ビギナーのための

知的生産性を高めるあの手この手

 研究や教育をはじめとする知的生産活動には行く手を阻む数々の妨害要因があります。これらを乗り越えるためには「意欲(ヤルキ)」のみならず「技(ワザ)」の力を借りる必要があるのではないでしょうか?

 このコーナーでは、「ビギナーのための知的生産性を高めるあの手この手」と題して98年12月17日に開催した特別講習会の資料を公開しています。この講習会の狙いは、それぞれが日頃から駆使している「技(ワザ)」を持ちよって、見せ合い、盗み合うことで、お互いの知的生産性を少しでも高めることにありました。私たち教育工学分野のスタッフに加えて、保健体育講座から松井敦典先生、教育方法講座から川上綾子先生も参加して下さり、技を披露して下さいました。また、学期末にもかかわらず、28名もの参加者があり、なかなかの盛況ぶりでした。

 教育工学分野では、今後も、こうした講習会を企画・開催していきます。講習会のテーマなどに関する、ご意見、ご要望をお待ちしております。


コンピュータを知的生産に活かす技 (松井敦典)

 松井先生は、毎朝、ローソンから始まる情報収集とその活用に関する技を、パソコンのプレゼンテーションソフトを駆使して披露して下さいました。あまりに綺麗なスライドショーだったので、無理を言って、ホームページにしていただきました。松井先生によれば、パワーポイントというソフトを使えば、作成したスライドショーをホームページで公開できるように自動的に変換できるそうです(これも知的生産のワザですね)。

松井先生のスライドショーはここ

 私の印象に残ったのは、以下の3点です。

1.コンピュータを知的生産に活かす理由

 松井先生は、「仕事がはかどり、うまくいく」という目的の他に、「自分の欲求が満たされ」、「幸せになれる」という目的もあげられていました。いくら仕事がはかどっても、いつもイライラして、仕事や職場に不満だらけじゃ健全とはいえませんよね。私も、全く同感でした。

2.さまざまな情報源を使う

 私たち研究者はともすると世俗に疎くなりがちです。「象牙の塔」に閉じこもらず、流行雑誌や、一見怪しげなホームページやメーリングリスト、新聞の広告やチラシにまで目を通し、逆に、研究につながるヒントを探すという視点は、とても面白いと思いました。

3.保健体育講座のBBS(電子会議)

 保健体育講座では、電子メールや電子会議をできる限り活用し、講座運営に役立てているとのことです。やたらと積み重なる紙の書類や、長時間に及ぶ会議が苦痛な私にとっては、うらやましい限りでした。


メーリングリストを活かす技 (川上綾子)

 川上先生は、「私よりメーリングリストを活用している人はたくさんいるのですが.....」と謙虚な前置きをされながらも、メーリングリストを積極的に利用する技を披露して下さいました。

 中でも、私の印象に残ったのは、被験者の募集にメーリングリストを使ってしまうというアイディアです。通常、学会や研究会の告知など、一方向の情報の発信や受信に使われることが多いメーリングリストですが、そんな使い方もあるんだなと勉強になりました。


思考の行き詰まりから抜け出す技(三宮真智子)

 三宮先生は、思考の行き詰まりの原因を(1)発想の行き詰まりと(2)論理展開の行き詰まりに大きく分け、それぞれについてそれを打破する技を披露して下さいました。

 時期的に、卒業論文や修士論文に取り組んでいる参加者の皆さんにとっては、発想の段階を知り、焦りとムダを省く、どんなに小さなアイデアもとりあえず書き出す、評価は後回しにする、他者に話を持ちかける、他者評価を求める、などの具体的なアドバイスは役に立ったのではないでしょうか?

 三宮先生が実践しているこうした技の数々は、すべて認知心理学の研究に裏打ちされた技であるというところも面白かったです。当日プレゼンテーションに使われたOHPを公開しますので、ご参考にして下さい。

三宮先生のOHPはここ


時間を最大限に活かす技(島宗 理)

 私こと島宗は、システムノートを使った、毎日の行動のマネジメントについて技を披露させていただきました。かつてはザウルスなどの携帯端末を使ったこともありましたが、長年の遍歴の末、結局は手書きのシステムノートに落ちついています。

 私の人生の目標は『明るく楽しく暮らしながら社会に貢献する』ことです。これを達成するための目標を、長期(数年間)、中期(3ヶ月)、短期(1ヶ月)の3レベルでたてています。毎日の作業計画は、机の前に張り出した1ヶ月ごとの短期目標を元に作成します。コツは1つの作業がせいぜい1.5時間くらいで終わるようにスケジュールすること。それから、作業が完了したり、延期や中止を決めたり、新しい作業が発生したときには、すぐにノートに書き取り、処理してしまうことです。

 自分は仕事だけでなく、私生活にもこの方法を応用しています。たとえば、昔、会社勤めで、毎日がストレスの固まりだった頃は、一日の終わりに自分の幸せ度を5段階で評定し、グラフに描いていました。と、同時に、その日の仕事量(ポイント数)、運動量(スポーツクラブで運動した時間など)、社交量(友達と話した時間など)などを記録していました。そうすると、幸せ度と社交量はみごとなまでに反比例の関係にあることがわかりました。そこで、幸せ度があまりに低くなった時には、一日の予定に「〜に電話する」という項目を入れたりして幸せ度をマネジメントしていました。まさに幸福の科学ですね(^^)。

 当日、配布した資料を公開しますので、ご参考までにどうぞ。尚、幸せ度を、より客観的に測定できるかと期待した「イライラ度計測ガム」ですが、その後、どこのローソンでも見かけません。ご存じの方は、ご一報下さい。

島宗の資料はここ


書類を整理する技(井上久祥)

 井上先生は、たくさんの段ボール箱を持参で壇上に上がり、書類を整理する技を披露して下さいました。書類を整理するといっても、分類して、見出をつけて、ファイルして.....といった手間のかかる技ではありません。せいぜい、至急処理しなくてはいけないもの、そうではないもの、処理済みのもの、捨てるものという数種類の箱に分け、箱の中は古いものから新しいものへと、自然に、時系列に保存するという井上式超整理法(!?)です。これなら自分にでもできそうだとメモしました。

 また、いらない書類は、とりあえず「捨てる書類」の箱に入れるが、実際に捨てるのは数週間後にするという技は、何でもすぐに捨ててしまって後で困まる私にとっては救いの必殺技でした。書類整理用の箱も、高価な文具を購入するのではなく、コピー用紙の梱包箱の再利用ということで、環境にも優しい整理法でした。