子どもの遊びの潜在的教育機能に関する研究を行っており、最終的には、主体性=意図性という「保育バランス論」を目指しています。コンピュータゲームに関しては、30年以上にわたって研究テーマとして取り組み、最近では、スマートフォン/タブレットゲームが乳幼児の心身に与える影響について研究しています。主な担当科目は「コンピテンシー・ベースの幼児教育」「幼児教育におけるICTの活用」などです。
①コンピュータゲームの研究
コンピュータゲームの子どもにたいする影響について、コンピュータゲームが普及し始めた初期から関心をいだき、30年以上にわたって研究テーマとして取り組んでいます。
これまでコンピュータゲーム否定論が支配する中で、コンピュータゲームの持つ潜在的教育機能に着目し、テレビのような媒体とはちがって、コンピュータゲームは双方向性があり、子どもにとっては強力な能動的遊びメディアであるとともに、メディア・リテラシーの発達にとっては有効な学習メディアになりうる可能性を主張してきました。この仮説を裏づけるために、幼児及び小・中・高・大学生の各発達段階の子どもを対象に調査および実験を行い、コンピュータゲームの効果を科学的な統計データによって実証してきました。
幼児のコンピュータゲーム遊びの潜在的教育機能
─メディア・リテラシー形成の観点から─
②スマートフォン及びタブレットゲームに関する調査研究
最近はスマートフォンやタブレットの普及が著しいが、乳幼児への心身への影響に関する研究は国内では皆無であり、早急に検討すべき課題です。本研究の目的は、スマートフォン/タブレットゲームが乳幼児の心身や生活にどのような変化をもたらしているかを明らかにすることです。
■スマートフォン及びタブレットゲームが乳幼児の心身に与える影響の研究
科研報告書(全体) (pdf :3.17MB)
■乳幼児のスマートフォン遊びと生活習慣及び依存傾向との関係
科研報告書(全体) (pdf :1.33MB)
③保育者のスキル形成に関する研究
いま大学では質保証の在り方が問われています。保育者養成校として育てるべき資質・能力は「学士力」や経済産業省の「社会人基礎力」とはどう関係している でしょうか。保育者の資質としても、「知識・理解」及び「技能」だけでなく、「思考・判断・表現力」や「態度・志向性」の醸成がたいせつです。 そこで、「態度・志向性」としての子ども観・保育観に着目し、それらが保育者養成段階でどのように形成されるか、また大学時代のさまざまな生活経験が学習 成果にどのような影響を及ぼしているかを明らかにし、生涯学び続ける保育者の養成カリキュラムの構築を目指しています。
最近では、バーチャル・リアリティの研究に着手しています。ポストコロナ時代の保育者養成のあり方を見据え、オンライン授業の充実のために、熟達保育者の「みえ」を疑似体験できるVR映像教材を開発し、その有効性について明らかにすることを目的としています。そのための前段階として、①熟達保育者が「みていること」を可視化するとともに、②熟達保育者の「みえていること」から「実践知(コツやカン)」を探り、言語化することを試みています。
■子どものバーチャルリアリティ体験に関する実証的研究
■保育学生が熟達保育者の「みえ」を疑似体験できるVR映像教材の開発と評価
湯地研究室では、このゼミでは、保育カリキュラム、保育方法など幼児教育に関することや、伝承遊び、絵本・テレビ・テレビゲームなど子どもの遊びに関することを研究テーマとしています。研究方法は質問紙調査、事例研究などさまざまです。次のようなテーマに関心のある院生・学生のみなさんを歓迎しています。
①子どもとメディアとの関係について:絵本、テレビ、スマートフォン、ゲーム、ICT教育など。
②カリキュラム・マネジメントについて:幼児理解、資質・能力、幼児期の終わりまでに育ってほしい姿など。
③若手保育者養成について:ドキュメンテーションや保育実践ビデオの活用など。
ゼミ生の研究テーマ
(●大学院生 ◯学部4年生)
2022年度
●「子どもとの関わりの中で変化する保育者の役割について」
◯「幼児教育の場におけるウサギの飼育について」
2021年度
●「子どもの評価としてのドキュメンテーションの活用による保育の可視化の試みについて」
◯「早期英語活動と英語意識や英語能力との関連」
◯「放課後児童クラブにおける子どもの「居場所」に関する調査研究」
2020年度
●「幼児期から児童期の子供の評価の在り方に関する検討」
◯「昔話の残酷性に対する学生の意識に関する調査」
◯「学校行事の阿波踊りが地域に対する愛着 に及ぼす影響に関する研究」