令和元年度卒業生・修了生への学長告辞及び卒業生・修了生代表答辞について

2020年3月18日


卒業生・修了生の皆さま
保護者・ご家族の皆さま

 

 鳴門教育大学は、新型コロナウイルス感染症の国内感染者拡大に鑑み、令和元年度学位記授与式を中止とさせていただきましたが,本来であれば、本日予定しておりました学位記授与式において、卒業生・修了生へ贈る予定としておりました学長告辞と、卒業生代表及び修了生代表による答辞を掲載いたします。

 


学長告辞

「新型コロナウイルスが猛威をふるい先行き不透明な今こそ、
知性や感性や倫理観に照らしてリフレクションを」

 

 鳴門教育大学を卒業・修了するにあたり、本学を代表して皆さんに、一言お祝い申し上げます。
 学校教育教員養成課程 111名の皆さん、大学院学校教育研究科・修士課程 161名、専門職学位課程 47名、そして大学院修了生の中には海外からの留学生 13名も含まれていますが、大学院全員 208名の皆さん、心から祝福いたします。

 

 新型コロナウイルス感染症がパンデミック・世界的大流行となり、現時点で死者が6,000人を超えるという非常事態、まだこの先どうなるか見通しの立たない状況です。学長として本学の学位記授与式を中止という苦渋の決断をしましたが、どうか皆さんご理解下さい。
 今、日本だけでなく世界的に先行き不透明で不安定な時代であり、時代の大きな分岐点です。地球温暖化と自然災害、プラスチックごみ、原子力発電所、人口減少、AI(人工知能)の進展による新しい社会の到来、グローバル社会における自国第一主義と国家間の競争、人権、移民、格差社会、揺れる民主主義、権力者によるフェイクニュース、敵と味方に分けて敵を攻撃する思考様式など、課題や難問が山積みのところに、新型コロナウイルス感染症が加わりました。


 このように多くの課題に対し、我々人類は手をこまねいている訳ではありません。例えば、皆さんよくご存じのように、2015年、国連(the United Nations)において、世界中の人々が一緒になって2030年までの達成を目指すSDGs(持続可能な開発目標、Sustainable Development Goals)が採択されました。
 エス・ディー・ジーズの17の目標をここでは一々あげませんが、皆さんには他人事ではなく自らの問題として捉え、広い視野と長期的な展望を持ち、身近なところから取り組んでほしいと願います。


 ところで、先行き不透明で不安定な現在社会において、まさに新型コロナウイルスに感染しそれが拡散するかのように、フェイクニュースやネット上の不確かな情報に人は惑わされ傷つけられたり、逆にナイーヴな正義感から不確かな情報を拡散させて他人を傷つける恐れがあります。
 そのようにならないためにも、子供たちだけではなく、教師やカウンセラーなど人と関わる高度な専門職業人は、知性と感性と倫理観が大切です。


 皆さんが、自らの経験を仕事に活かし、より良い実践を行うためには、知識や理論を学ばねばなりません。しかし、知識や理論を学んだからといって、自らの知性や感性や倫理観に照らしてリフレクション(省察(せいさつ)、熟考)しなければ、それは生きた知恵とはなりません。つまり自発的に自らの経験を振り返り、見つめ直し、これからの自分に活かそうと前向きによく考えることが大切です。
 さらに人間として成長するためにも、一人で省察するだけでなく、他人と語り合うことも大切です。皆さんは、本学に在学中、多くの人と様々な出会いがあり、その人たちと様々なことを語り合い、そして語り合う中で省察されてきたことだと思います。


 さて、皆さんへ二つのことを祈念し、私の話も結びにしたいと思います。
 一つは、新型コロナウイルス感染症が猛威をふるう昨今、皆さんがこれからも健康であることを何より祈念します。心身の健康のためにも適度に遊び、リラックスすることも大切です。もう一つは、職業人として、人間として、成長していかれることを祈念し、以上で私の告辞といたします。


令和2年(2020年)3月18日
鳴門教育大学長 山下一夫

 


卒業生代表答辞
 

 日々、景色が春の色に染まっていき、心浮き立つ季節となりました。このよき日に、私たち111名は無事卒業を迎えることができました。この度は、新型コロナウィルス感染拡大防止策を受け、学位記授与式が中止となりました。切磋琢磨し、共に成長してきた友人との最後の別れを惜しむ場がなくなってしまったこと、大変残念に感じております。しかし、春から新しい生活を迎える私たちのことを思って辛い決断をされた山下学長、並びに大学教職員の皆様には心より感謝申し上げます。また、この感染症が早期に終息すること、および感染された患者の皆さまの一日も早い回復を祈念しています。

 思い起こせば4年前、私たちはまだ見ぬ大学生活に期待と不安を抱きながら、全国各地からこの地鳴門に集まりました。慣れない土地で、高校生の時とは全く異なる講義を新しい友人と共に受け、戸惑いや不安を感じることも数多くありました。しかし、そんな時に先生方や先輩方が優しく助けてくださり、戸惑いや不安が一気に和らいだことをよく覚えています。今では、先生方の優しく、時に厳しいご指導のもと、教育と真剣に向き合い、仲間と語らいながら実りある4年間を過ごすことができたと感じています。これも、温かくご支援してくださった職員の皆様、どんなときも見守ってくれた家族、身近なお手本としてひとつひとつ丁寧に教えてくださった先輩方、にこやかに接して元気を分けてくれた後輩達、そして今まで関わってくださった多くの方々のお力添えのおかげであると感じています。卒業生一同、心より御礼申し上げます。

 大学での生活は、人との繋がりの大切さを深く感じられるものでした。学生同士はもちろん、先生方や職員の皆様と何気ない話をすることもでき、毎日楽しく過ごすことができました。講義では、教育者としての知識や技能、心構えを学ぶことができ、それらを通して自分の強みを理解し、学び続ける姿勢を得ることができました。また附属学校園、協力校での実習での先生方や子どもたちとの出会いは私たちを教育者として大きく成長させてくれました。初めての子どもたちを前にして一人で行う授業で、どうすれば子どもたちがわかる授業ができるのか、子どもたちが楽しみながら学ぶためにはどうすればいいのか、何度も悩み、不安に押しつぶされそうになりました。しかし、子どもたちが授業を楽しんでいる様子や「わかった!」という表情を見せてくれた時に教師のやりがいに気付き、教師になるという気持ちがより一層強くなりました。また、子どもたちへ大きな愛情と熱意をもってご指導される附属学校園、協力校での先生方の姿から、教師として持つべき心構えや仕事に対する責任感を学ばせていただきました。

 そして、教師になる夢を叶えるために努力してこられたのは、4年間を共に過ごしてきた仲間たちがいたからです。教員採用試験では、どれだけ勉強しても不安が和らがず、何もかも嫌になってしまうこともありました。しかし、就職支援室をはじめとする先生方に温かいご支援を頂き、同じ目標をもつ仲間たちと励まし合いながら、筆記試験の勉強や集団討論、模擬授業、面接、実技試験の練習に取り組むことで、最後までやり遂げることができました。また、時には教育について熱く語り合い、様々な考えがあることを知り、自分の考えを深めることができました。学校行事や部活動、サークル活動では、学内だけでなく、地域の方々とも関わることができ、人との繋がりを強く実感し、充実した大学生活を送ることができました。他大学に比べると学生数が少ない私たちは、人との出会いは少なかったのかもしれません。しかし、その分、ひとつひとつの出会いを大切にすることができ、人との繋がりがいかに尊いものか理解していることが私たちの良さであると思っています。

 これから進む路はそれぞれ異なりますが、この鳴門教育大学で学んだことを誇りに、ここで出会えた人との関係を大切にし、目標に向かって歩みながら、社会の一員として貢献してまいります。

 最後になりましたが、今日まで私たちに数多くの温かいご支援、ご指導をくださいました山下学長先生をはじめとする大学の諸先生方、附属学校園の先生方、職員の皆様のご健康とご活躍を祈念しますとともに、重ねて御礼申し上げます。また、後輩の皆様方の今後のご健闘とご活躍を祈り、鳴門教育大学の益々のご発展を願いまして、答辞とさせていただきます。
 

令和2年(2020年)3月18日
卒業生代表
学校教育学部 学校教育教員養成課程
 中学校教育専修 英語科教育コース 杉本夕夏


 


修了生代表答辞
 

 厳しい冬の寒さも和らぎ,頬をなでる高島の風も日に日に暖かく,うららかな春の訪れを感じる季節となりました。

 令和になって初めての学位記授与式。学長先生はじめ先生方,関係の皆様方は,私たちのために,準備を進めてくださっていたことと思います。しかしながら,新型コロナウイルス感染症拡大防止のため,式典は中止となりました。本当に残念なことではありますが,健康面や安全面が第一であることを理解しているところです。

 さて,満開の桜に迎えられ,本学の門をくぐった入学の日から,今日までの瞬く間にすぎた懐かしい日々を思い返し,今,私たち修了生一人一人の胸の中には,様々な思いが去来しています。

本学には,教職を目指す者や教育・研究課題の解決などに取り組む者が,それぞれの思いを実現するため,国内外から集まっています。私たちの出身や経歴は様々ですが,子どもたちを育てるという教育の尊い使命を果たし,社会に貢献するため,日々研鑽を積んできました。この充実した学びができたことは,ひとえに先生方が熱心にご指導下さったからに他なりません。先生方の御厚情に,心より感謝いたします。

入学以来,瞬く間に過ぎ去った懐かしい日々を思い返すと,経歴や立場を超えて話し合えた仲間との出会いが思い起こされます。お互いを尊重し,教育への思いや考えを伝え合うなかで,信頼を築き,友情を深めるという幸運に恵まれ,まるで夢のような時間を本学で過ごすことができました。

 私は,社会人を経て本学へ入学しました。年齢や教職への転向に不安を抱えながらも,友人の「教師になると決めたのなら,腹をくくって突き進め」という言葉を支えに本学への入学を決意しました。本学大学院では,多くのかけがえのない人たちと出会い,そのすべての方々が,私のすすむべき道を示してくれました。そして私は,来る四月から一抹の不安と大きな夢を抱き教職の道を歩んでいきます。多様な大学院生を受け入れてくださる本学で,理論と実践を往還しながら学ぶことができたことは,今後教職の道を歩んでいく上での私の根幹です。鳴門教育大学への感謝の念は尽きません。

 また,大学院の授業科目「総合インターンシップ」では,鳴門市教育委員会様をはじめ多くの方にご協力を頂き,長期間に渡って貴重な実習経験を積むことができました。日々教育の現場で懸命に働かれている教職員の方々から,多くのご指導や励ましのお言葉を頂きました。大学院の講義や演習での学びを,実習校の児童の前で実践できたことは,教師としての自分を見つめなおすきっかけとなり,今後教師として乗り越えていくべき課題をみつけることができました。

 大学院修了後も,教育への使命と教師としての自覚を深く胸に刻み,未来ある子どもたちのために,地道にコツコツと日々の教育活動に取り組んでいく所存です。今後いくつ年を重ねても,鳴門教育大学で学んだ初心を忘れず,謙虚に学び続けていくことをお誓いいたします。

 最後になりましたが,学長先生をはじめ,私たちを親身になって指導してくださった諸先生方,職員の皆様,共に学んだ学生の皆さん,大学院に進学することを応援してくれた家族,お世話になった全ての方々に,修了生一同,心より感謝申し上げます。

 そして皆様のご健勝とご多幸,鳴門教育大学の益々のご発展を祈念して答辞といたします。


令和2年(2020年)3月18日
第35期 修了生代表
高度学校教育実践専攻 教員養成特別コース 西岡 修平

 

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