「メタ認知:学習力を支える高次認知機能」
三宮真智子編著(2008)北大路書房

 人間には,認知活動それ自体を対象として認知する心の働きがあります。これがメタ認知と呼ばれるものです。メタ認知を働かせることにより,私たちは,自分の判断や推理,記憶や理解など,あらゆる認知活動にチェックをかけ,誤りを正し,望ましい方向に軌道修正することが可能になります。また,自分の認知的な弱点を補い,パフォーマンスを向上させることができます。これらは,いずれも,私たちが学習活動を効果的に行うために欠かせないことです。そして,学ぶ力すなわち学習力を考えるとき,メタ認知こそが,この学習力を支えてくれるものと言えるでしょう。

 本書は,認知心理学,教育心理学,学習心理学,発達心理学,言語心理学,臨床心理学,障害児心理学,神経心理学といった多岐に渡る研究領域を視野に入れ,特に学習に関連するメタ認知研究の現状と課題を論じるものです。

 本書が目指したのは,学習に関連したメタ認知の理論研究から応用研究までを幅広く網羅し,私たち著者自身の研究も含めて最新のメタ認知研究の成果を系統的に紹介することです。学術的な内容をわかりやすく解説し,読者の正確な理解を助けるとともに,日常の学習場面においてメタ認知を活用するための示唆を提供することを目的としています。

 本書では,主として学習との関連からメタ認知を論じています。学習におけるメタ認知の問題を考える際に手がかりとなる主要な12のトピックから構成されており,以下のようにそれぞれが独立した章となっています。

各章のタイトルと執筆者(敬称略)

1章 メタ認知研究の背景と意義  (三宮真智子)

2章 学習におけるメタ認知と知能  (三宮真智子)

3章 知識の獲得・利用とメタ認知  (藤村宣之)

4章 学習方略とメタ認知 (瀬尾美紀子・植阪友理・市川伸一)

5章 学習における動機づけとメタ認知  (上淵 寿)

6章 文章の理解におけるメタ認知  (秋田喜代美)

7章 数学的問題解決におけるメタ認知  (岡本真彦)

8章 科学的思考と科学理論の形成におけるメタ認知  (湯澤正通)

9章 談話の産出・理解におけるメタ認知  (仲 真紀子)

10章 学習の障害とメタ認知  (田中道治)

11章 認知行動療法とメタ認知   (杉浦義典・杉浦知子)

12章 メタ認知の神経科学的基礎  (渡邊正孝)