ここでは,学会誌「鳴門生徒指導研究」第33号の論文のタイトル(英文タイトル)・著者名、要約、キーワードを掲載します。
(1)2024年の世界の不登校研究の概観-ERICおよびPsycInfoの文献から- 佐藤 正道 A Review of the Studies about Non-Attendance at School, School Phobia and School Refusal in the World (2024) :SATO Masamichi 要約: 日本の不登校の問題を考える上で,常に世界の研究に目を向け続けることは必要である。 筆者は1980年から1990年までの研究の概観を行い,その継続研究として1991年から2002 年まで,および2011年はERICおよび PsycInfo(PSYCHOLOGICAL ABSTRACTS)の, 2003年から2010年まではPsycInfoの,2013年と2014年はERICの,さらに2015年か らはERICおよびPsycInfoの不登校との関連が考えられるキーワードschool attendance, school dropout,school phobia ,school refusal を持つ文献を分類してきている。その基礎 研究としての継続研究として2024年はERICおよびAPA PsycInfoの文献46件について取 り上げ分類し検討を加えた。 Key words : school attendance, school dropout, school phobia, school refusal (2)保護者の障害の受容が進路決定に与える影響に関する考察~障害受容モデルを進路 支援に活かす視点から~ 水本 和也 A Study on the Influence of Parental Acceptance of Disability on Career Decision-Making: Toward Applying Disability Acceptance Models to Career Support:MIZUMOTO Kazuya 要約: 近年,特別支援教育におけるキャリア教育,進路指導の充実が課題となっている。不十分 な自己理解や不本意入学,中途退学などが問題となる中,保護者の障害受容が進路指導の充 実にとって重要であるという課題に基づいて,これまで研究されてきた障害受容モデルのレ ビューを行った。具体的には,段階説をはじめ,慢性的悲哀説・螺旋モデルの3つの仮説 を取り上げ,保護者の障害受容について,構造や感情・時間の捉え方,ゴール設定などから 整理を行った。それらの考察を経て,今後の特別支援教育における進路決定についての展 望を述べた。 キーワード: 障害の受容,特別支援教育,進路決定 (3)東日本大震災を大学時代に経験した教師の自己形成―震災経験の語り重ねに注目して― 早渕 維・川西 智也 Self-Formation of Teachers Who Experienced the Great East Japan Earthquake during Their University Years: Focusing on Repeated Narratives of the Disaster Experience: HAYABUCHI Yui,KAWANISHI Tomoya 要約: 東日本大震災を大学在学中に経験し、生まれ育った故郷で小学校教師をしながら、震災 経験の語りを様々な授業に生かす活動を継続しているAさんが、どのような自己形成の径 路を辿ったかを明らかにすることを本研究の目的とした。2回の半構造化面接の後、複線 径路・等至性モデル(Trajectory Equifinality Model:TEM)を採用し、分析を行った。そ の結果、Aさんの径路は第1期〈教師として震災経験を子ども達に語る(EFP1)〉を経て、 第2期〈子ども達に震災経験の教訓を語り継いでいこう(EFP2)〉に至るプロセスとして描 かれ、「人との繋がり」や、「震災経験を語る」ことがもたらす経験がAさんの自己形成を 促進していることが示された。本研究は過去に震災などにより脅威を経験した教師の発達の 理解を進める一つの資料になると考えられる。 キーワード:東日本大震災、教師、語り重ね |
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