教科・領域教育専攻 国際教育コース L2年  池上 宗仲

2014年11月4日から約一週間,国際教育コースの小澤教授,石坂准教授とともにアフリカのルワンダを訪問させていただきました。今回現地で出来たことは主に3点あります。それは国際協力の現場を見学できたこと,実際にルワンダの教育現場に入ることが出来たこと,そして自身の修士研究に関わる調査を実行出来たことです。

まず現地に駐在しているJICAルワンダの方々との会議に参加させていただけたことはとても貴重な体験と言えます。日本からルワンダへの教育協力の現状について教えていただき,また私たち鳴門教育大学から支援できることはないかなど,国際協力という分野の生の話し合いを目の当たりにしました。私は卒業した大学においても国際協力の分野を学んでいたので,アフリカ諸国を訪問することや開発の現場に行くことは長年の夢でもありました。JICAと鳴門教育大学の会議のやり取りを聞いていく中で,教育協力を行っていくことは物質的な支援の様に人々にモノを届ければ終わるものではなく,何年も先を見据えながら綿密な計画を実行していくことなのだと理解しました。その国の政治,経済,教育の現状,そして求められているニーズなどを包括的に捉えながら,計画に含まれる人々にとって最善の道を考える。単なる先進国による支援の押しつけになるのではなく,ルワンダを母国のことの様に考え取り組むことが大事なのだと改めて感じました。

続いて2点目として,現地のさまざまな教育現場を訪れさせていただけたことが挙げられます。JICAルワンダの方々との会議を聞き,まず現地の教員養成校を訪問させていただきました。ルワンダにおいての教員の給料はそれほど多いものではないと後に訪問させていただいた学校の先生方からよく聞いたのですが,それでも教員を志す学生は男女ともに多く在籍していました。教員養成校の学長との話し合いの中で,鳴門教育大学で教えているような小中学校においての教授法を是非共有していただきたいとの意見が出ました。学長に私が英語教員を志していることを話した時,「今度またルワンダを訪問される時はあなたにもうちの生徒に色々教えてもらいたい」と言っていただけました。ルワンダは近年公用語を仏語から英語へ変更した為,まだまだ英語教育に関しても困難な部分があるそうです。英語教員であるという専門性が国際協力に活きることはあまりないのですが,私が将来ルワンダに関わっていける一つの側面として考えられるのではないかとこの時感じました。私にとっては大切な発見であったと思います。

その後の4日間は今年3月に修了した国際教育コースのルワンダ人留学生と共に農村部や都市部の中等教育校,幼少中連携校,女子校などさまざまな種類の学校を訪れていきました。彼はルワンダ教育省の職員でもあるのですが,同僚や上司の方々,現地の学校責任者の方々と私たちを繋げていただき,また自分の仕事を差し置いてまで我々の活動に協力してくださいました。私たちが彼の仕事を気にかけた時,彼は「鳴門教育大学は私にたくさんの事を与えてくれました。今度は我々があなたたちに返していく時です」と言いました。その言葉を耳にした際に,この「心のつながり」というものが日本と他国においての国際協力にとても重要なのではないかと感じました。これは私が鳴門教育大学に入学したからこそできた体験であるとも感じます。

最後に3点目として自身の修士研究に関する調査が出来たことが挙げられます。さまざまな学校を訪問していく中で,私の修士研究テーマである「学校教育が与える生徒のジェンダー意識への影響」についての量的・質的調査を同時進行で行うことが出来ました。これを休学せずに実行することが出来たのも鳴門教育大学におられる教授方,職員の方々からお力添えをいただけたおかげです。量的調査は主に心理尺度を用いたアンケート調査を中等教育校の生徒らに,質的調査は教員の方々にインタビュー調査をさせていただきました。私は協力していただくすべての人びとに何か少しでも感謝の意を表したいと考えた末,日本特有の泡の出る飴を小さなお礼として持っていきました。また現地語キニヤ・ルワンダでの自己紹介や会話表現を覚え,各教室にまわって調査のお願いをする際にまず現地語披露をしました。その時の生徒や先生方の笑顔や声援は今でも忘れません。加えて鳴門教育大学大学院を修了した留学生や教授方のご援助もあり,調査は円滑に進みました。また,現地の先生へのインタビューを通して文献を読むだけでは確認できないような情報を得ることもできました。教員を続ける理由も,それぞれ多種多用でしたが,共通した点は皆「教えることが好きだから」ということでした。

ルワンダの人びとは過去の虐殺の影響もあり,今では国民がみな一丸となって国を良くしていこうと活気づいています。明るく,気さくで,それでいて真面目な人びとが多いと今回の訪問を通して知り得ました。これからの日本との相互協力にも一層期待の出来る国だと思います。私もそのアクターの一人となるべく,今回の経験の数々を生かしていきたいと思っております。このような貴重な機会を与えてくださったことは感謝してもしきれないほどです。ルワンダでの1週間は他の人からすればとても短く感じるかもしれません。しかし,私の人生にとってとても大事な1週間であったと確信しております。私がここまで来るに至るまでご支援いただいたすべての人びとに恩返しをするためにも,今回のルワンダ訪問を無駄にせず,確実に自分の将来に繋げていけるよう邁進してまいります。

最終更新日:2016年12月14日