笹部正司さん(大学院自然系理科コース修士課程2年)が,インドネシアで公開授業を行いました。

本学大学院生が,インドネシアで理科公開授業を行いました。

笹部正司さん(自然系理科コース修士課程2年)が,インドネシアで公開授業を行い,高い評価を得ました。

昨年に続いて,今年も,インドネシア教育大学(インドネシア・バンドン市)から招請を受け,本学教員と学生2人が第4回授業研究大会(7月21日~7月23日)に参加しました。

大会初日には,基調講演者の1人として小野由美子が「Lesson Study:Challenge of Sustainability」と題する講演を行いました。インドネシアでは,授業研究(レッスン・スタディと呼ばれている)を通して授業の質を改善することに,国をあげて取り組んでいます。途上国の中では授業研究の経験が豊富な国の一つです。しかし,授業研究を持続・発展させることはどこの国でも大きな課題となっていることから,基調講演では,授業研究を持続するための課題について話しました。

大会最終日の三日目の午後,レンバン市の中学校を借りて,インドネシア教員(午前)と笹部さん(午後)による公開授業(インドネシアではオープン・レッスンと呼んでいます)と授業検討会が開かれました。

小野授業のねらいはなんですか?

笹部酵素の働きと温度との関係について,実験を通して理解する,というものです。日本の理科授業のやり方を見てもらう,という気持ちで,予想・実験・観察・考察・結論という流れで授業を組立てました。

小野教えてみての率直な感想は?

笹部研究会に参加したインドネシア,マレーシアの先生方からは好意的な意見を多くいただいたのですが,自分としては反省の多い授業でした。生徒に予想させて,それを実験で確かめる,というやり方は,現地の先生方には新鮮だったようです。ただ,生徒が実験に慣れていないことを十分に頭に入れていなかったことと,英語でどういったらいいか,など自分のことに気を取られすぎて,生徒への目配り,気配りがおろそかになったのが一番の反省点です。

小野授業は失敗だと思いますか?

笹部紆余曲折はありましたが,「生徒自身が予想・仮説を立てて,自分自身の手で実験し,得られた結果を考察して答えを導き出す。」という流れを守れたことはよかったと思います。でも,授業のまとめの時間,グラフから気付いたことを書かせている際に,何人かの生徒が「先生,見てください」と,自分の意見を嬉しそうに見せてきたのを思い出すと,もっとうまく授業をして,もっと多くの生徒にああいった顔をさせてあげたかったと思います。

小野インドネシアで,英語で理科の授業を行う,というこの経験から,笹部さんが学んだものは何ですか?

笹部授業を通して,また,いろんな方からコメントをいただいて,改めて教員に求められるものについて気付きました。それは『生徒理解』です。生徒が頑張って英語で発言した意見に対して,私は真摯に耳を傾けていませんでした。自分の授業のプランと照らし合わせて関係のない意見を,冷たく切り捨ててしまっていました。また,授業の中で何度か「ここまで分かりますか?」と聞きながら,生徒が理解できているのか確認しないまま,次から次へと授業を進めてしまいました。「言語に二重の壁があったから」なんてことは,全く言い訳にならず,『生徒理解』が私に求められる力なのだということに気づきました。

小野最後に,何か一言。

笹部学生の段階でこのような機会を得られたことは,スペシャルでとても幸せなことだと思っています。このような機会を与えてくださったことに感謝しています。また,コースの先輩や先生方,留学生の皆さんには授業づくりにご協力いただきました。ありがとうございました。多くの方に助けられてなんとか形として授業を完結させることができました。自分に不足している力に学生の段階で気付けたこと,大会に参加されていた現地の方や,海外の方が好意的にほめてくださったこと,国外で活躍されている日本の方からコメントをいただけたこと,そして向こうで韓流スター(?)のような扱いを受けたこと,インドネシアにたくさん友人ができたこと,これらの経験は全て成長の糧になると信じています。来年度から働く兵庫県の中学校で,これらの経験を生かして精進して,経験に見合うくらいのスペシャルな先生になりたいです。そしていつかその経験を,このカンファレンスに還元できればと思います。

文責:小野由美子(言語系コース)

笹部さん01

鳴門:いろいろな方から助言をいただいて授業案を完成。

笹部さん02

インドネシア:勝手の違う天秤に一苦労。
インドネシア教育大学の学生も心配そう。

笹部さん03

研究授業の前、授業の狙いを説明する:まだまだ余裕たっぷり。

笹部さん04

みんなに協力してもらって授業準備:だんだん緊張してきた。

笹部さん05

指示通り実験しているか確認。

笹部さん06

なんで、そんなことになるんだ?おもわず固まってしまう。

笹部さん07

インドネシアの生徒には新鮮な体験:生徒に助けられた授業でした。

笹部さん08

授業検討会:実験に失敗はつきもの。なぜ失敗したかを考えることも大切。

最終更新日:2016年12月14日