教科・領域教育専攻 国際教育コース L1年 伊藤 紗季

11月22日から一週間,香西教授とともにモロッコを訪問させていただきました。現地のスタッフの方たちと行動を共にし,地方の小・中学校を回って算数・理科の授業のビデオ撮影等を行いました。またモロッコの教育関係者の方との話し合いの場にも同行し,貴重な体験をさせていただきました。

数週間~1年などの語学旅行やホームステイに出かける学生は多く,私もこれまで交換留学や旅行で海外を訪れたことがあります。ですが今回のように,実際のJICAプロジェクトで働いているスタッフの方々と話し,自分も現場に入らせていただいてその仕事の様子を一週間見聞きできたことは,これから自分はどのように自分の知識を活かしていけるのか考え,そしてこれからも色々なことを勉強しより広い視野で考えていけるようになりたいと強く思うきっかけとなりました。また,これまでに旅行で海外を訪れた時よりも,相手の文化についてもより深く知ることができる経験であったと思います。

私は学部時代にアラビア語専攻で勉強していましたが,日本ではアラビア語を使う機会もなく,卒業後も勉強してきた言語とは特につながりのない職種に進む人がほとんどで,自分でやりたいと思い選んだ言語ではありましたが,正直その環境の中でアラビア語力を向上させ,また勉強のモチベーションを保ち続けるのは難しいことでした。

しかし今回,旅行ではなく現場に入らせていただいたからこそ1日中言語に触れることができ,そこに仕事上のやりとりや人との出会いがあるので,言語習得の必要性をより強く感じました。

モロッコでは,学校の授業では正則アラビア語と呼ばれるもの,日常会話ではそれとはかなり異なるモロッコ方言が話されており,加えて皆フランス語も流暢に話す環境であることを体験しました。日本人スタッフもフランス語でモロッコの方々とコミュニケーションをとり,英語は使われませんでした。英語以外の言語が使用される環境の中で,自分の勉強してきたことが活かせる現場もあるのだと実感できたことも,私にとってはとても大きな気持ちの変化につながりました。今はこれまで勉強してきた正則アラビア語に加え,モロッコ方言やフランス語も勉強し,今度訪れる際には絶対に自分の言葉で相手とコミュニケーションをとれる様になっていたい,現地の授業内容をはっきり把握できるようになっていたいという気持ちでいっぱいです。

私は言葉なしに人と関わることが得意ではないので,言語習得の必要性を感じておりここまで言語のことばかり書きましたが,学校訪問では元気でかわいい子どもたちや,各々の工夫を凝らして授業を行う先生の姿を見ることができ,そういった人の姿を実際に見ていると,やはり自分も将来何らかの形で,日本に留まらない世界中の人と関わりながら活躍できる存在になりたいという気持ちが高まりました。そういった現場で働くためには,教育分野における自分の専門性を高めていく必要性の方がむしろ大きいことも強く感じていて,大学院の3年間はあっという間ですが,この時間にできるだけたくさんのことを吸収したいと思っています。

学部時代にアラビア語を勉強していた時には考えてもいなかった機会を,こうして提供していただいたことに,とても驚き感謝しています。私自身も今回の学校訪問で見た授業から感じたことも含めモロッコ教育の現状について考えたり,教科書の翻訳をしたり,これからも自分にできる形で関わり続けていきたいです。

最終更新日:2016年12月14日