窪地育哉さん(大学院自然系理科コース修士課程1年)が,インドネシアで理科公開授業を行い,高い評価を得ました。

インドネシア教育大学(インドネシア・バンドン市)は、教育改善の手法として日本の授業研究(lesson study)に注目し、授業研究、校内研修の普及に努めています。同大学では、授業研究に参加する教員の研修と交流の場として2年前から国際授業研究会議を主催しています。第3回の今年度大会(2010年8月5日~7日)には、本学から小野由美子(教授・言語系コース)が基調講演者として招かれ、”Improving Quality of Teaching: Lessons from South Africa and Afghanistan”と題して講演をしました。また、学内募集に応じた本学大学院学生4名も参加し、インドネシアの授業研究について学ぶとともに、文化への理解を深めました。

今年度のハイライトは、インドネシア、日本の現職理科教員による公開研究授業と授業検討会でした。大会初日にはインドネシア人教員による公開研究授業と授業検討会が、そして大会2日目には、参加学生の一人である窪地育哉さん(本学大学院自然系理科コース修士課程1年在学中・愛媛県立大洲高校教員)による、研究授業が行われました。

Q:何年生を対象にした授業ですか?
9年生、日本で言うと中学校3年生です。
Q:授業のテーマは?
ウミホタルを使って、酵素反応について学ぶというものでした。ウミホタルに水を加える、沸騰水を加える、など、条件を変えながら発光の様子を観察することで、生徒自身が、酵素と基質との関係を、論理的に考察していくという授業でした。おまけとして、霧吹きを使って炎色反応を見たり、光スペクトルの観察をしたりと、充実の80分になりました。
Q:何か苦労された点はありますか?
インドネシアの中学生が、酵素反応についてどの程度の知識を持っているのか分かりませんでしたし、コミュニケーションの不安も感じていました。その分、一緒に研修に参加した瀬野さん、番場さん、町口さん、自然系コースの先生方や学生の皆さんに模擬授業を見てもらって、授業の構成、発問の仕方や、英語の表現など、たくさんの助言をいただきました。予備実験なども繰り返し行い、授業に対する準備は十分に行いました。結果的に、私自身もいい授業ができたのではないかと感じています。
Q:生徒の反応はどうでしたか?

部屋を真っ暗にして、試験管の中で発光が起こると、生徒だけでなく見学のインドネシア人教員(生徒23人に対して、教員70人!)からもウォーという歓声があがりました。

生徒のコメントを紹介します。

l The lesson was very enjoyable and exciting. It made me want to learn more. Moreover, it was so understandable.
l The lesson and experiment was exciting, because there were a lot of experiments that made us understand, happy, and eager to learn more.
l I was excited because I could watch and do the experiment by myself. But, sometimes I did not understand the language.
l We could see the light in the dark and now we know about enzyme reaction.

Q:インドネシアの生徒の知的興奮と、学ぶ意欲が伝わってきますね。
はい、本当にそう思います。勉強がわかるようになりたいという気持ち、知らないことを知っていきたいという知的探究心、科学の神秘的な現象に感動する力は万国共通だ!と実感させられた授業になりました。

窪地さんにとっても、非常に貴重な経験になったようです。最後になりましたが、インドネシア教育大学のヘンダヤナ先生を始めスタッフの皆さま、レンバン中学校の全教職員の皆さまに対して、本学院生にこのような機会を与えてくださったこと、また、準備等含めて、授業実施に全面的にサポートしていただきましたことに、この場を借りてお礼申し上げます。本当にありがとうございました。

(文責:小野由美子)

授業の説明

ジェスチャーを交えて、今日の授業の説明。
生徒も先生も興味津津。

実験をする生徒たち

指示に従って、実験をする生徒たち。
周りは参観の先生方。

記念撮影

授業が終わって生徒と記念撮影
「髪型がかっこいい」と生徒。

感激する窪地さん

インドネシア教育大学から記念の盾を授与され、感激する窪地さん。

最終更新日:2010年9月21日