子ども・子育て支援新制度、幼児教育の無償化など保育の質の向上と量の拡充が国の重要な課題となっています。幼稚園教育要領等では「育みたい資質・能力」が示され、「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」を共有するなど幼小の連携・接続が重視されています。家庭や地域と連携し、園全体で協働しながら保育の質の向上を図るためのカリキュラム・マネジメントの充実が求められています。
幼児教育コースでは、ポスト・コロナ時代の保育のあり方を見通し、人間形成の基礎、生きる力の基礎を培うために大切な乳幼児期の保育や心身の発達の理解を深めるとともに、子どもたちの幸せを大切にした保育を創造できる最先端の専門的知識と高度な保育・教育実践力及び及び園の運営や人材育成に関わるリーダシップやマネジメント力を兼ね備えた人材の育成を目指しています。
令和4年度からカリキュラムを一新し、園のマネジメントやリーダーシップの役割を担う現職教員の方々が働きながら学ぶための遠隔型教育プログラムを新設しました。鳴門教育大学附属幼稚園をフィールドとした授業を中心として、幼小連携・接続、カリキュラム・マネジメント、園内研修・実践研究の方法、ICT等コミュニケーションツールの活用、子育て支援や家庭教育など、最先端の保育を学ぶカリキュラムを構成しています。
★ 保育構想力・保育実践力をもっと高めたい保育者
★ 幼小連携・接続に関心のある保育者・小学校教員
★ 気になる子どもや保護者への対応を学びたい方
★ 家庭との連携や子育て支援に興味がある方
★ 幼稚園教員・小学校教員をこれから目指す方など
標準修業年限は2年です。教員免許がない方でも、長期履修学生制度を活用すれば3年間で学部と大学院の授業を履修することによって、教員免許を取得することができます。次のプログラムを受講できます。
● 幼稚園教員養成プログラム
● 小学校教員養成プログラム
● 中学校教員養成プログラム
● 特別支援学校教員養成プログラム
(幼稚園、小学校、中学校及び高等学校の教育職員免許状を取得又は取得見込みの方)
幼稚園、幼保連携型認定こども園勤務者で園長(副園長)、主任(副主任)など、園の中核となるマネージャーやリーダーの方は遠隔教育プログラムを受講できます。インターネットを用いた遠隔教育システムによる授業と附属幼稚園や他の機関・施設などでのスクーリングを実施します。個別のゼミ指導では、研究大会や園内研修など、自園が抱える教育課題について、一緒に考えながら研究をすすめていきます。遠隔教育プログラム受講の方は、自分のペースで3~5年間での履修も可能です。その場合でも授業料は2年分です。
〈共通科目〉
● カリキュラムマネジメントの理論と実践
● 教科カリキュラムの構成と理論
● 授業の理論と実践
● 教育評価の理論と実践
● 生徒指導の理論と実践
● 教育相談の理論と実践
● 学級経営の理論と実践
● 学校組織マネジメントの理論と実践
● Society5.0に向けた教育の情報化・情報教育
● 今日的な特別支援教育の課題とその対応
● 教職協働力実践演習ⅠⅡ
● 教育課題探究
● 幼児・学校教育リフレクション
〈專門科目〉
● 乳幼児期から児童期の発達心理と保育
● 幼児期から児童期の子どもの発達と支援
● 子ども家族支援の実際と課題
● 家庭教育支援演習
● 幼児教育の理論と実践
● コンピテンシー・ベースの幼児教育
● 小学校への接続・連携を見通した幼児教育
● 幼児教育マネジメント演習
● 幼児教育におけるICTの活用
● 園の組織マネジメントの理論と実践
● 幼児教育実践フィールド研究Ⅰ
● 幼児教育実践フィールド研究Ⅱ
学部卒、社会人、保育士の方は、基礎インターンシップや総合インターンシップなどの実習を通して、保育実践力や保育研究能力を育成します。
現職教員の方は、学校課題フィールドワークなどを通して、自園の保育・教育課題や関心テーマに基づいて保育実践研究を深めていきます。
3年間大学院【長期履修制度】に在籍し、学部と大学院の授業を履修することによって、教員免許を取得することができます。
幼稚園、幼保連携型認定こども園にお勤めの方は幼稚園教諭二種免許状のみの方も受験できます。
なお、本学では、幼稚園教諭二種免許状をお持ちの先生を対象として、一種免許状を取得するための講習を開講しています。
現職教員の先生方は、休業制度を利用し、教職大学院で学ぶことができます。2年後には元の職場に復帰することができます。仕事をしながらでも、ネット環境があれば、遠隔教育プログラムで学ぶことができます。
短期大学、高等専門学校、専修大学、各種学校の卒業生で、22歳に達した方は、鳴門教育大学大学院における個人の能力の個別審査により、大学を卒業した方と同等以上の学力があると認め、大学院の受験が可能です。
学部卒生は「基礎インターンシップ」「総合インターンシップⅠ・Ⅱ」、現職の先生方は「学校課題フィールドワーク」における実習の成果を最終成果報告書にまとめていきます。そして大学における学修評価判定(学修成果発表会)に向けて、中間発表会でのプレゼンテーションの準備に関する議論、さらにでのプレゼンテーションの準備などを行いながら、実践研究の方法を学びます。
〈過去の最終報告のテーマ〉
● 子どもとの関わりの中で変化する保育者の役割について
● 子どもの自然遊びと保育者の環境構成についての考察
● 保育者と幼児のアサーティブな関わりを目指した保育
● 幼児教育における保育記録のあり方に関する研究
● 選択理論心理学を用いた子どもの欲求充足についての実践的研究
● 幼児期から児童期の子供の評価の在り方に関する検討
4月 | 入学式・新入生オリエンテーション 総合インターンシップⅠ(学卒2年生) 学校課題フィールドワーク(現職2年生) |
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7月 | 中間発表会(2年生) |
8月 | 夏期休業、集中講義 |
9月 | 基礎インターンシップ(学部卒1年生) 地域プロジェクトフィールドワーク(現職2年生) |
11月 | 総合インターンシップⅡ(学部卒2年生) |
12月 | 冬期休業 |
1月 | 最終報告書提出 |
2月 | 最終成果発表会(学部卒・現職2年生) 構想発表会(学部卒・現職1年生) |
3月 | 学位記授与式 |
幼稚園教諭専修免許
小学校教諭専修免許
幼稚園教諭、小学校教諭、大学・短大・専門学校の教員、大学院博士課程への進学など
本学公式ホームページの
受験生応援サイトを
ご覧ください!
〈院生によるコース紹介〉
〈受験生応援メッセージ〉
〈遠隔教育プログラム入学生の声〉
幼稚園教員は他校種のように大学院で学ぶことが難しい現状があります。自分の保育や就学前教育の状況に疑問をもち「解決のために自分の力をつけたい、大学院で学びたい」と思いつつも、私はその勇気をもてずにいました。しかし、怖がっていても何も変わらないと決心し、現在「大学院修学休業制度」を利用して学んでいます。そして今、その選択は間違っていなかったと確信しています。理由は様々ですが、主な理由は3つです。1つめは「大学環境」。幼稚園は環境を通して行う教育です。幼児教育に携わる私自身の内なる感受性が広がりました。2つめは「大学院としての学びの保障」。学びたいという私に先生方は寄り添い環境を整えてくださいました。そして、今までの実践を実践者とは異なる視点で理論的に振り返ることができました。これは幼児教育に携わる私たち保育者が苦手とする分野ですが、これからの時代の保育者にとって最も必要な力だと思います。3つめは「現職教員同士の学び」。コースや校種の枠を超えて学べたことは、単に視野が広がっただけでなく、自分の保育者としてのあり方やこども観を俯瞰し問い直すことができました。
学びこむ中で得た保育者としての専門性を今度は子どもたちに返していきたいです。
特別支援学校幼稚部において、「障がい児である前に一人の幼児である」という原点に立ち、幼児として当たり前の環境や保育を目指して教員みんなで取り組んだ経験があります。自分たちなりに研修を積んできましたが、系統的に幼児教育を学んでいないことに足下のおぼつかなさを感じてきました。
昨年度、長年関わってきた視覚と聴覚の両方に障がいのある「盲ろう」と言われる人たちの発達段階や言語の獲得について、腰を据えて研究してみたいと思うようになりました。盲ろう児の言語は、使用する手段や伝え合い方の違いこそあれ、通常の幼児の言語獲得と同じ過程を何倍、何十倍もの年月をかけてゆっくりと発達していきます。課題と感じてきた幼児教育と人間の言語獲得過程の両方を学ぶことができるのはこのコースしかないと考え、入学しました。
大学院では、様々な国の幼児教育や歴史的変遷、幼児の捉え方について学び、視野が一気に広がりました。また別の講義では、これまで実践してきたことの理論的裏付けが得られ、あながち間違いではなかったと安心感を持つことができました。
2年間はあっという間。恵まれた環境の中、自分のやりたいこと、知りたいことに没頭できる貴重な時間を、有意義に過ごしています。