【プレスリリース】植物の素早い運動の進化に影響する要因を解明:モウセンゴケ属の素早い花閉鎖の進化は高い食害圧と関連

2025年1月23日

鳴門教育大学の田川一希准教授らの研究チームは、接触に応答して素早く花を閉じるというユニークな特徴を持つモウセンゴケ属を対象に研究を行い、天敵である昆虫に食害されやすい種ほど素早く運動する傾向があることを明らかにしました。この成果は、植物における素早い運動の種間変異が進化した背景を初めて解明したものです。

本研究成果は、2025(令和7)年1月2日に進化生物学の国際誌「Biological Journal of the Linnean Society」のオンライン版で発表されました。

 

論文

Interspecific variation in defensive flower closure of Drosera (Droseraceae) is related to the herbivory pressure

 

著者

Kazuki Tagawa, Haruka Osaki, Mikio Watanabe

田川 一希(鳴門教育大学:責任著者)・大崎 遥花(京都大学・ノースカロライナ州立大学)・渡邊 幹男(愛知教育大学)

 

研究のポイント

  • モウセンゴケ属は、接触刺激に応答して数分で花を閉じるという特徴を持っています。ただし、属内には花を閉じない種や、閉鎖速度が遅い種も存在しており、その進化的背景はこれまで不明でした。

  • 閉鎖速度が速いトウカイコモウセンゴケと遅いモウセンゴケという近縁2種を比較した結果、速い花閉鎖は植食者による食害から胚珠をより効果的に防御することが分かりました。また、野外調査では、トウカイコモウセンゴケがモウセンゴケよりも高い食害圧にさらされていることも明らかになりました。

  • これらの結果は、花閉鎖速度の種間の違いが、それぞれの種が受ける食害圧の違いによって進化してきた可能性を示唆しています。

 

プレスリリース資料

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