平成29年度優秀教員表彰(ベストティーチャー賞)及び特別表彰

 

概要

 

 鳴門教育大学は102日,平成29年度の優秀教員として坂本有芳准教授及び早藤幸隆講師を,特別表彰者として森真美准教授を表彰した。

 

 優秀教員表彰は,教育・学生生活支援,研究等において優秀な教員に対し毎年度実施している制度である。

 坂本准教授は,「鳴門教育大学消費者教育推進プロジェクト」のリーダーとして,消費者庁や徳島県庁等の関係機関との連携を図りながら本学及び地域の消費者教育を推進した実績等を,早藤講師は,科学技術人材育成の観点から教育プログラムの開発研究に連動した理数科の教育活動における地域貢献の実績等を,それぞれ評価された。

 

 特別表彰は,職員の功労等に対し実施している制度である。

 森准教授は,本学就職支援室のチーフアドバイザーとして,本学が教員就職率7年連続全国第1位を達成する上で重要な役割を果たした実績を評価された。

 

 表彰式では,受賞者から,これまでの謝辞や教育研究への思い,今後の抱負等が述べられた。

 表彰式後は,受賞者の業績や教育・研究手法について特別展示等により公開し,学内教員の資質向上にも資することとしている。

 

 

 29優秀教員表彰式集合写真

 

(上段左から,秋田副学長,西村副学長,梅津副学長,田中副学長,松岡副学長,渡辺経営企画部長,

 下段左から,早藤講師,坂本准教授,山下学長,森准教授,佐古理事)

 

 

 

受賞者の紹介

 

優秀教員表彰(ベストティーチャー賞)

 

氏名 坂本有芳 准教授
所属教育部 自然・生活系教育部
所属コース 生活・健康系コース(家庭)
受賞写真 29優秀教員01坂本

受賞理由

及び

優れた教育手法

 坂本有芳氏は,生活・健康系コース(家庭)に所属し,専門は生活経営学,消費者教育である。

 氏は,平成287月に発足した「鳴門教育大学消費者教育推進プロジェクト」のリーダーとして,消費者庁,徳島県庁など関係機関との連携を図りながら本学及び地域の消費者教育を推進している。

 大学院共通科目における消費者庁との連携による授業の実施,専門科目におけるアクティブ・ラーニングを主体とした消費者教育,消費者教育関連図書を用いた附属図書館での展示・セミナーでの解説の実施,地域でのセミナー講師や各種委員を担うなど,地域の諸課題に応える教育研究活動を積極的に展開している。その活動は消費者庁や徳島県など関係諸機関からも高い評価を得ている。

 文部科学省 平成29年度「連携・協働による消費者教育推進事業」による「エシカル消費への転換をうながす地域協働プログラムの開発」,とくしま政策研究センター委託調査研究による「若年者を対象とした消費者教育推進に関する研究」,日本学術振興会科学研究費補助金 基盤研究(C)による「養育・教育期家庭の基本的生活習慣改善に関する研究―行動変容ステージモデルの適用」など,代表者として外部資金を獲得した研究に取り組むとともに,「食品ロスの削減」「子どもの事故防止」等の消費者庁の研究に携わるなど,多くの研究活動に精力的に取り組んでいる。

 以上のように,氏は,専門性を生かして社会に貢献するとともに,学術研究分野においても成果を上げており,今後さらに,教育現場及び消費者行政への研究成果等の還元が期待される。

 これらのことから,坂本有芳氏をベストティーチャーとして選定した。

受賞者のコメント

 消費者庁の消費者行政新未来創造オフィスがオープンし、消費者教育と消費者政策立案のための実証フィールドとして徳島県に大きな期待が寄せられています。生活に密着した教育や政策の充実、そしてエビデンスに基づく教育の推進や政策立案の必要性をかねてより痛感し、実証研究の研鑽を積んできた私にとって、願ってもない機会に恵まれました。そのような中で大学にも消費者教育の後押しをいただき、新たな出会いの中で生まれた様々な取組のお陰で、ベストティーチャー賞をいただくことになりました。幸運に恵まれ、大変光栄に存じております。

受賞に相応しい教育と研究ができるよう、今後も様々な方と連携協力しながら社会のニーズに沿った取り組みを進めて参りたいと思います。学びによって日常生活が向上する楽しさ、日々の消費活動に社会的視野を取り入れる大切さを発信するとともに、確かな裏付けとなる実証研究を積み重ねてゆく所存です。

 

 

氏名 早藤幸隆 講師
所属教育部 自然・生活系教育部
所属コース 自然系コース(理科)
受賞写真 29優秀教員02早藤

受賞理由

及び

優れた教育手法

早藤幸隆氏は,自然系コース(理科)に所属し,専門は科学教育・理科教育である。

 氏は,これまで継続20年間に渡って,特定領域研究,重点領域研究及び基盤研究(C)の採択の下で,本学 今倉康宏 名誉教授(研究代表者)と共に研究分担者として,学習者の科学的素養を培う科目・分野横断的な広領域型科学実験プログラムを開発してきた。大学・学校・教育委員会及び地域の専門家との教育連携講座において,小中学生・高校生を対象とした大学における先端科学技術の体験学習「ふれあいサイエンス」を4年間継続してきた。また,国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)のSPP事業の採択により,高校生を対象とした広領域型科学実験プログラムを継続9年間実施し,個人レベルの研究において,実践的な教育連携システムモデルの素地を構築してきた。

 氏は,真の実践的な教育連携システムの構築を目指して,平成25年度には,自然科学の領域に高い意欲・能力を有する児童・生徒を対象に,継続的且つ体系的な教育プログラムをJSTが公募する「次世代科学者育成プログラム(メニューB)」事業に申請し,「科学・技術者の発掘・養成講座~徳島から育てよう未来の科学・技術者を~」が教員養成大学として全国初の採択となった。実施主担当者として推進するとともに,平成26年度から平成28年度においては,本学の学長戦略経費を基に継続し,これまでに約100名の修了生を輩出してきた。

 平成29年度は,これまでの取組の実績を背景に,内容を深化させた才能育成プラン「徳島県高等教育機関連携型『ジュニアドクター発掘・養成講座』~社会を牽引する未来の科学技術者を徳島から育てよう~」を,JST(理数学習推進部能力伸長グループ)の公募する新規プログラム「ジュニアドクター育成塾(支援期間:5年)」事業に申請し,教員養成大学として全国で唯一の採択となった。

 以上のように,氏は,専門性を生かした科学技術人材育成の観点における教育プログラムの開発研究に連動した理数科の教育活動に大いに貢献している。

 これらのことから,早藤幸隆氏をベストティーチャーとして選定した。

受賞者のコメント

 21世紀における科学技術社会では,理数・技術科教育の重要性が認識され,教育と研究とイノベーションの一体的な推進を視座とする科学技術人材育成が政策課題の一つとして位置付けられています。

 本学では,平成25年度から自然科学の領域に関して,高い意欲・能力を有する児童・生徒を対象に,継続的且つ体系的な教育プログラムの取組として,JST次世代科学者育成プログラム「科学・技術者の発掘・養成講座~徳島から育てよう未来の科学・技術者を~」を実施してきました。

 また平成29年度からJSTジュニアドクター育成塾「徳島県高等教育機関連携型『ジュニアドクター発掘・養成講座』~社会を牽引する未来の科学技術者を徳島から育てよう~」における才能育成プログラムを実施している所です。

 今回,これまでの継続的な活動が評価され,本学のベストティーチャー賞を受賞することができ、大変光栄に感じております。

 この賞は私だけでなく,今倉康宏 名誉教授,また講座に関わって頂いた田村先生,曽根先生,金児先生,成川先生,尾崎先生,連携大学および教育委員会の先生方全員を代表した賞であると受け止めております。

 今後も科学技術人材育成の観点における教育プログラムの開発と共に,将来有意な科学技術人材の育成を目指した実践的な教育連携システムを構築していきたいと思っております。

 

 

 

特別表彰 

 

 

氏名 森真美 准教授
所属教育部 芸術・健康系教育部
所属コース 芸術系コース(美術)
受賞写真 29特別表彰01森

受賞理由

及び

優れた教育手法

 森真美准教授は、平成26年4月から本学の就職支援室のチーフアドバイザーとして、高度専門職業人としての教員養成のための実践的な教育活動を担っている。

 氏の就職支援活動は、教採対策ガイダンスでの講義、模擬授業・個人面接および模擬集団討論での指導、2年次・3年次の合宿での講演や自己アピール演習での指導、日常デスクでの個人別論文・自己アピール文添削指導など多岐にわたっている。その内容は、長年勤務していた学校現場等で培った知識や経験に基づいた実践的な教育であり、単なる教員採用試験対策にとどまるものではない。同氏を中核としたアドバイザーによる就職支援の教育活動は、他の教員の支援も得て全学的な規模で行っており、本学の教師力養成教育の重要な柱となっている。

 また、各教育委員会への訪問等を通じて情報を収集し、社会や教育現場のニーズに即した就職支援プランの構築に鋭意努めている。

 以上、就職支援室アドバイザーの情熱に満ちた実践的な教育活動は、本学が、平成22年度以降、継続して教員採用率全国1位を維持する成果を獲得する上で重要な役割を果たした。とりわけ氏のチーフアドバイザーとしての貢献は高く、それは特別表彰に値するものである。

受賞者のコメント  就職支援室に着任して4年がたちました。鳴門教育大学は全学を挙げての就職支援が実を結び,高い教員就職率を達成することができていると感じています。しかし,教員需要のピークは2019年とも言われており,その後は,需要が急減することが予想されています。それにより,教員への道は確実に狭き門になるでしょう。その中で,着実に力をつけた有為な教員を世に送り出していくことは切実で重要な課題だと考えています。

 そのため,なにより本学の強みである全学を挙げての就職支援体制をより充実できるよう,常に工夫改善することが大切です。また,採用試験のためのみの採用対策ではなく,学校現場や社会に貢献できる人づくりという視点も重要であると考えています。そこで,「学習指導力」「生徒指導力」「学級経営力」等現場での教育実践に結びつく力の育成という観点から,講義や論作文,面接や場面指導,模擬授業等の改善を進めています。また,チーム学校や協働力という視点から,県人会等の立ち上げを支援し,学生同士が自主的に切磋琢磨しながら学ぶ機会の提供を心掛けています。

 私が主に学生に関わるのは3年生の後期からですが,採用への学びを通して,確実に「教師の顔」になっていく学生の姿を身近で応援できることは何よりの喜びです。今後も真摯に就職支援対策に取り組み,現役合格者の増加,教員就職率の向上に努めていきます。

 

 

 

最終更新日:平成29年10月2日