鳴門生徒指導研究第34号(2025)
Journal of Naruto School Guidance and Counseling,Number 34,2025,August,ISSN 0917-5180

ここでは,学会誌「鳴門生徒指導研究」第33号の論文のタイトル(英文タイトル)・著者名、要約、キーワードを掲載します。


日本語・英文タイトルと著者名および要約
(1)2024年の世界の不登校研究の概観-ERICおよびPsycInfoの文献から-
佐藤 正道
A Review of the Studies about Non-Attendance at School, School Phobia and School Refusal
in the World (2024) :SATO Masamichi
要約:
 日本の不登校の問題を考える上で,常に世界の研究に目を向け続けることは必要である。
筆者は1980年から1990年までの研究の概観を行い,その継続研究として1991年から2002
年まで,および2011年はERICおよび PsycInfo(PSYCHOLOGICAL ABSTRACTS)の,
2003年から2010年まではPsycInfoの,2013年と2014年はERICの,さらに2015年か
らはERICおよびPsycInfoの不登校との関連が考えられるキーワードschool attendance,
school dropout,school phobia ,school refusal を持つ文献を分類してきている。その基礎
研究としての継続研究として2024年はERICおよびAPA PsycInfoの文献46件について取
り上げ分類し検討を加えた。
Key words : school attendance, school dropout, school phobia, school refusal

(2)保護者の障害の受容が進路決定に与える影響に関する考察~障害受容モデルを進路
支援に活かす視点から~
水本 和也
A Study on the Influence of Parental Acceptance of Disability on Career Decision-Making:
Toward Applying Disability Acceptance Models to Career Support:MIZUMOTO Kazuya
要約:
 近年,特別支援教育におけるキャリア教育,進路指導の充実が課題となっている。不十分
な自己理解や不本意入学,中途退学などが問題となる中,保護者の障害受容が進路指導の充
実にとって重要であるという課題に基づいて,これまで研究されてきた障害受容モデルのレ
ビューを行った。具体的には,段階説をはじめ,慢性的悲哀説・螺旋モデルの3つの仮説
を取り上げ,保護者の障害受容について,構造や感情・時間の捉え方,ゴール設定などから
整理を行った。それらの考察を経て,今後の特別支援教育における進路決定についての展
望を述べた。
キーワード: 障害の受容,特別支援教育,進路決定

(3)東日本大震災を大学時代に経験した教師の自己形成―震災経験の語り重ねに注目して―
早渕 維・川西 智也
Self-Formation of Teachers Who Experienced the Great East Japan Earthquake during Their
University Years: Focusing on Repeated Narratives of the Disaster Experience:
HAYABUCHI Yui,KAWANISHI Tomoya
要約:
 東日本大震災を大学在学中に経験し、生まれ育った故郷で小学校教師をしながら、震災
経験の語りを様々な授業に生かす活動を継続しているAさんが、どのような自己形成の径
路を辿ったかを明らかにすることを本研究の目的とした。2回の半構造化面接の後、複線
径路・等至性モデル(Trajectory Equifinality Model:TEM)を採用し、分析を行った。そ
の結果、Aさんの径路は第1期〈教師として震災経験を子ども達に語る(EFP1)〉を経て、
第2期〈子ども達に震災経験の教訓を語り継いでいこう(EFP2)〉に至るプロセスとして描
かれ、「人との繋がり」や、「震災経験を語る」ことがもたらす経験がAさんの自己形成を
促進していることが示された。本研究は過去に震災などにより脅威を経験した教師の発達の
理解を進める一つの資料になると考えられる。
キーワード:東日本大震災、教師、語り重ね




このページに掲載された内容および原著論文はすべて鳴門生徒指導学会(THE NARUTO ASSOCIATION OF SCHOOL GUIDANCE AND COUNSELING)に帰属するものである。

Copyright 2000-2025 Naruto Association of School Guidance and Counseling:Last Updated 2025.08.20