自然系 数学コース 15817129 M2 古谷 公一

1.はじめに

今日、我が国では、「学力の低下」が叫ばれている。その現状に対し、我々現場に立つ教師は、自ら考え行動していく必要がある。そのため、日本の教育はもちろん、世界の教育に目を向け、考察し、日本の教育に生かすことができれば、違う視点で日本の「学力の低下」問題に対応できる可能性がある。

一方で、発展途上国では、学力向上をはじめ、さまざまな教育事情の改善のため、教育関係者が頭を悩ませている。そのような状況のなか、国と国とが互いに協力することによって、世界全体の教育水準の向上が考えられる。

そこで今回、我々は、教育改善のため、ジブチ共和国へ訪問し、視察を行った。

本視察報告書は、以下に従って構成する。
1.はじめに
2.視察の概要
3.視察1日目
4.視察2日目
5.視察3日目
6.視察4日目
7.まとめ及び考察

2.視察の概要

  • 視察の目的:教育事情を把握し、教育改善、向上に寄与していくことを目的とする。
  • 視察対象:ジブチ共和国にある小学校、中学校、教員養成校
  • 視察員の構成:大学教員2名、大学院名1名、大学生1名

3.視察1日目

この日は、ジブチ市内の小学校を視察した。授業内容は、立方体と直方体を比較し、それぞれの特徴を見つけるという授業を展開していた。導入では、子どもたちの身の周りにあるさまざまな立体を持ってきて、その中から立方体と直方体を取り上げる。

展開部分では、教師が用意した、木製の立方体と直方体の形をした具体物を用いて、その具体物に子どもたちが実際触れながら立方体と直方体を比較していく。そして気付いたことを子どもたちに発表させる。まとめは、教師が立方体と直方体の違いについて説明をするという授業の流れであった。子どもたちは活発に意見を発表していた。

4.視察2日目

この日は、ジブチ市内の中学校へ視察をした。授業内容はさまざまな平面図形の特徴をICT教材「Geogebla」を使って、示していた。導入では、子どもたちは、教師が用意したワークシートを用いて、様々な平面図形の角度や辺の長さを、分度器や定規を使いながら調べていた。展開部分では、子どもたちが調べた結果をもとに、ICT教材「「Geogebla」使い、さまざまな平面図形の特徴を子どもたちに示していた。教師は日ごろの授業から、ICT教材をうまく活用しており、非常に技術があった。

5.視察3日目

この日は、タジュラ市内の小学校を視察した。授業内容は、小数÷整数の割り進むことのできる割り算の授業であった。導入では、ミニ黒板を用いて、前回の復習である小数÷整数の確認問題を行い、既習事項の確認をしていた。展開部分では、教師が用意した文章題をもとに、割り進むことのできる場合の割り算の場面設定を行い、子どもたちに考えさせていた。まとめでは、割り進むことのできる割り算があることを紹介し、手続き方法を指導し、評価問題を行っていた。流れを意識した授業であり、わかりやすい授業であった。

6.視察4日目

この日は、ジブチ市内にある教員養成校を視察した。算数教育法の授業を行っており、直径と円周の関係における教育法をジブチの大学生が学んでいた。ジブチの大学生は、実際に子どもたちが扱う具体物を用いて、直径と円周を計りとり、直径と円周の関係を調べ、円周率を導くという授業展開の流れを実践的に行い、大学の教員はそれに応じて要所で解説しながら、講義が進められていた。

7.まとめ及び考察

今回、発展途上国の教育を初めて視察したが、改善の余地がある多数ある。例えば、教師が、答えを教え込む授業を行っており、子どもたちが主体的に問題解決をする時間がなかった。また、日本のような学習指導要領がジブチにはなく、現場の教師によって、授業に差が生まれているのが現状である。しかし、どの教師も厳しい教育環境に屈することなく、自ら考え、工夫し、授業展開を行っており、また、「授業の流れ」「ICT教材」「日常とのつながり」などといった授業内における目標をしっかり持って取り組んでいた。

日本の教育事情を見ていると、学習指導要領や、校内研修、教育実習など教育環境が整っている。しかし、それゆえ、それらに依存しすぎている教師も少なくない。日本の教師は整った環境に頼るだけではなく、ジブチの教師のように、自ら考え工夫し、子どもたちの現状に合った教育を行おうとする意識を持つことでより良い教育につながるであろう。

最終更新日:2016年12月14日