鳴門生徒指導研究第15号(2005)
Journal of Naruto School Guidance and Counseling,Number 15,2005,August,ISSN 0917-5180

ここでは,学会誌「鳴門生徒指導研究」第14号の論文のタイトル(英文タイトル)・著者名・要約及びキーワードを各論文毎に掲載します。


1.日本語のタイトルと著者名
(1)
学校ですぐに使えるカウンセリング−解決に焦点をあてたアプローチを骨格とした取り組みから−猪井 淑子・入谷 好樹

(2)青年期の対人関係が内的作業モデルの変化におよぼす影響 嶋田美由紀・田中 雄三
(3)教師の指導行動・態度と児童の教師認知・スクールモラールの関係性−教師と児童の性別,学年・学級規模による分析から−六車  浩・葛西真記子
(4)学級の凝集性を高めるためのプログラムの検討−中学校入学期における実践を通して−久保田員生・小坂 浩嗣
(5)2004年の世界の不登校研究の概観−PSYCHOLOGICAL ABSTRACTSの文献から− 佐藤正道

2.各論文のタイトル(英文タイトル)・著者名・要約及びキーワード
 

(1)学校ですぐに使えるカウンセリング−解決に焦点をあてたアプローチを骨格とした取り組みから−

猪井 淑子・入谷 好樹

Readily usable counseling method in school -based on the approach focused on solution -

INOI,Toshiko & IRITANI,Yoshiki

要 約
筆者は,教師を対象とした「教育相談のためのカウンセリングモデル(解決に焦点をあてたアプローチを骨格とした)」を作成し,それを研修で継続して提供している。その営みと併行して,研修内容を勤務校でも実践している。本論では,研修参加者及び筆者の勤務校での実践報告を行い,その結果について考察する。

キーワード:解決に焦点をあてたアプローチ,教員研修,構成的グループエンカウンター,教育相談,学級経営
p3-p15(トップへ戻る)

(2)青年期の対人関係が内的作業モデルの変化におよぼす影響

嶋田美由紀・田中 雄三

The Effect of Adolescent Interpesonal Relationships on the Transformation of the Internal Working Model

SHIMADA,Miyuki & TANAKA,Yuzo

要 約
 アタッチメントは内的作業モデルの概念によって青年期以降についても課題とされるようになってきた。内的作業モデルはその基礎が幼少期に形成され,その後は比較的変化することなく持続されるとする考えがあったが,近年においては青年期以降にその修正や変化が起こりうると指摘する研究も多く見られるようになってきた。そこで本研究では大学生を対象として,青年期の対人関係が内的作業モデルの変化に及ぼす影響について調査した。その結果,幼少期の安定したアタッチメントが青年期における内的作業モデルの安定に関連していることが示された。また,他者との間で何らかの変化がもたらされるような経験をし,その変化がポジティブなものとして認識されることによって幼少期のアタッチメントの安定が低かった者でも,内的作業モデルの安定が高くなる可能性が示唆された。またその変化では「自信・積極性の獲得」が重要であると推測された。

キーワード:内的作業モデル アタッチメント 青年期の対人関係
p16-p29(トップへ戻る)

(3)教師の指導行動・態度と児童の教師認知・スクールモラールの関係性−教師と児童の性別,学年・学級規模による分析から−

六車  浩・葛西真記子

The Relationships among Teachers' Behavior and Attitude,Childrens' Perceptions of
the Teachers,and their School Morale

MUGURUMA,Hiroshi & KASAI,Makiko

要 約
 教師と児童の性別,学年や学級規模によって教師の指導行動・態度(PM式指導類型),児童との関係(心理的距離)にどのような特徴が見られるのかを検討した。その結果,性別による分析では,児童は,女性教師をP型と認知し,男性教師をM型,pm型と認知する傾向が強いことが明らかになった。また,教師は,男子児童には,PM型,P型を意図し,女子児童には,M型,pm型を意図して指導を行う傾向があり,特にその傾向は,男性教師よりも女性教師の方が大きかった。学年,学級規模による分析では,5年生は,4年生・6年生に比べて教師に親しみを感じ,学級や教師との関係に満足し,6年生になると,児童は教師のP機能・M機能をあまり認知しなくなることが明らかとなった。また,30人以上の学級では,児童が学級や教師との関係に満足しなくなる傾向があり,教師と児童の関係や児童の学級への適応や満足度を考えるならば,30人以下の学級規模が有効であることが示唆された。

キーワード:スクールモラール,教師のリーダーシップ行動,心理的距離
p30-p43(トップへ戻る)

(4)学級の凝集性を高めるためのプログラムの検討−中学校入学期における実践を通して−

久保田員生・小坂 浩嗣

The examination of program to improve the cohesion of the class -Through the practice at the junior highschool entrance term -
KUBOTA,Kazuo & KOSAKA,Hirotugu

要 約
 本研究では,中学校入学期における学級の凝集性を高めるためのプログラムを開発・実践し,その有効性を検討することを目的とした。心理的手法を用いた指導から実施し始めることにより,生徒の不安や緊張を解きほぐし,円滑な人間関係を形成することができる。その後,話し合い活動を重視した学級活動を実施し始めることで,学級内の連帯感や団結力を高めることができる。これら二つの活動を計画的に組み合わせて実践することにより,学級の凝集性を高める効果が期待できると考えた。本プログラムについて,プレ・ポストテストや振り返りシートの分析からその有効性と今後の課題を検討・考察した。

キーワード:凝集性,モラール,入学期,話し合い活動,心理的手法を用いた指導
p44-p52(トップへ戻る)

(5)2004年の世界の不登校研究の概観−PSYCHOLOGICAL ABSTRACTSの文献から−

佐藤正道

A Review of the Studies about Non-Attendance at School,School Phobia, and School Refusal in the World(2004)
SATO, Masamichi
要 約
 日本の不登校の問題を考える上で,常に世界の研究に目を向け続けることは必要である。筆者は1980年から1990年までの研究の概観を行い,その継続研究として1991年から 1年毎にERICおよび PSYCHOLOGICAL ABSTRACTSの不登校との関連が考えられるキーワードschool attendance,school dropouts,school phobia ,school refusal を持つ文献を分類してきている。その継続研究として2004年の文献133件について取り上げ分類し検討を加えた。
Key words : school attendance, school dropouts, school phobia, school refusal
p53-p103(トップへ戻る)

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