このマニュアルは卒業論文や修士論文などの口頭諮問や、学会での口頭発表を準備するためのマニュアルです。分かりやすくて魅力的な発表をするためにはそれなりの時間と努力が必要です。ここでは10-15分程度の発表時間を想定していますが、このマニュアルにしたがって準備をすすめると、おそらく10時間以上かかると思います。発表の日程から逆算して、事前に余裕をもって準備を開始するのが第1歩です(このマニュアルの中で、それが一番難しいかもしれません)。心理学,特に行動分析学的な研究の発表を念頭において作成してあります。
注意:このマニュアルを使って準備したのに、発表に失敗して大恥をかいたり、単位を落としたりしても作成者は一切責任を負いませんのであしからず。
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限られた発表時間内であなたの研究のすべてを発表するのは不可能です。10-15分程度の口頭発表では、発表の要旨を1、2点に絞り込むのが無難です。そこで、あなたの研究から、あなたが1番言いたいことを1つ選びましょう。そして要旨を下の書式で記述して、さらに、この要旨を支持する根拠を図としてイメージして下さい(作業時間 約30分)。
| 発表の要旨 |
| 私は、___を知りたくて、___した。 その結果、___と___の間には___という関係があることが分かった。 |
要旨が決まったら、それに肉付けをしていきます。下のアウトラインを参考にして下さい(作業時間 約60分)。
| 発表のアウトライン(問題提起) | |
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研究の方法に関しては論文の構成と同様になります(被験者、課題、手続きなど)。ただし、詳しく細かい説明はしないこと。まずは聴衆に、あなたが何をしたのか概要をつかんでもらうことが先決です。そのために最低限必要な項目だけを列挙します。
何が最低限必要なのか最初は分からないかもしれません。それはそれで結構です。後で、友人を相手に練習するときに、必要な情報が欠けていれば彼らが質問をしてくれます。その時に付け加えればよいのです。
基本的には、次のアウトラインを参考にして下さい。
| 発表のアウトライン(研究方法) | |
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結果についても、あくまであなたの発表の要旨にそって、あなたの論点を支持する結果を明確に提示します。またこの他に、この実験では分からなかったこと、それから今後の研究へのヒントになるようなデータも示します。
| 発表のアウトライン(結果) | |
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考察ではあなたの要旨をもう一度繰り返します。さらに、これをあなたなりに拡大解釈します(しなくてもいい)。ただし、ただ大ボラを吹くのではなく、これを確認するためにはどんな研究がなされなければならないか、今後の研究を提案します。
| 発表のアウトライン(考察) |
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上で作成したアウトラインに沿ってOHPを作成します。OHP1枚につき、論点を1つ書きますが、まずは下書きをメモ程度に書いてみましょう。たとえば、タイトルに1枚、問題提起に1枚、手続きに1枚、というように(作業時間 約30分)。
気をつけるのは文字の大きさと、1枚あたりの行数です。A4の用紙を使いますが、文字の大きさは最低1.5cm四方以上、行数は7行以下にします。これより文字が小さかったり、多かったりすると、後ろの席からは読めません。このため、OHPにはすべてを文章で書くのではなく、箇条書き風に、必要な事項だけを書くようにします。
下書きを使って、自分一人で発表の練習をしましょう。発表原稿は絶対に作らないこと。OHPを見ながら、それを説明していけば、原稿がなくでも大丈夫です(原稿を読み上げることほど分かりにくく、つまらない発表はありません(国会答弁を見よ!)。ほとんどの聴衆は字が読めるのですから、それなら皆に原稿を配れば口頭発表をする必要などないのです。
ただし、この練習には時間がかかります。10-15分の発表でも10回以上は練習しないとならないかもしれません。時間を計りながら練習し、必要に応じてOHPの下書きを修正します(無駄な部分を削ったり、情報を付け加えたり、順番をかえたりする)。
制限時間内によどみなく発表ができるようになったら次の段階へと進みます(作業時間 約120分)。
友達、恋人、指導教官、誰でもいいですから、聴衆を前にして発表の練習をさせてもらいます。もちろんOHP(まだ紙のメモのまま)を使いながら、本番さながらに行います。そして聴衆から、どこが分かりにくいか、何か不足説明はないか、不必要に繰り返されている情報はないか、意見をもらいます。
聴衆から何か質問をされると、「それはもう説明したじゃない!」とか「勘違いしないでよ」とか、まるで悪いのは聴衆のような気持ちになってくるかもしれません。でもそれはとんだ勘違い。誤解を生むような原因がきっと、あなたの発表の仕方のどこかにあるはずです(専門用語を説明なしで使っている、論点が矛盾している、くどすぎる、など)。
聴衆からの意見や感想は素直に受け入れ、どこをどのように直せば、誤解が生じにくくなるのか、具体的なアイディアをもらいましょう(作業時間 約120分)。
聴衆からの意見を取り入れて(彼らの言うことはいつでも正しいことを忘れずに!)、手書きOHPメモを修正し、そして最終版を作成します(こんどはフィルムに)。もちろん、ワープロソフトやプレゼンテーションソフトを使いましょう。できれば、イラストやダイアグラムを使って、ビジュアルに理解できるOHPを作りましょう。パソコンを使ったプレゼン資料の作成方法については、他にいろいろと教科書もあるので、そちらを参考にして下さい(作業時間 約180分)。
レジメを作る必要があるなら、OHPの内容を今度は1枚の紙に写すことで作成します。レジメにはもう少し詳しい情報も書けるはずです。ただ、あまりに長いレジメは必要ないでしょう。A4一枚に要旨をまとめて、もう一枚に図表を載せる程度でよいでしょう(作業時間 約120分)。
注意:本来ならレジメはいらないというのが私の持論です。発表中はあなたの発表に聴衆の注意が集中することが望まれるし、説明不足があって、後で詳しい情報が欲しいという要望に対しては論文のコピーを謹呈すればよいのですから。
自分一人でも、聴衆つきでもかまいません。本番さながらに(できれば、OHPを使って)練習しましょう。
OHPフィルムは互いにくっつきやすく、また、どちらの方向に乗せればよいのか最初はとまどいます(自分に見えるように置けばよいのですが)。本番にできるだけ近い状況で、自分が納得するまで練習します(作業時間 約60分)。
これだけ準備をすればもう大丈夫。心配はいりません。でも、やはり発表の前は緊張します。一番、不安になるのは質疑応答かもしれません。そこで、聴衆から上げられる質問に対応するいためのコツを伝授しましょう。
| 質疑応答をうまくこなすコツ |
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以上