教育実習の見学:Hastings Middle School 2/9(火)

オハイオ州立大学教育学部M.Ed.コースの教育実習

 教育実習を見学させてもらうためにHastings Middle School を訪問する。M.Ed.コースでは、最初の4クオーター(1年間)には、週1回、1回4時限、5、6クオーター(半年)には、週2回、1回半日、地域の学校で授業を行う。今日見学させてもらうのは、リソースルームでの補習。普段は通常学級にインクルージョンされている学習障害やattention deficitなどいくつかの障害をもった子ども(cross categorical)のための授業で、Direct Instruction という、行動分析学をベースにした市販教材(SRA社)を使って教える。Direct Instruction は緻密にプログラムされたカリキュラムと教材、教師のためのスクリプトからなる。

 授業が始まると実習生のモートンがき教壇に立ち、私と遠藤さんはこのクラスの担当で、教育実習生のスーパーバイザーでもあるロニーと一緒に後ろの席に座る。子どもたちは我々のような見学者に慣れているということ。子どもは8年生で6人。さっそく授業が始まる。教材は“Expressive Writing”で、日本語で言う句読点の打ち方などを学ぶところだ。子どもたちは学習障害やADとは思えないほど授業に集中している。というのもDirect Instruction では常に子どもからの反応を求めるので集中していないと教師の質問(1分に1回以上ある)に応えられないからだ。

 傍らでロニーがいろいろ説明してくれる。この学校はこの地区でも成績の高い学校であること。それがゆえに他の子とこの子どもたとの差が大きく子どもたちにとってはプレッシャーになること。自分はOSUのスタッフとは10数年にわたるつきあいで、だいたいいつも3-4人の実習生を引き受けていること。障害児教育のためにいろいろ試してきたが、Direct Instruction が今までのところ一番有効だと思うこと。Direct Instruction についてはオレゴン大学のエンゲルマン博士のワークショップに参加してトレーニングを受けたこと。子どもたちの動機づけにはクーポンを使っていて、金曜日にはくじ引きしてソーダなどと交換すること。などなど。

 説明しながらも、ときおり、モートンの教示があまりはっきりしないときには、セリフを繰り返したり、キューをだしたり、子どもたちと一緒に大きな声で答えたりする(Direct Instructionでは、教科書の1セクションのような教材を提示し、教師が説明し、問題をだし、キューをだしてクラス全員が同時に声にだして答えるという手法を使う)。授業中だけでなく、授業が終わった後にも実習生と一緒に練習するそうだ。

 学生は大学院の講義で、Direct Instruction のベースになる行動分析学の理論を学び、実際に教材にふれ、練習をしてから実習に入るので、数週間で形になってくる、とロニーは言う。遠藤さんによれば、Ph.D.かM.A.のGA(graduate assistant)が、週1回、チェックリストを使った客観的な評価にやってくるそうだ。教官はほとんどこないらしい。

 この学校では一時限は42分、休憩は4分。1日9コマあることになる。何でそんな中途半端なんだろうと聞いたら、登校と下校時間が決まっていて、各教科の規定時限数をこなすために計算するとそうなるのだそうだ。

 隣のクラスでは6年生が“corrective math”の授業をやっていて、こちらものぞく。やはりDirect Instruction なので、教師の問いかけにクラス全体が答えるという形で授業がどんどん進んでいく。教室のはじの方で、もう一人の先生が一人の子どもと一対一で他の課題に取り組んでいる。こちらの先生の方が年上のようだったので、つい実習生かと思ったら、実際は逆で、教壇にたっている若い先生の方が「本職」だった。聞けば、M.Ed.の学生には、学部を卒業してすぐの若者より、主婦とか、他の職業から転職してくる人の方が多いそうだ。

 ロニーとDirect Instruction の効果についてもう少し話をしてから学校を後にした。