オンラインコース EDP&L671:Technology in Education を提供する Hall博士にお話をうかがった。このwebページはTIENET(Technology in Education Network)というタイトルで、授業と言うよりは1つの仮想空間としてデザインされている。学生はこの仮想のコミュニティに参加し、プロジェクトを進めることで、教師としての自らの専門性を高めていく。教官が教えるというよりは、学生が学べるような空間を提供するというスタンスをとる。
参加者(ほとんどはM.A.コースの現職教員)はTIENETに用意されたリソース(電子メール、電子会議室、メーリングリストの使い方、パワーポイントを使ったプレゼンの仕方など)を活用してプロジェクトを進める。プロジェクトはそれぞれの教育現場での教材開発や授業づくりである。たとえば、中学校で電子メールを使ってシェイクスピアを教える授業をつくるとか、高校でマルチメディアを使ったAIDS教育を行う授業を計画するなどの例があげられている。“engaged learning”という考え方に基づくデザインである。
このコースの開発には、2人のTAと、情報処理センターのShovan博士の協力を必要とした。最初のクオーターには40人、次のクオーターには80人の学生が履修した。クオーター中は1、2人のTAがつき、Hall博士自身は、毎日およそ3時間をこのコースの運営に費やした。最初のセッションだけはキャンパスで授業を行い、主旨を説明した。また最後の授業では大学の外の施設でファイナルパーティーを行った。クオーター中も、パソコンの使い方などがわからない学生のために「help session」 と称して、週に1回自由参加の機会をもうけたが、2-3人の学生(だいたい同じ学生)が常にこれに参加した。Hall博士は、インターネットやパソコンは一般家庭に浸透してきており、ほとんどの学生は問題なく使えると考えている。
それまで講義でやってきたことをそのままホームページにしようとは考えないこと。たいていつまらない、味気ないコースになる。いいコースを開発するためには、インストラクショナルデザインによってこのオンラインに適したデザインを考えることが大切。また、すべてを自分で開発しようとせずに、既存の資源を利用すること(たとえば、ホームページの作成を教えるサイトはたくさんあるのでそれをリンクするだけにする)。
現職教員のための教育システムとして、オンライン授業はこれから一層重要になり、盛んになるだろうとHall博士は考える。うまくデザインすれば、インストラクターの負担を増やさずに履修生の数を増やし、それでもなお、履修生同士の相互作用を確保できる。だから、初期の開発コストを授業料を上げずに回収することは不可能ではない。ただし工夫が必要である。
学生からの評価:自分の都合のいい時間に、大学まで行くこともなく勉強できるところが評価が高い。学生どおし(現職教員どうし)がネットワークを通して知り合え、情報交換できるところも評価が高かった。えてして、大学の教官からの情報より、同じ授業を教えている他の教員からの情報の方が役に立つことがある。大学の教官はこの点をもっと認識すべきである。教官や他の学生と直接顔を見て話すことができないことを不満に思う学生もいるが、どちらかというとこれは副次的だと考えている。むしろ、学生の顔を見て話せないことを嘆くのは大学教官の方ではないか、とHall博士は考える。
Hall博士は、現在、同様のコースの学部生バージョンを開発中である。