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【2025年2月5日】
 『価値多元社会における文化教育論――国家、アイデンティティ、シティズンシップ』( 単行本 )を明石書店より上梓させていただきました。

 グローバル化進行の一方、特定の社会集団における生活の営みの中で共有される文化はアイデンティティの醸成に関わり、安易に他集団との共有が図られるわけではない。こうした社会の多元性に注目し、文化の多元性と社会の統合について、教育に携わる者がどのように捉えたらよいか検討する。



第1部 〈価値の多元化〉と〈社会の統合〉

第1章 「地球市民」に人類はなり得るか
 1.地球市民社会と地球市民
 2.「地球市民」としての自己措定の可能性
 3.「地球市民」であるということ
 4.「地球市民」に「なる」ということ

第2章 文化の壁は越えられるか
 1.はじめに
 2.普遍性の追求とその現実
 3.普遍性の追求と自己の相対化
 4.相対性の追求と多文化主義の現実
 5.文化相対主義における普遍性
 6.おわりに

第3章 シティズンシップは普遍性を担保できるか
 1.はじめに
 2.市民社会と共同体の関係性
 3.機能体と共同体の捉え―シティズンシップの育成を念頭に
 4.市民社会の二重性―シティズンシップの集合性を念頭に
 5.コスモポリタンな公共圏への参加とシティズンシップの育成
 6.コスモポリタンなシティズンシップの育成
 7.おわりに

第4章 「多元的」シティズンシップをどう理解するか
 1.はじめに
 2.境界への着目
 3.「エトノス/デモス」二元論の克服
 4.「多元的」シティズンシップの理解を促す枠組み
 5.おわりに

第2部 〈教育〉と〈国家の統合〉

第5章 他者との境界はいかに自覚されるか
 1.はじめに
 2.国土を眺める四つの視点
 3.国土の構築性の理解を阻害する要因
 4.日本図の古地図を用いた国土の構築性の理解
 5.おわりに―古地図と近現代の日本図を比較して

第6章 国民教育の中での世界文化遺産――シンガポールの小学校社会科を例とし
      て
 1.はじめに
 2.シンガポールの社会科で世界文化遺産を取り上げる目的
 3.「歴史都市ビガン」の世界遺産登録の経緯とその影響
 4.シンガポールの小学校社会科の教科書における「歴史都市ビガン」
 5.シンガポールで「歴史都市ビガン」を取り上げる意義とそこからの示唆
 6.おわりに

第7章 シンガポール植物園における「世界遺産教育」の特色と意義――シンガポー
       ル教育省の世界文化遺産を扱う教育との比較を通して
 1.はじめに
 2.教育省が進める世界文化遺産を扱う教育
 3.シンガポール政府,ICOMOS,世界遺産委員会の「顕著な普遍的価値」の理解とその異同
 4.シンガポール植物園が進める世界文化遺産を扱う教育
 5.おわりに

第8章 「顕著な普遍的価値」への疑心――「淡水紅毛城及び周辺の歴史建築群」を
       例として
 1.はじめに
 2.世界遺産中学校教材『穿越淡水,走読世遺』の記述から
 3.世界文化遺産を扱う日本の教育への示唆
 4.おわりに

第9章 台湾における歴史の構築と相対化への志向――日本統治期につくられた文
       化遺産に着目して
 1.はじめに
 2.淡水紅毛城及び周辺の歴史建築群」の場合
 3.烏山頭ダム及び嘉南大水路」の場合
 4.おわりに

終章

 初出一覧
 索引
 あとがき