短期派遣専門家としての技術移転活動(4)
指導科目: IT訓練認証制度の開発(コースC教材改訂版作成)
派遣期間: 2004年 8月26日~ 9月15日
派遣先: バンコク,チェンマイ
技術移転の概要:
タイ王国教育省において本プロジェクトの現状と今後の研修計画の立案に関連する助言を行うとともに,IT訓練認証制度に含まれるコースCを改良する。2004年2月に教育省バンコクセンターで実施したコースCの全体研修,及び,同年5月のテストランの結果に基づいて改良したコースC用教材を用いて,教育省チェンマイ生涯教育センター(NFEC)においてコースCを実施する。さらに,コースCの研修内容,教示方法,実習形態・方法などについて助言し改訂版を作成できるように技術移転する。
技術移転活動の総括:
今回の技術移転では,コースCの教材改訂版としてテキスト,ワークブック,プレゼンテーション,指示書の加筆・修正を実施した。また,コースCの受講生に対して個別にインタビューすることにより,現在のタイ王国内の小・中・高等学校に必要とされる教育用情報システムを提案することができた。コースCを受講した教員が,1台のLinuxコンピュータを構築し,インターネット接続から教育用サーバーを運用できることを実施例としてテキスト及びプレゼンテーションに追加した。このことにより,数百台のPCを有する大規模な情報システムから数台のPCからなる小規模なものまでを,コースCに盛り込むことができた。
マイクロソフト社の"Partners in Learning"キャンペーンによって,2003年9月から5ヵ年間,タイ王国内38000校の学校において申請すればWindows 98SEまたはWindows 2000 Professioalが無償で利用できる。すでに2003年3月~4月の間に721校の約25000台のコンピュータにインストールされている。このキャンペーンにより教職員・児童生徒用PCのOSとしてWindowsがより一層普及すると推測される。しかし,サーバー用OS(Windows 2000 Serverなど)は提供されないことから,コースCの実習に含まれる無償のLinuxを利用したサーバーの利用価値は高い。
チェンマイNFECで実施したコースCの受講者10名の内訳は,6名公立学校,2名私立,2名ESAであり,さらに,ESAから3名のオブザーバが参加していた。教員を指導する立場の機関であるESAからの参加者は,2004年2月プロジェクト終了後,引き続きコースA,B,Cを実施することを目的としている。このように,本プロジェクトに対する教育省の関心は高まっている。
技術移転活動の様子:
(1) チェンマイNFEC
コースCの本格実施
ネットワーク機器の説明とネットワーク・クラスの演習
LANケーブルの製作実習
サーバー用OSはRed Hat Linuxを使用
実際にモデムを使ってインターネット・サービス・プロバイダにダイヤルアップ接続(タイ王国ではモデムによる接続が普通)
LinuxサーバーにSAMBAを導入しWindows用ドメインコントローラを構築
nmapコマンドを用いて,開いているポート番号を記入
DMZ対応のファイヤウォールを構築するため,LANポートは3口利用
ファイヤウォールに3台のコンピュータを接続するため,それを表示するためのラベル
ファイヤウォールが機能しているかどうか確認
研修修了の記念撮影
修正日:2004. 9.22