オハイオ州立大学とカリフォルニア州立大学で聞いた話では、日本でいう『定員』に対応するものとして“Full-Time Equivalent”(略してFTE)という指標があります。アメリカの大学では、学生によって、1学期にとっている授業の数がかなり変動します。特に大学院ではパートタイムの学生も多いですから、コースに在籍していても授業を取っていない学期があったりするわけです。また生涯学習の単位を取りに来たりしている、学位取得コースには在籍していない学生もいます。つまり、教官や、講座、学部、ひいては大学のパフォーマンスを示す指標として、学生の頭数(“head count”、日本でいう定員に近い)はあまり意味を持たないわけです。
以下は、カリフォルニア州立大学心理学部の主任教授、Hesse博士にうかがった話です。
州からの予算は昨年の“head count”にもとづいて配分される。大学内ではFTEにもとづいて各学科、学部に配分する。平均的なフルタイムの学生は1年間に30単位(5クラス)履修するとしているので、FTEは(学生の数)×(学部・講座で開講された授業の数)÷30で計算される。ただし、こうした計算方法はセミナーや演習、実験実習などには不利な計算式である。そこで心理学部では、学部低学年の大教室での授業を非常勤を使って教えることで、演習や実験実習などの少人数クラスのFTEを補っている。実際、心理学の場合、「セクシャリティ」や「自己実現」などポピュラーなテーマで授業開講することで学生の数を集められるので、FTE換算に有利だが、生物学や歴史学などではそうもいかず、学部・講座間でどれだけFTEを達成しているかには大きな開きがある。
カリフォルニア州立大学はもともと教員養成を主な目的に設置された大学であるので、大学院に対してはUC系列(University of California)のように優先的な予算半分がなされない。そこでどうしても、学部の大規模クラスの授業による収入により大学院の小規模なクラスの授業、演習、実習をまかなうという形になっている。大学では、遠隔教育(サイトへのテレビ放送)によって授業あたりの学生数を増やそうとしているが、Hesse博士は個人的には教育の質に悪影響を及ぼすのではないかと懸念している。少なくとも、実験実習など、遠隔教育では実現できないものがある。しかしながら、心理学部の大学院コースが学部の大教室授業なしでは存続し得ないように、質の高い授業を維持するために、質の低い授業を続けなくてはならないのも現実ではある。
Western Governers University は、大学教育を受ける機会を広げるために、17の州と1つの地域が共同して設立した連合大学です。学生の都合のいい時間に都合のいい場所で、学問的にも職業的にも質の高い教育が受けられるように遠隔教育の方法を使うことが提案されています。各州の知事の目指すところは以下の通り。
同様のアイディアは別の地区でも検討されています(たとえば、Southern Regional Electronic Campus)
Distance Education Clearinghouse (http://www.uwex.edu/disted/home.html)では遠隔教育に関するニュース、新聞記事などの最新クリップが公開されています。