米国における通信制大学院の在り方に関する調査研究

 鳴門教育大学では大学院修士レベルの教育や研究の機会を、より広く、より柔軟な形で、より多くの現職教員に提供できるように、通信制大学院の設置を検討しています。その中で、この度、私こと島宗は「通信制大学院設置検討専門委員会」の一員として、米国における通信制大学院の動向と実態を把握するための調査研究をお引き受けすることになりました。そこで教育工学分野ではこの機会に、これをコラジェクトの1つとして、遠隔地との共同思考をインターネットを使って支援する、実践的な試みを行うことにしました。

 1. 調査研究報告をリアルタイムに公開する

 渡米中、できるだけ頻繁に、このページを更新していきたいと思います。

 2. 調査研究報告についてリアルタイムに討論する場をもうける

 このページに電子掲示板を設定し、調査研究報告を読まれた方がご意見、ご感想などを書き込めるようにしたいと思います。

 3. その他にもいくつかの企画を考案中です

[研究計画]

[研究報告]

オハイオ州立大学

生涯学習協議会マネジメントセミナー

小休止

シカゴの公立小学校

モーニングサイドアカデミティ

City University

小休止

カリフォルニア州立大学スタニスラウス校

小休止

スタンフォード大学ラーニングラボ

最後に


[電子掲示板]

ご意見、ご感想、ご提言はこちらへ


調査の目的は?

米国における通信制大学院の在り方−動向と実態−を掴むことです。文部省は、現職教員のための修士レベルの教育に、「通信制」という制度や教育方法がマッチするかどうかを懸念しているようにも思われます。そこで、いくつかの大学や関係機関を訪問し、資料を収集したり、教官や事務官、学生にインタビューを行うことで、通信制大学院の設置と運営に必要な組織や人員、施設、有効なカリキュラム、教育方法、メディアの利用などについて調査しようと考えています。特に、学校や地域との連携の中で、学校改善と教員の再教育を密接に関連づけた実践を行っている大学や研究機関を中心に調査を行うつもりです。


調査期間は?

1999年2月5日−3月11日です。


訪問先は?

訪問先と訪問予定を下に記します。


調査のポイントは?

いくつか見所をあげておきましょう。

1. オハイオ州立大学

 オハイオ州立大学の教育学部ではいくつかの講義をインターネット上で実施しています。このためにホームページ上の教材やビデオ教材が開発され、学生が教材を自己学習した後のクラス討論を支援する電子討論のシステムも開発されています。今回はこのシステムを開発したチームだけでなく、履修生にもインタビューできそうです。またこの学部ではプロフェッショナル・デベロップメント・スクール(PDS)の考え方を取り入れた教員養成や、現職教員の支援による学校改善に取り組んでいるスタッフが多くいるので、そうした教員養成全体のカリキュラムの中の通信教育の位置づけについてお話が聞けると思います。

2. 生涯学習大学協議会

 生涯学習大学協議会University Continuing Education Association)は米国の数多くの大学が加盟している生涯教育機関の協議会です。今回、ちょうど渡米中に、この協議会が開催するセミナーが開かれることが分かったので参加してくることにしました。セミナーのタイトルは“Creative Collaborations: New Ways Universities Are Advancing K-12 Education”。ホームページで発表の内容を見ると、大学と学校が共同で教育改善に取り組んでいるプロジェクトの報告が主のようですが、その中で、教師の能力をいかに開発していけるかがテーマになっています。

3. モーニングサイドアカデミィとシカゴのサイト(小学校)

 モーニングサイドアカデミィ(Morningside Academy)は、元々、シアトルにある、発達障害児や学習障害児、あるいは勉強の遅れた子どものための私立学校でした。そこでは"Precision Teaching"と"Direct Instruction"という、科学的に効果が実証された教育方法と教材が用いられ、1年間で2学年分学習が進まなければ授業料を返還するというポリシーで教育が行われてきました。その成果は次第に世間の知るところとなり、数年前からシカゴの学区では現職教員の再教育と学校改善のために、モーニングサイドアカデミィからコンサルタントを招いて、その方法を導入することになりました。今回は、シアトルにある本校だけでなく、シカゴの3つの小学校にも訪問し、そこでオンサイトでの教師教育がどのように行われているか観察してきます。

 また、モーニングサイドアカデミィの創始者である、ラング博士とジョンソン博士は、今年度より、モーニングサイドアカデミィの教育方法の基礎になっている学習理論やインストラクショナル・デザインを専攻する、インターネット上の修士コースを設立しようとしています。The New School for the Learning Sciences という大学院です。今回は、このお二人にも直接インタビューができそうです。

4. シティ大学

 シティ大学はアメリカでも有数の通信制大学であり、また、いち早くインターネットを採り入れ、コースのオンライン化を果たした大学です。残念ながら、教育関係のコースはまだオンライン化されていないようですが、他のコースの様子を調査してこようと思います。

5. オレゴン大学

 オレゴン大学教育学部ではホーナー博士を中心に学校を基盤とした問題行動の解決プロジェクトが進められています(Positive Behavioral Intervention & Supports)。このプロジェクトは全米のいくつかの大学と連携した大きなプロジェクトになるようです。今回は、このプロジェクトの中心メンバーであるスガイ博士に同行し、学校の教師と保護者に対して提供するワークショップを見学させていただくことになりました。言うまでもなく、教育改善のためには、教師だけでなく保護者の協力、そして連携(コラボレーション)が欠かせません。こうした取り組みを生で観察してこようと思います。

6. カリフォルニア州立大学スタニスラウス校

 カリフォルニア州立大学スタニスラウス校は、1981年より通信制コースを開始し、これまでにおよそ934のコースを31,500人の学生が履修しました。テレビ放送(電波、ケーブルTV)やインターネットを利用したコースづくりが行われています。すでに10年以上の通信制の歴史がある大学なので、組織運営やカリキュラム編成、学生の募集など、様々なノウハウが学べるのではないかと期待しています。また、現在、過疎地区の小学校と共同で学校改善と教師教育を行うプロジェクトを立ち上げているそうなので、その話も聞けると思います。

7. スタンフォード大学ラーニングラボラトリー

 スタンフォード大学ラーニングラボラトリーは、大学生の学習を支援するための研究所として設置されている機関ですが、メディアを最大限に活用したそのアプローチに特色があります。また、大学附属の機関が、大学の授業実践を通して大学教育の改善に取り組んでいるところも特徴的です。インターネットを始めとする様々なメディアや最新の技術を、いかに大学教育の質の向上に役立てることができるか、有用な情報が入手できそうです。