第10回学校水泳研究会

討論の部発言記録

司会(松井)

ご参加の皆さんに一言ずつ、思っていることなり感想なり聞かせていただきたいのですが、その前に、ひとつだけわたしが関係した仕事で発見したことがありますので紹介させて下さい。

実は県立図書館に行って、「安全な水泳の手引き」という昭和42年の徳島県教育委員会が編纂した水泳の指導書があるんですけど、県立図書館の片隅にボロボロのやつが1冊だけ残ってました。体育健康課の課長さんにお見せしたところ、初めて見たということで、教育委員会にはもう残っていないだろうということでした。中身を見ますと、行政が作る水泳のこの手の指導書にしては非常に広範囲で書いてあります。初心者指導から水泳の歴史とか社会的な役割とか救助の方法とか。プールのない学校ではどう指導するのか、中学校ではどうか、これは当時の昭和42年現在のこういう公的な指導書としては異例じゃないかと、他の県でも類似したものありますが、これほど内容が充実していない。全国版でもこれに匹敵するのが出てくるのはこのもっと後だと思います。で、これを編纂した方のお一人が今日お見えの堺先生で、執筆者欄を見ると杉原先生はじめそうそうたるメンバーが載っています。当時なぜここまでこれができたのか、そのエネルギーはどこにあったのか、ということを是非堺先生にお聞きしようかなと思ったんですけど、これを作ったのはどんな感じだったんですか。

堺氏

思い出せませんね。

司会(松井)

何とか思い出してちょっとひとことお願いできますか。

堺氏

いや~、恥ずかしい限りです。時代が古いですから。

司会(松井)

要するに学校で水泳の授業をやるということは、それ以前は、もちろんプールがあったりなかったりしていたわけですよね。

堺氏

ちょうど普及が盛んになってきた時期だと思います。

司会(松井)

プールができ始めて、そのプールでやる内容としてはこんなのをやるんだという案内書を県が出したというわけですね。

堺氏

ええ。

堺氏

だから、先生たちが新しいプールができたときにどうやって子供たちに指導したらいいかというのを、これを見ながらやってと、そういう意味では必然性があるんですね。ちょうど今で言うと武道・ダンス必修化で、そっちの指導書が叫ばれていますけど、まあ水泳だとこの時期だということですね。今ほしいんですけどね、この現代版を。教育委員会がそれをつくれるだけのエネルギーや予算を持ってくれるかが問題なんですけどね。けどこれは非常に貴重な特殊な財産だと思います。いろんな人にこんなのあるんだと宣伝しまくろうと思うんですけどね。というのがひとつの話題で、もし興味がありましたら、中村先生持って帰りますか?

ということで、時間も少なくなってきたんですが、一人ずつ、現在の水泳に関わる立場とそれから今日の感想なりを中村先生のほうからお願いします。

中村氏(香川県、中学校体育教師)

高松市における水泳事情の寂しい現状とうれしい決断というのを紹介します。高松市は徳島用水の止水制限が50%をきりますと、水泳の授業がカットになっています。だから2年前3年前はほとんど授業ができていない。そういう非常に寂しい状況です。水泳の授業で水を使うと、無駄使いしているという間違った認識がありまして、水泳の授業がカットされますと、水泳の授業ができませんと、どうするんだと、非常に困っています。昨年、同じように止水制限がでますと、高松市の大西市長さんが、それではいかんと、水泳の授業をしなさい、ということで全部水泳の授業をしました。50前の市長さんなんですけど、そういううれしい決断をしていただいて非常に良かったなあと思いました。今日はありがとうございました。

司会(松井)

市長さんが長く続くこと祈ります。

行實氏

はじめて参加させていただきました。徳島大学総合科学部で研究しております行實と申します。4月に赴任したばっかりです。ずっと水泳をやってきたので、興味・関心を持って参加させていただきました。飛込みが何で必要なのかということが理解できて本当に良かったと、いろいろな問題もですね。私は福岡のほうから四国のほうに来させてもらったわけなんですが、徳島のこととかわからないことがいっぱいありますので、今後も仲良くしてもらえたらありがたいなと思いますので、よろしくお願いします。

布川氏(徳島市水泳協会)

 徳島市水泳協会の布川利彦と申します。徳島県水泳連盟では普及の方の仕事をさしてもらって指導員の養成等々やらせてもらってます。水泳の仲間が一人でも二人でも増えるようにみなさんにはご協力いただいて指導員の養成を是非お願いしたいと思っております。

山口氏(北島中学校支援員)

 北島中学校で特別支援教育の支援員として今年から働かせてもらってます。まだ自分で授業は担当させてもらってないんですけども、今日の議論の話を聞いてこれから6月末から授業がありますので、いろんな所で参考にさせてもらいながら、授業の支援にあたれたらなと思います。今年度は徳島にいますので水泳の試合やいろいろお世話になると思います。よろしくお願いします。

芳村氏(高校教諭)

 プールの無い高校からプールのある高校に希望して異動させてもらったんですが、その在任中にプールがつぶされました。なんとかならないかと当時校長や教育委員会と交渉したのですが、廃止の方向は変わりませんでした。そこで、現在通信制に移りました。そこでまたプールがなくなったことを思い出してムラムラしてきました。今回のこのような研究会や会議の機会で水泳の必要性が周知され、水泳指導に関する意欲も経営も回復してくれることを願っています。また自分も…追求の旅がありますので、そんな所で動きながら頑張りたいなと思います。

安藤氏(大学特任教授)

 三年前に鳴門教育大学を定年退職いたしまして、今非常勤をしています。ちょうど紫雲丸事件が起こった時、小学校6年生で、その時に新聞のトップの記事に死体がずっと並んでいる写真が出ていました。その時すごくショックで、それからあの事件を期に水泳が始まったのかなと、やっぱり人の命を助けるというのは水泳を学校教育のきちんと中で取り扱っていかなければいけないなということを改めて思いました。あの事件からどんどん学校にプールができて、でも私が高等学校の時は水をかけてキャーで終わっていたなと思います。それから大学時代もやっぱりあんまり水泳を教えられなかったような感じで教員になって私高等学校で10年間教えてたんですけど、やっぱりその流れの中で水泳の授業をしていたなと大変申し訳ないことをしたなと思いながら、今日お話を聞かしていただきました。定年退職した後水泳に興味を持ってスイミングスクールマスターズに入って今の所は週に6回ぐらい1時間ぐらいですけども、水泳にハマってダンスのことは忘れてます。オレンジ色の水着は、私もやっぱり年をとって沈んでいくので、絶対オレンジ色の水着にしようと思ってお話を聞かしていただきました。やっぱり老人が着られるような水着、そういうのが開発されるといいなと思って次買う時はオレンジの水着にしようと思っています。

國方氏(高校教諭)

 徳島科学技術高校でラグビーを教えている國方と申します。今回初めて参加さしていただきました。科学技術高校高校の方は水泳の授業ないんですけど、科学技術高校海洋科がありまして、1年生の30人だけ7月21日、22日の2時間大浜海岸の方で遠泳程ではないんですけど海へ出て泳ぎの方の実習やってますので是非こっちの方も担当さしてくれんかなと去年からアピールして、一緒に泳いだりしたんですけど、今年なぜか3年生の担任ということで、今年も泳ぎにいって来年、再来年…を担当できたらなと思っています。

谷氏(四国ヨット)

 四国ヨットの谷です。学校に水着をいろいろ紹介さしてもらって、実は再来週ぐらいから八万南小学校にもクラス10名程だけモニター的に、このシーズンオレンジ水着を着用さしていただくということになりましたので、みんなの評価をいただけると思います。それと、7月の8日9日でアスティー徳島で学校体操服等オレンジ水着の展示会を行いますので是非みなさんご来場していただけたらなと思います。またよろしくお願いします。

渡辺氏(四国ヨット)

 今日はありがとうございました。通常売るだけで、売ることにはどうするんだということしか考えてないんで、自分たちが良い良いと思っても理論武装ができていない。買っていただくの方はお金を払うので、その価値は、いかに我々が繋げるかっていう風なものをこれから自分達も勉強しなきゃいけないとっていうことを痛感しました。これから参加さしてもらいたいと思いますので一つよろしくお願いします。

神田氏(総合型地域スポーツクラブNiceマネージャー)

 総合型地域スポーツクラブNiceの神田です。私も松井先生や徳島大学の先生方に忙しい中いろいろ相談させていただいてます。8月に泳げない子どものための水泳教室を計画しています。3日間×2クールします。総合型地域スポーツクラブは県内の各市、町、村、で出来てるんですけど、いろんな問題を抱えています。水泳に関しての指導者が足りないです。それから行政の外の行政の中にいろいろな調整とか手配をするマネージャーさん必ず一人いて下さるとありがたいと思っています。いつも思うのですが、スポーツっていうのはなかなか優先順位が上がらず、後になってしまいます。しかし鳴門の観光とか教育を考えたら、しっかりやっていかないと10年後形になっていかないので、本当に実感として今後ともよろしくお願いします。段々、年々水泳を軽視する方が増えてきました。これは水泳を甘く見てるんですね。トライアスロンも水泳が上がって、これなかったら次のラウンドに行けないのに水泳の段階でパン、パンってスタートなって1分以内にやめますって方がけっこうおられるんですね。それではちょっとスポーツとしては、スポーツの取り組む姿勢としては根本的な問題とも思ったりします。その辺吉野川スイムマラソン昔10キロに出さしてもらったこともあって、あの毎年やられて遠くからですけど応援しておりますので今年も頑張って下さい。

堺氏(徳島県水泳連盟顧問)

 水泳連盟の堺とでございます。もう80を超えましたので過去の幽霊でございますが、ゲスト自体考えています。プールのない時代、プールを作った時代、二つの時代を過ごして来ました。今考えてみますと教師というのは、やはり行動と情熱だと思うんですね。退職してから県下の学校を年間に20校ぐらい指導、研究員に依頼されまして指導にまわったんですけど、学校の、その空気と言いますか、教師の姿勢で子どもは泳げるか泳げないか分かれております。そうした教師の姿勢、教師の工夫と情熱が全てと思っております。過去の人間ですね。どうぞ、ご容赦下さい。

南氏(大学教員)

 こんにちは、鳴門教育大学の南と申します。先程松井先生の発表の中でいくつか集計に関係した部分を担当しています。本学では一応水泳と野外運動の担当にあたっておりまして、杉原先生が残された遺産をコソコソと引き継いでいます。あと、水球の方に関わっているということで、水泳を以前からサポートさせていただいているという立場で今日はお話を聞かしていただいて、水泳時代を大事にしていかないといけないし、水泳に関する文化をいかに皆さんに理解していただくというのが私たちの仕事なんだろうなと考えております。ありがとうございました。以上です。

丸山氏(大学院生)

 私はスイミングで少しアルバイトをしていて、そのレッスンをさせていただくことがあるんですが、その小学生や幼稚園児を見ることもあるんですが、やっぱり予想していないことがあるので、その子どもを見ること、安全を確保することだけに意識がとらわれてしまって水泳の技術の指導の方に時間がさくことが出来ない場合があります。今回紹介されたオレンジ水着が広がっていけば実際の教育現場でも質の高い授業が展開されると思うので、もっと広がっていけばいいと思いました。今日はありがとうございました。

司会(松井)

 はい、それでは終わりに、また11回以降も続けていこうと思いますので、どういったテーマでやったらいいなとか、こういう研究会に適当なネタがありましたらアンケートに書いていただければおこないたいと思います。そのうち研究の予算がついたりしたら、もっと豪勢にやりたいと思っていますので、それまでご辛抱お願いします。今にはお忙しい中、皆さんありがとうございました。資料まだ余っていますから是非持って校長に見せる、という方はある物は持って帰って活用して下さい。今日はありがとうございました。(拍手)