大学生の時に，親の会を始め，いろいろな場所で，様々な子どもたちやその保護者さんと関わる機会をいただきました。そして，その頃の経験が一つのきっかけとなり，これまで発達に関わる仕事をしてきました。「どのように生きるか」は実に多様で，もちろん正解があるわけではありませんが，これからも様々な方と一緒に学び，考えていきたいと思います。

私はもともと小児科医で、医学的観点から発達障害児などの診療・教育・研究を行ってきました。今後も発達障害児が少しでも楽しく学校生活・社会生活に適応していけるようにサポートしていきたいと思っています。そのための教育・研究活動に関して発達臨床センターの先生方と協力して行っていきたいと思います。

専門は教育学（特別支援教育）です。学校から社会への移行に関心があり、主に特別支援学校の進路指導やキャリア教育について研究してきました。自立と社会参加において、就労とは最も目に見える“かたち”であると言われることがありますが、そのためには、子ども一人一人の発達や成長を丁寧に支援していくことが大切であると考えています。発達臨床センターにおいては、先の発達や成長過程を、多くの子どもの支援者、例えば、教員と深く検討できることを楽しみにしています。

本学では、視覚障害・肢体不自由・発達障害に関する授業を担当しています。学習の成立過程や発達と環境との関係、知覚現象など基礎的な心理学的知見を元に教育研究を行っています。授業や研修などの機会を通して、子どもたちにある豊かな多様性に応えるために、ほんのちょっとでも大人側にある常識や固定概念を広げるお手伝いをしたいと考えています。

これまでは認知症の人とその家族の心理支援、および高齢者の心理支援を専門として臨床・研究を重ねてきました。近年は、高齢者に限らず無償で家族の世話をするケアラーへの支援、愛着の問題を含む発達上の課題を抱えた子どもへの支援、社会的養護に関わる児童福祉施設における子どもへの支援にも関心を広げています。子どもの発達を支える教育・福祉現場の先生・職員の方々や保護者にとって役立つバックアップを考えていきたいと思います。

ひとりひとりの発達にあわせた最適な支援をすすめていくには、的確なアセスメントと指導が必要です。しかし一方で、その支援は家庭や学校の構成員との調和があってこそ継続し、発展するものです。私はそのことを、特別支援学校や地域での教育相談から学びました。子供や支援者が孤立することなく、前向きに楽しく生活できるよう、力を合わせていきましょう。

これまで，特別支援学校や総合教育センターでの勤務において，発達障がいのある児童生徒の教育支援や保護者を対象としたペアレントトレーニング，不登校支援に取り組んできました。また，小・中学校の教職員向けには，学校全体で取り組むポジティブ行動支援（SWPBS)の研修会を実施してきました。応用行動分析学の理論をベースとし，子どもたちが生き生きと自分の力を発揮できる居心地のよい環境作りを一緒に考えていきましょう。