令和2年度入学生への学長告辞及び入学生代表宣誓について

2020年5月11日


入学生の皆さま
保護者の皆さま

 

 鳴門教育大学は、新型コロナウイルス感染症の国内感染者拡大に鑑み、令和2年度入学式を中止とさせていただきましたが、入学生へ贈る予定としておりました学長告辞と、入学生代表による宣誓を掲載いたします。
 なお、入学式の際に入学生の皆さまにお配りする予定にしていました、「鳴教かわら版、No.9、No.11、No.15」「大学院ガイドブック」「ドラえもんといじめ」は、後日、お渡しいたします。 


 


学長告辞

「新しい時代を切り拓く強い意志と子ども達一人ひとりに寄り添う温かい心」

 

 学校教育学部111名、大学院学校教育研究科は留学生30名を含む205名、以上316名の皆さん、鳴門教育大学へのご入学おめでとうございます。
 また、これまで皆さんを温かく見守り、支えてこられました保護者の皆様に心から敬意を表しますとともに、お慶び申し上げます。

 新型コロナウイルス感染症がパンデミック・世界的大流行となり、私たちがこれまで経験したことがない非常事態、まだこの先どうなるか見通しの立たない状況です。 本学教職員一同、入学式を挙行したいと願いあれこれ尽力してきましたが、学生の皆さんの健康を第一に考え、学長として入学式を中止するという苦渋の決断をしました。
 そして、4月7日現在、大学に入構することさえ禁止せざるを得ません。また、授業をどのような形で、いつから始めるのかも、確かなことが言えない状況です。
 どうか皆さん、ご理解下さい。

 例年なら、キャンパスの桜やワシントンヤシ、サツキツツジ、楠など多くの植物がここぞとばかり花を咲かせたり新緑に輝き、皆さんを迎えます。しかし、今年は未だ皆さんに会えず、植物たちもどことなく寂しそうに見えます。
 皆さんが本学に来られない間も、教職員が一丸となって、できる限り皆さんの学びの機会を保証しようと努めています。さらに今後、皆さんに対し様々な支援が必要になって来ると思われますが、皆さんを全力で支えることを約束いたします。

 鳴門教育大学は、教員養成の充実、現職教員の研修、教育に関する高度な研究、教育に関する社会貢献を目的としており、「新構想大学」の一つとして、つまり「教師教育のリーダー大学」として、昭和56年(1981年)10月1日に創設され、昭和59年(1984年)4月に大学院の1期生を、昭和61年(1986年)4月に学部の1期生を迎えました。そして、地元の鳴門・徳島を拠点に、四国、日本、世界へと活動を展開してきました。
 今では、名実ともにリーダー大学として、多くの実績を築き、教育界に様々な先進的モデルを提供するまでになりました。
 今回の非常時においても、前例がないときこそチャンスととらえ、本学から新たなモデルを発信し、教育界や社会に貢献したいと考えています。

 新たなモデルは、本学の教職員だけで作るのではありません。学生の皆さんとともに、そして学校現場の子ども達や先生方をはじめ多くの関係者の方々と協力し、作っていくものです。
 私は、きっと作れると思っています。なぜなら、新入生代表の学部の森下駿之介さんと大学院の居神篤史さんの入学式の宣誓の内容がとても素晴らしく、私は感動しました。新しい時代を切り拓いていこうとする強い意志と子ども達一人ひとりに寄り添おうとする温かい心が伝わってきます。

 鳴門教育大学は、キャンパスや大学周辺の環境が非常に美しくて魅力的な大学です。しかし、本学が何より美しくて魅力的なのは、より良い教師、より良いカウンセラー、より良い国際教育専門家というように、教育に携わる高度な専門職業人・プロフェッショナルを目指し、全国さらには海外から様々な経歴を持つ多くの人たちがこのキャンパスに集い、多くの出会いがあるということです。

 どうか、皆さん、教師教育のリーダー大学に入学したという自覚を持って下さい。そして、卒業・修了時に本学で学んだことが誇りに思えるように、様々な出会いと交流を経験し、人間として成長していかれることを切に願っています。
 鳴門教育大学で、ともに学びましょう。
 皆さんと一日も早く直接お目にかかれることを、楽しみにしています。

 

令和2年(2020年)4月7日
                     鳴門教育大学長 山下一夫

 


学部入学生代表宣誓
 

 私たち111名は、令和2年度鳴門教育大学学校教育学部第35期生として入学を許可されました。残念ながら入学式は中止となりましたが、私たち一同はこの誇らしい栄誉に夢と期待を抱く中で、これまで先輩方が築き上げ、守ってこられた素晴らしい伝統を引き継ぎ、さらに発展させ、新しい歴史を積み重ねていかなければならない重責に身の引き締まる思いです。

 さて、学校現場では、休校要請により自宅学習を余儀なくされている子ども達が多くいました。そんな中で、神奈川県横浜市の中学校では「動画配信サイトを活用し、教員が日替わりで朝礼を実施する」という取り組みがありました。また、長崎県対馬市の中学校では「生徒に支給されたタブレットでのグループウェアを活用した家庭学習支援」の取り組みがありました。学校に来られなくても、子ども達が先生や友達とのつながりを感じられるこれらの取り組みは、休校という環境の変化によりストレスや孤独を感じていた子ども達に安心感を与えられたものだったと思います。

 取り組みを知って私は、従来、娯楽目的で使われがちな動画配信サイトや、企業での業務に使われてきたグループウェアを教育現場と組み合わせ、子ども達の心のケアをするというアイデアに感銘を受けました。私も、今回のような不測の事態が生じたとき、子ども達の心に寄り添える臨機応変な対応ができる教員になりたいです。

 そのために、これからの四年間、日ごろから様々なことに興味を持って知識を学び、失敗を恐れず多くのことにチャレンジして経験を積むことで、人間として成長したいと思います。

 私たち新入生は、この豊かな自然に囲まれた広大なキャンパスで、確かな専門知識と教育実践力を身につけ、教育に携わる者としての資質を高めていく努力を続けていく決意を新たにし、ここに本学の学則及び諸規則を遵守し学業に精励することを誓います。

 

令和2年(2020年)4月7日
鳴門教育大学 学校教育学部
入学生代表   森下 駿之介

 


大学院入学生代表宣誓
 

 若葉のにおいが満ちあふれる今日この頃、あたたかい風に心弾む季節となりました。
 この度、常ならざる情勢の中、残念ながら入学式は中止となりましたが、私ども205名は、新たな心持ちで大学生活を迎えられることに、この上ない喜びを感じています。新入生を代表致しまして、ご挨拶申し上げます。

 いよいよ開催が迫りつつあった2020年東京オリンピック・パラリンピックについて、先日、史上初の延期が発表されました。先行きは不透明ではありますが、様々な困難を乗り越えた先には、世界中の人々が一丸となって、平和の祭典が行われることを願っています。また、2020年は様々な分野において変化が起きる年でもあります。

 教育界を例にとれば、小学校を皮切りに、新しい学習指導要領が全面実施されます。特に、ICTを活用した学習活動の充実や、デジタル教科書の導入拡大等、学校現場と通信、ネットワークとのつながりが密接になってきています。「学びのプラットフォーム」としての学校の役割も、急速に変化するグローバル化の流れに対応するために改革が進んでいるように感じます。

 その激しい時代の流れの中で、様々な難しい問題を抱えた子どもたちに遭遇することが増えました。厳しい状況でも、子どもたちはみんな精一杯生きています。どんな状況でも、自分をよりよくしようと、頑張ります。そんな子どもたち一人ひとりの心に寄り添い、安心して新しいことにチャレンジできるような環境をつくり続ける教師でありたい。子どもたちの個性を見つめ、よりよい成長、自立を願い、導いていく立場の教師であることの使命を、深く自覚するところです。

 教師として、子どもの「学び」をいかにコーディネートし、子どもが学ぶ環境をいかに整え、たくましく生きていく資質をどう育成するか、また、自分自身も自己実現を果たしつつ、教職員、地域、保護者、関係機関と連携し、社会の変化にどう柔軟に対応していくかということが求められていると考えます。

 このような中、教育への大志を抱き、私たちは入学して参りました。多様な経験と教育への熱意を持つ仲間と共に学べる機会を得たことに感謝しつつ、教育が直面している様々な問題に対して、幅広い指導力を発揮できるよう、与えていただいた時間を有効に活用し、高度な専門的知識と実践力を身につけたいと念願しています。

 私たち三十八期生一同は、今日から本学の学則及び諸規則を遵守し、大学院生としての本分を守り、研究に精励することをここに誓います。

 

令和2年(2020年)4月7日
鳴門教育大学大学院学校教育研究科
入学生代表 居神 篤史


 

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