title3.gif (4549 バイト)

                                                   

   心の健康教育を担う中心的な教育であるフィークス(PHEECS: Psychological Health Education in Elementary-school Classes by Schoolteachers)と呼ばれるプログラム群は、現段階では小学校と中学校を対象に構成され、次の諸点においてその特徴をもつ(保育・幼稚園にも展開予定)。

@問題となる性格や行動の発達・顕在化過程についての実証的基礎研究を重視する。

  子どもの心的特性への教育や介入をはかる場合、このプログラムにおいては、その特性の発達過程や特徴についての実証的基礎研究からの資料を重視する。発達過程などの資料は、その形成についての情報であるから、そこから心的特性への教育・介入プログラムを構築するために有益な要素を引き出して利用する。つまり、教師の主観や思いつきで、プログラムを作成することはしないということである。

A特定の方法や理論にとらわれず、心理学を中心に多領域の方法と理論を広く取り入れ、種々のパターンに応じてプログラムを考案する。

  子どもの性格や行動は多様で、それらを形成したり、維持したりする要因も個人差が大きい。このような特徴をもつ性格・行動への教育や介入は、一つの方法や理論にとらわれて実施することでは不十分である。パッケージ療法という言葉があるが、このプログラムは、教育対象や状況に応じて種々の方法や理論を柔軟に適用することに一大特色がある。現在候補にあがり、また実際に利用されている理論は、心理学における基礎・治療理論(条件づけ、社会的認知理論、認知・行動療法、カウンセリングなど多領域に及ぶ)を中心にして、保健学領域の諸モデル(ヘルス・ベリーフ・モデル〔Health Belief Model〕、プリシード/プロシード・モデル〔Precede/Proceed Model〕など)をも取り入れている。実践方法も、対象や状況によって、ロール・プレイング(role playing)、ブレイン・ストーミング(brain storming)、ゲーム、日記指導などを広く取り入れることになる。

B客観的、科学的評価基準を取り入れる。

  プログラム効果については、統制グループを設定し、プログラムの実施前後(実施後から一定期間を経たフォローアップ評価も含める)の変化を教育グループと統制グループで比較する方法をもって評価する。統制グループは、心の健康教育を受けないグループで、この教育を受けない場合の一般的なグループ状態を推測するために設定される。また、評価に際しては、信頼性と妥当性のある尺度や方法を用いることが必須となる。こうして、教師の主観的な印象で効果を見定める姿勢はできるだけ排除することになる。

C学校における教育的、予防的、集団的実施という3つの実施特徴を同時に満たす。

  フィークスは、個別に行われる治療的試みではなく、学校クラス集団に対して教育的、予防的、集団的に実施するという方法特徴を欠くことはできない。この特徴が、学校がもつ本来の教育姿勢や過程に適合し、現場においてフィークスを実践する意義と可能性を高めている。

D教育対象は、健常範囲にある性格的ならびに行動的歪みや問題である。

  予防的に実施することがこのプログラムの特徴である以上、実際に不適応状態にある子どもを直接対象にするのではなく、健常範囲にある心的特性の歪みや問題を対象にすることになる。つまり、病的状態にある者の治療や対処は別の試みであたるべきであり、この治療的試みは既に数多く実施されている。

E予防対象は、心身へのストレスと心身の疾患である。

  このプログラムの予防対象は、精神的不適応だけではなく、特定の身体的疾患でもある。心の健康教育の「心」とは教育対象としての心的特性(性格や行動)をさすが、この教育の目指すものは心身両方の健康を含んでいる。

F発達途上の子どもを対象にする。

  現在のところ、フィークスは、発達途上の子どもたちを対象にし、成人を対象にしては構成されていない。それは、子どもたちの教育可能性の高さと学校クラスの利用が、プログラムの大きな支えになるからである。

G学校教員がわずかなトレーニングを経て実施することができる。

  特別で、長期にわたるトレーニングを必要とするプログラムであれば、プログラム実施者として期待される学校の教師が実施することはむずかしい。ある程度のマニュアルをもって、簡単に実施できる特徴がこの種のプログラムには必要である。

   これらの条件のうち、最初に記載された条件ほどフィークスの特徴として重要になるが、これら8つの条件がすべてそろうことでフィークスが成立すると考えることができる。ただし、プログラム開発途中では、これらの条件の一部が欠落することはやむをえない。プログラムの開発の初期段階では、簡便さを犠牲にしてもプログラム成果を上げることを重視し、その後徐々にプログラムのスリム化をはかることになる。

 

フィークス・プログラム群の構成(作成中を含む)

  性格改善教育プログラム    攻撃性の適性化
     依存・消極性の改善
  自律的で高セルフ・エスティームへの改善
    ストレス低減プログラム    対人ストレスの低減
    生活習慣改善プログラム    睡眠習慣の改善

                                            小学校と中学校で展開中

フィークスで,特定の病気予防をめざすプログラム群

(作成中を含む)

  身体疾患予防プログラム   生活習慣病(糖尿病,冠状動脈性心臓病)予防
    精神疾患予防プログラム   うつ病予防

                                            小学校で展開中

wb01542_1.gif (729 バイト) ホームページへ戻る