理事(地域連携・附属学校担当)メッセージ 学生の皆様へ

2020年6月1日

「学ぶ覚悟を持つということ」

 

理事・副学長(地域連携・附属学校担当)美馬 持仁

 いつの間にか衣更えの季節となり、ようやく大学も再開へと動き出しました。学生のみなさんは、年度初めの大事な時期に、よく今まで辛抱して自粛生活を送ってこられました。この間、とても不自由で不安に満ちた時間を悶々と過ごしてこられたことでしょう。しかし、考え方を変えれば、世界中がウイルス感染症防止対策に試行錯誤する中、みなさんはこれまでの自分の生き方を振り返ると同時に、これからの生き方を想像(創造)するための有り余る時間を手にしたとも言えるのではないでしょうか。

 

 今回の新型コロナウイルスの脅威は、まさに人智への挑戦であり、世界的規模の難局です。今後は、医学や薬学の分野はもちろん、教育においても大きな変容がもたらされることでしょう。例えば、今回のオンライン授業で体験することとなったICTを活用した学びは一層加速されるでしょう。国のGIGAスクール構想では、小学校1年生から一人一台パソコンを使った授業が始まります。鉛筆やノートに代わり、タブレットやノートパソコンが文房具として当たり前に使われる時代が到来し、私たちの「学び方」も大きく変わろうとしています。これを機に、みなさんもぜひ、学びにおけるデジタルデバイドを回避すべく身の回りのPC環境を整え、新しいスタイルの「学び方」に精通していただきたいと思います。

 

 さて、私の好きな言葉に「覚悟」があります。意味はさしずめ「今後起こりうる苦難や試練を予め想定し、それに備える、或いはそれを迎え撃つ心構え」のことでしょうか。これが試されるときは、たいてい突然にやってきます。阪神淡路大震災や東日本大震災のような自然災害然り、アメリカの9.11事件に代表される国際的なテロ事件然り、仕事上でのトラブルや個人的な不幸然り、大なり小なり誰もが生きていく中で必ず難局と言える場面に遭遇します。「生きる」とは「重荷を負うて遠き道を行くがごとし」です。私たちの学びとは、まさしくこうした数限りない難局に立ち向かう行為であり、そのためには「学ぶ覚悟」を持ってかからねばなりません。

 

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 では、「学ぶ覚悟」とは何でしょうか。

 

 私たちは、苦難をすべて網羅して予測することなどできません。だから私たちはいつも窮地に立った時、必ず「なぜあの時こうしておかなかったのだろう」とか「あの時に予兆があったじゃないか」と後悔します。もっとも「失敗は成功のもと」となり、経験は人を育てます。ただ、肝要なのは、いつ、どんな場面で、どんな苦難が訪れても、そのときに最善の対処ができること。そのために日頃から知識を蓄え、情報を収集し、それを自分のものとして活用できるよう、絶えず様々な場面を想定して思考し判断する習慣を身につけておかなければなりません。

 また、「何を学ぶか」は知の習得のためにとても大切ですが、その前にある「なぜ学ぶか」は、知識を知恵に変える重要な問いです。そして「どのように学ぶか」を考えることによって、学問に対する姿勢が培われます。この3つの問いを常に自分に課すこと、そして気づいたことを即実行することこそが、学ぶ覚悟の現れだと思うのです。

 

  4ヶ月に及ぶ未曾有の危機を一歩乗り越え、いよいよ6月22日から対面授業が始まります。ただ、これで新型コロナウイルスの脅威が去ったわけではありません。警戒を怠れば、すぐさま学内においてもクラスター感染が発生する可能性があります。この数ヶ月間は、人の移動が制限されていたお陰で感染者が最小限に食い止められてきました。しかしながら、夏から秋にかけては、教員採用審査、教育実習など、他地域へ出て行く機会や人とふれあう場面がどうしても増えてきます。

 

 こうした厳しい状況下で感染から自分を守り、また感染を拡大させないために大切なことは、「一人一人が新しい生活様式をしっかりと身につけること」です。外出時のマスクの着用や手洗い、消毒はもちろんのこと、教室や食堂でのソーシャルディスタンスの保持、共同で使う施設(ドアノブや階段の手すり、便座等)使用後の手洗いや除菌等、やや臆病なくらいの対策を「生活の一部」として無意識に実践できるよう心がけること、それが社会や学校に対する私たちの責任であり、特に教員を目指すみなさんにとっての「覚悟」と言えるのではないでしょうか。

 

 今回の災禍から何を学び、自分の何を変えられるか、それがみなさんの将来を決めると言っても過言ではありません。「本学での学びが世界を変える」、そんな高邁な理想を胸に、ともに未来に向かって歩んでいきましょう!
 

 

2020(令和2)年6月1日

理事・副学長(地域連携・附属学校担当)

美馬 持仁

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