リューネブルク・ロイファーナ大学(ドイツ・リューネブルク)留学報告

  • 派遣大学:リューネブルク・ロイファーナ大学(ドイツ・リューネブルク)
  • 留学期間:2010年8月~2011年3月(8か月)
  • 在籍区分:大学院

私の体験談

Ich kann nicht so gut Deutsch sprechen.(私はあまりドイツ語が話せません。)

私がドイツに行ったら最初に使おうとしていたフレーズです。ドイツ語会話の本で必死に暗記した1フレーズ。使えませんでした・・・。店へ買い物に行ってドイツ語で話しかけても帰ってくるのは英語ばかり。そんな毎日が続いたこともあります。こんなにも話せないものかと自分自身にショックを受けた瞬間です。ドイツ語の学習経験はなし。留学前に数ヶ月間だけドイツ語を勉強して,今回の留学に挑んだわけですが,少しは勉強したんだから,なんとかなるだろうと少し余裕をかましていた自分が相当甘かったのだと思います。

リューネブルクの町並み

大学時代から,自分が専門にしている英語以外にも何か語学を身に付けたいという夢があり,フランス語や中国語などに挑戦しましたが,どれも長続きしませんでした。大学院に入ったらどこかへ留学したい!という思いから始まった今回のドイツ留学。もちろん楽しいことばかりではありませんでしたが,日本やドイツでたくさんの人に支えられながら,本当に充実した8か月を過ごすことができました。

私が過ごしたリューネブルクはドイツ北部に位置し,鳴門市とは姉妹都市の協定を結んでいます。大都市ではありませんが,ベルリンに次ぐドイツ第2の都市であるハンブルクには電車で,30分ほどで行くことができます。リューネブルクの街並みは本当に美しく,とても住みやすい街でした。通っていたリューネブルク・ロイファーナ大学は,鳴門教育大学に比べると規模は大きいですが,ドイツのなかではそれほど大きな大学ではありません。近くには大学の寮もあり,多くの学生がそこに住んでいます。また,ジムなどの設備もありました。茶色に統一されたきれいな大学で,たくさんの学生が様々な分野を勉強しています。

8月,私は大学が主催するドイツ語の短期語学研修に参加し,約50人の留学生と一緒にドイツ語を勉強しました。その語学プログラムには4つのレベルがあり,私は下から2番目のコースだったのですが,授業はAll German・No English・No Dictionaryで進められ,日本での短期間の語学学習のみで,ドイツ語を話したことも,ネイティブのドイツ語を聞いたこともなかった私がこの授業に参加するのは本当に大変でした。もちろん先生が言っていることもほとんど聞き取ることはできません。黒板に書かれた内容,配られるプリント,日本から持ってきたドイツ語のテキストで,授業の内容を必死に推測しながら・・・という毎日が続きました。心は何回も折れましたが,この経験がなければ私の留学生活は成立していなかっただろうなと今では思います。留学生の出身もさまざまです。やはりヨーロッパからの留学生が多く,アジア人は私含め2人の日本人と4人の韓国人だけだったので少し心細いときもありましたが,留学生,プログラムのスタッフ含め,みんないい人達ばかりで,毎日楽しく過ごすことができました。

夏の短期語学研修,最終日

9月からは,本格的に大学が始まり,一緒に勉強する留学生達と,Semesterのオリエンテーションやドイツ語の集中講義に参加し,10月はドイツ語と英語を中心に,英語で開講されている英語教育学の授業にも参加していました。こちらの人は本当に真面目に授業に参加し,積極的に発言もしています。そういう状況の中で授業を受けていると,改めて自分の実力のなさを実感させられた日々でした。夏のプログラムのときと同様に,50人ほどの留学生がおり,日本人の留学生も私を除いて6人いました。また,授業以外で,こちらにはタンデムパートナー(Tandem Partner)という制度があります。それは,日本語を勉強している現地の学生に私が日本語を教える代わりに,私はドイツ語を教えてもらう,というものです。そんな制度も利用して,できるだけドイツ人とふれあう機会をできるだけ作るようにしていました。留学生達とはパーティーをしたり,大学が主催する小旅行やインターナショナルパーティーに参加したりと,交流の機会もたくさんあり,それぞれ違った文化を持つ友人たちと,楽しく刺激的な毎日を過ごすことができました。

大学内

帰国前の2週間は,学校が案内していたホームステイプログラムへ参加し,リューネブルクを離れ,ボーフムという町でホストファミリーと一緒に最後の2週間を過ごしました。そこでは語学学習だけでなく,家族の子どもと一緒に遊んだり,大学生活の中では味わえないような経験をたくさんさせてもらいました。

Japanese Party

またドイツはヨーロッパの中心に位置するということで,ヨーロッパ各国への旅行もとてもしやすいです。私自身も休みを利用して,チェコ,ウィーン,ロンドン,ポーランド,スペイン,ベルギーと旅をしました。その他にも,クラシックコンサートや教会コンサート,オペラ,ミュージカル,バレエ,博物館や美術館の散策などなどドイツはもちろんのこと,さまざまなところでヨーロッパの文化に触れることができる機会が本当にたくさんあり,その素晴らしさに涙してしまったことも何度もあります。いろいろなところで,いろいろなことを見て,感じて,ヨーロッパの文化を満喫することもできました。

ドイツ人はとてもフレンドリーで温かいです。お店に行って店員さんに笑顔で「Hallo!」と声をかけられると,自然とこちらも笑顔になります。日本のようなホンネとタテマエがある世界ではないので,言い方がダイレクトに聞こえてしまうこともありますが,そんな文化の違いも色々なところで感じて異文化を体験してほしいと思います。ドイツの生活に慣れるのに時間はかかりません。まずは笑顔で「Hallo!」から!大変なこと,しんどいことも含めて留学をエンジョイして,日本とは全く違う雰囲気の中で色々な刺激を受けながらドイツ生活をしてみませんか?自分の知らなかった世界が広がるはずです☆

ある一日のスケジュール

時間内容
7:00 起床
8:15-9:45 ドイツ語の授業
10:00-12:00 昼食等
12:15-13:45 英語の授業
14:00-16:00 空き時間
16:00-19:30 教育学の授業(英語)
20:00 帰宅
24:00 就寝

留学にかかった費用

渡航費(往復)

約200,000円

生活費(1か月あたり)

計 約600ユーロ(単位:ユーロ、為替:1ユーロ=約122円 ※H23.4現在)

  • 宿舎費(家賃):267ユーロ
  • 光熱費:家賃に含まれる
  • 食費:約200ユーロ
  • 教材費:特になし
  • 健康保険料:約65ユーロ
  • その他:交際費,旅行費

先輩の声!

留学前に関すること

留学の動機・目的は?
大学院に入ったら,海外へ行って色々なことを学びたいという想いがあったため。
英語力の向上や異文化理解や語学の習得のため。
いつ頃留学を決意しましたか?
大学院に入ったときです。
留学する大学を決めた理由は?
もともと英語以外の語学を身につけたいという,ひそかな夢があったから。
ドイツであれば,アジアとは全く違った文化の中で英語,ドイツ語の語学だけでなく,さまざまなことを経験できると思ったから。
留学前の語学スキルアップの方法は?
ドイツ語:ドイツ史を専門にされている社会系の先生に勉強会を開いていただき,そこで勉強しました。
英語:これといって留学のための特別な勉強はしていませんが,留学生のチューターをしていました。
留学前の履修や教育実習のことなどに関してアドバイスがあればお願いします。
留学後の計画をしっかりと立て,指導教員の先生や教務課の方などと相談しながら,留学前に取れる必要単位はできるだけ早めに取得しておいた方が良いと思います。
留学時に必要とされた予防接種の種類・回数・費用はどうでしたか?
必要な予防接種等はありませんでした。
日本から持参するとよいと思われるものは?
  • 日本を紹介できるもの。(ヨーロッパでは日本文化に馴染みがなく,日本のことをよく知らない人もたくさんいます。日本の漫画やハローキティなど,日本のサブカルチャーはとても人気でした。また浴衣を着る機会もありました。)
  • 日本食(長期滞在になると,日本食が恋しくなることがあるかもしれません。向こうで手に入らないことはないのですが,とても高いです。お米は安く購入できます。)
  • ホッカイロやヒートテックなどドイツにない防寒グッズ(ドイツの冬は厳しいです。防寒対策はしっかりすることをお勧めします。)
その他,日本を出発する前にしておいたらいいことに関してアドバイスがあればお願いします。
リューネブルクのInternational Officeは,留学生に対して本当に手厚い対応をしてくれるので,届いた書類を確実に提出できれば,向こうの生活で困ることもないかと思います。ただ何事も準備は早めに!
留学前は,やはり語学の勉強だと思います。英語もそうですが,ドイツ語は日本でもドイツ語検定などの試験があるので留学前に受験してみると良いと思います。

留学中に関すること

留学先で履修した科目とその履修方法は?1週間の平均授業時間数は?
勉強についてのアドバイスがあれば一緒に記入してください。
私は主にドイツ語と英語の語学の授業,それから英語で開講されている教育学の講義に参加していました。ドイツ語は週に5コマ,英語は4コマ,教育学の講義は週2コマでした。もちろん,宿題やプレゼンなどの課題はどの授業にもありましたが,普通に毎回の授業に参加していれば,大丈夫だと思います。ドイツ語は学期の最後にテストがありました。
コンピュータ・インターネットの使用環境はどうでしたか?
無線LANで使えるパソコンがあれば,自宅でも学校でもインターネットを使用することができます。また学校にもコンピュータルームがあります。(日本語を打つことはできないのでご注意を!)学校での印刷は最初の100枚まで無料,それ以降は5ユーロ支払えばまた100枚まで印刷することができます。帰国までに5ユーロ分を使い切れなくても,残金は返してもらえます。
留学中,どのようにして現地の学生と交流を深めましたか?
やはり1番は授業のなかになると思います。私の受講していた授業はディスカッションやグループワークもあったので,現地の学生と授業の中で話すことができる機会はたくさんありました。また,私は授業以外でTandem (タンデム)という制度を利用して,日本語を勉強している現地の学生さんと週に何度か会い,お互い語学の教え合いをしていました。日本のことをよく知っている現地の学生との交流は毎回とても楽しかったです。
寮・下宿など住居についてどうでしたか?
ドイツには大学の寮(男女共同)と「WG」という1件の家を数人でシェアする形式(男女共用がほとんど)の2種類がありました。希望すれば女性専用のWGもあります。また大学近郊,もしくはリューネブルク中心街近郊どちらかの希望もできます。私は大学近郊のWGに住んでいたのですが,そこから中心街に行くバスも夜8時までなら出ていますし,自転車があれば約15分程度で中心に行くことができます。冬は雪で自転車に乗ることができなかったので少し不便でした。部屋やWGによって,快適さにも差はあると思います。幸い私のWGは住み心地がとてもよかったのですが,中には数回引越しをした留学生もいました。
食生活についてアドバイスがあればお願いします。
主観的な意見になるかもしれませんが,ドイツは基本的に食事はおいしいです。昼は食堂,朝夕は基本的に自炊でした。お米も日本で食べているようなものが安く手に入るので,それをお鍋で炊いて食べることもできました。また,お菓子もおいしいものがたくさんあります。安くなんでも手に入り,且つおいしいので食べ過ぎには注意が必要です!
服装についてアドバイスがあればお願いします。
夏も,8月になると日本の秋のように肌寒い日があったりもします。冬は12月になると雪が降り,かなり寒くなるので防寒がしっかりできる服装が良いと思います。また雨の日も多く天気も変わりやすいのでウインドブレーカーのようなものも活躍します。またフード付きのコートやダウンは防寒にとても役立ちました。
習慣の違い,マナー,対人関係,犯罪などのトラブルで注意すべきことは?
もちろん,習慣の違い等,さまざまな文化の違いはあると思いますが,普通に生活をしていればトラブルに巻き込まれるようなことはないと思います。また,ドイツはヨーロッパの中では1番治安の良い国ではないかと思います。ただ,油断は禁物です。

留学を終えて

今後の目標,将来の夢は何ですか?
今回の経験を存分に活かせるような英語教師になることです。
これから留学を希望する学生へアドバイスをお願いします!
留学は,語学の向上だけでなく,現地でのさまざまな経験を通して感じること,得られるものが本当にたくさんあります。もちろんそれは楽しいことばかりではないかもしれません。しかし,大変だったことも,いつか良い経験に変わるときが来ると思います。限りある留学生活を充実させられるかどうかは自分次第です。どんなに小さなことでもいいので「留学をしたら,こういうことがしたい!」という夢や目標をしっかりと持って,留学に臨むとその生活が一味も二味も変わってくるはずです。失敗を恐れず,何事も積極的に!の精神で頑張ってほしいと思います。

最終更新日:2016年12月14日