および理科教育を専門とする各教員が,それぞれの専門領域の特長を生かして,生涯にわたって研究し続けることができる理科教師の育成を目指しています。
 理科教師には,小学校,中学校,高等学校等の校種を問わず,新しい科学的知見に基づく自然科学に関する幅広い知識と深い理解が求められます。流行や小手先のテクニックだけでなく,自然科学の普遍的本質に迫る理科教育を追求していく姿勢が大切です。大学院生においては,自然科学の専門性を高めながら,理科教育の改善・発展に資する教材・教具,学習方法等を開発し,将来効果的な理科授業を実践するための資質・能力を養うことが求められます。


 有意義な大学院生活を送るために
 有意義な大学院生活を送るには,必要な知識や技能を習得し,科学的思考力・判断力・表現力等を磨く研究活動が欠かせません。教職経験のある人なら,教材研究や授業研究における研究の重要性を実感したことがあるでしょう。研究のプロセスは,授業研究でも自然科学や理科教育に関する専門的研究でも基本的には同じです。解明・解決すべき課題を見出し,仮説を設定し,仮説を検証する方法を計画・実施して基礎的データを集めて分析し,その結果に対する解釈を与えた上で,発見した事実を発表したり解決の方法を提案したりすることになります。大学院での研究生活の質は,将来教師としての教育活動の質を左右すると考えてよいでしょう。


 専門職学位課程では,修了に必要な単位数や実習の時間が多く,落ち着いて研究する時間を確保し難いという課題があります。時間管理を工夫して授業や実習と研究とを上手に両立し,本学大学院で充実した研究生活を過ごされることを期待しています。

 

 

担当教員紹介(令和6年4月1日現在)             

氏 名 武田 清
職 名 教授
専門分野 準安定液体の物理化学
詳細データ
研究内容 低分子物質の過冷却液体,非晶質状態に関する熱力学的および分光学的研究
授業科目 教職基礎力開発演習 Ⅰ
メッセージ  化学,特に物理化学分野を担当しています。物理化学とは,物理学の言葉で化学的現象を説明しようとする学問分野で,現象の基礎的理解には欠かすことのできない分野です。これまで,液体の低温物性に興味を持ち,主に低分子物質のガラス転移現象について研究を行ってきました。低分子液体・溶液の示す多様な現象を,原理から解き明かす過程を楽しみましょう。
氏 名 早藤 幸隆
職 名 教授
専門分野 科学教育,理科教育
詳細データ
研究内容 高度な科学的素養と実践的な指導力を培う科目・分野横断的広領域型科学実験教材の実証的な研究
授業科目 学校支援のための教科教育実践演習Ⅰ,自然科学教育(理科)の学習指導と授業デザインA
メッセージ  理科教育・科学教育を専門領域とし,現職教員を含む大学院生と理科教員を目指す学部生の高度な科学的素養と実践的な指導力を培う科目・分野横断的広領域型科学実験教材と 環境教育教材の開発並びに授業実践へと展開する実証的な研究を推進しています。
 現在,徳島県高等教育機関連携型『ジュニアドクター発掘・ 養成講座』~社会を牽引する未来の科学技術者を徳島から育てよう~における教育プログラムを展開し,科学技術人材育成の観点における才能育成プログラムの実証的な研究と共に,将来有意な科学技術人材の育成を目指した大学・学校・教育委員会 及び地域の専門家との実践的な教育連携システムの構築を 目指した活動を推進しています。
氏 名 本田 亮
職 名 教授
専門分野 物理学
詳細データ
研究内容 物性物理学
授業科目 自然科学教育(理科)の教材開発演習A
メッセージ

 物性物理学を専攻し,物質の性質をミクロな立場から研究している。また,物性物理学をもとにした実験の授業への導入にも興味を持っている。

氏 名 胸組 虎胤
職 名 特命教授
専門分野 有機化学,ペプチド化学,立体化学,化学教育,STEAM教育
詳細データ
研究内容 化学進化の観点から生命の起源に関連する研究,STEAM教育の理論と実践の研究など
授業科目 自然科学(理科)の内容構成演習B
メッセージ

 埼玉県出身。群馬大学工学部応用化学科でRNAaseのモデル触媒,筑波大学大学院博士課程化学研究科で不斉水素化の立体化学,アメリカのソーク生物学研究所の博士研究員で生理活性ペプチドの研究をした。筑波大学の宇宙化学研究室で物化生地が融け合った生命の起原の研究をした後,国立小山高専で研究・教育をし,十年ほど前に鳴門へ。現在,生命の起原と化学進化[1],STEAM教育 (Science, Technology, Engineering, Arts, and Mathematics Education)に関心を持つ。従来の教職大学院のカリキュラムを化学に例えると,各種元素(教科)を同一元素か質点と見るだけで,元素(教科)の特徴が生きていない。「教師は科学者であると同時に芸術家である。」[2]。単なる手練れ教師でなく,教科内容を駆使した創造的授業を目指すことが重要である。まず得意教科の内容知,方法知,価値・態度を体得し,次に他教科の見方も身に付ける。自ら創造的になり,未来の科学者を育てる力をつけよう。[1] https://doi.org/10.50968/vivaorigino.49_5; https://doi.org/10.50968/vivaorigino.49_11. [2] From STEM to STEAM (Sousa & Pilecki, 2013)『AI時代を生きる子供のためのSTEAM教育』(胸組虎胤訳,幻冬舎,2017).

氏 名 粟田 高明
職 名 准教授
専門分野 放射線物理,エネルギー・放射線教育
詳細データ
研究内容 放射線・紫外線励起による物質の発光現象の研究, 中等教育におけるエネルギー・放射線教育
授業科目 自然科学教育(理科)の内容構成演習A,学校支援のための教科教育実践Ⅱ,教職基礎力開発演習Ⅱ ほか
メッセージ  専門分野は放射線物理,およびエネルギー・放射線教育です。放射線や光励起による天然鉱物や人工物質の発光特性などの研究を行っています。
 また放射線教育やエネルギー教育に関する研究や物理教育分野の教材開発も行っています。教育現場における実践力の向上に必要なことは,教科の内容を深く理解し,専門の教科以外のことについても絶え間なく好奇心を持つことだと考えています。特に理科では観察・実験を伴った授業展開がなされていきますので,理科教員は,様々な自然現象に興味を持ち観察装置や実験装置をよく理解し,自ら簡単な教材を製作していくことが必要になります。そのために必要な知識や技能の向上,教員自ら科学的な思考力を向上させるための研究内容を提供できればと考えております。
 特に放射線やエネルギーに関する内容は理科の全分野を総合的に俯瞰できるよい題材がちりばめられています。
氏 名 田川 一希
職 名 准教授
専門分野 植物生態学,生物教育
詳細データ
研究内容 食虫植物の自然史, 植物と動物の種間相互作用, 生態学・進化生物学の教材開発
授業科目 自然科学教育(理科)の教材開発演習B
メッセージ

-編集中-

氏 名 寺島 幸生
職 名 准教授
専門分野 化学物理,理科教育
詳細データ
研究内容 溶液系の熱分析,理科の教材開発など
授業科目 学校支援のための教科教育実践演習Ⅱ(理科)など
メッセージ

 専門分野は化学物理,理科教育。主に溶液系の構造と動的性質について熱分析や粘度測定等の手法で研究しています。また,専門分野に関する研究成果を基盤として,理科の観察・実験用教材を開発し,その教材を活用した教育活動を実践しています。

氏 名 福地 里菜
職 名 准教授
専門分野 海洋地質学,付加体地質学
詳細データ
研究内容 付加体の形成過程や発達史
授業科目 自然科学教育(理科)と学習指導と授業デザインB など
メッセージ

 専門分野は地質学です。巨大地震の発生する領域,すなわち地震発生帯は温度により規制されていると考えられており,その上盤をなす地質体である付加体の構造は地震を伴う断層運動と密接に関連していると考えられています。私の研究は付加体を研究対象とし,構成物質の温度や年代に関わる定量的な解析に基づいて地震断層の変形機構・構成物応答や付加体発達史の検討を行っています。最近は,海洋地質だけでなく,陸の活断層内部の構成物質の研究にも興味を持っています。
 鳴門教育大学では,地学の授業を担当します。徳島の地質をはじめとして,実験や巡検を通じ,実際にものに触れながら,地学の面白さを体感してもらいたいと考えています。また,地学は地質学・鉱物学・地球物理学・天文学などの総合科学であるため,皆さんが他教科との繋がりを理解し,経験を基に教育現場で面白さを伝えられる教員として活躍していくことを期待しています。

 

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