平成28年度ベストティーチャー賞受賞者

 

所属・氏名 自然・生活系教育部 近森憲助 教授 20161003近森憲助
教員情報
データベース
http://www.naruto-u.ac.jp/edb/researcher/2010121604238/
選定理由及び
優れた教育手法
 近森憲助氏は,国際教育コースに所属し,専門は国際教育開発である。
 氏は,学生交流による体験的異文化理解を通した教師教育の推進,及び国際教育協力事業に関して,南アフリカ中等理数科教育再訓練計画(MSSI)やアフガニスタン教師教育強化プロジェクト(STEP)の短期専門家として活動した。特に,平成22年度から教員教育国際協力センター所長として,平成24年度からは副学長(国際交流担当)として,JICAと提携した開発途上国への教育支援に取り組んだほか,国際教育コース担当教員として,国際教育協力専門家の育成や教育の国際化に対応できる教員の養成に尽力した。また,途上国の教育向上に資する人材を育成する研修(JICA国別研修・課題別研修)を長年に渡り行ってきたことにより,平成25年度には,JICAより途上国支援・国際教育貢献が評価され,本学が「JICA国際協力感謝賞」としてJICA理事長表彰を受けることにつながった。
 氏は,一連の取組の中で,短期間における異文化体験活動の教員養成における意義について研究している。‘First contact:Initial responses to cultural disequilibrium in a short termteaching exchange program.(最初の出会い:短期間の授業体験を含む短期交流活動における文化的認知的不均衡に対する最初の反応)'(2010年)は,日米の教員養成大学/学部関係者により実施されてきた日米交流活動の成果を発表したものであり,当該研究の核となる論文である。本論文は,愛媛大学,玉川大学,学習院高等科などの研究者及び教員との大学あるいは学校による組織的な国際交流活動の評価に関する共同研究へと発展した。その成果は,平成27年度に第27回日米教師教育協議会(ウエスト・フロリダ大学,フロリダ州)において口頭発表された。
 以上のように,氏は,国際的視野に立った教育支援や国際交流を活発に行うとともに,学術研究分野においても成果を上げており,グローバル化する社会にあって,今後益々その教育研究活動は重要性が増すものと思われる。
 これらのことから,近森憲助氏をベストティーチャーとして選定した。
受賞者のコメント
 「ベストティーチャー賞」という栄えある賞をいただき、正直って戸惑っています。
私の如きものが、このような立派な賞をいただくことができたのも、山下伸典先生、
西村 宏先生、米澤義彦先生などの諸先輩のお導きや、理科教育コース、現代教育課題総合コース、そして国際教育コースの同僚及び若手の先生方、さらには、事務職員の方々のご支援・ご協力のおかげと深く感謝しています。また、大学教員としての40年に亘る人生を支えてくれた家族にも感謝しています。
 今後どれだけ大学のために働くことができるのかわかりませんが、健康に留意しながら、体力と精神力が許す限り、がんばっていきたいと思います。今後ともどうかよろしくお願いいたします。ありがとうございました。 

 

 

所属・氏名 基礎・臨床系教育部 小倉正義 准教授 20161003小倉正義
教員情報
データベース
http://www.naruto-u.ac.jp/edb/researcher/2011060200017/
選定理由及び
優れた教育手法

 小倉正義氏は,臨床心理士養成コースに所属し,専門は発達臨床心理学である。
 氏は,毎年,数多くの大学院生の課題研究の指導を行うとともに,心理・教育相談室相談員として地域からの教育相談・発達相談や,学生総合相談室相談員(平成28年度からは,学生なんでも相談室相談員)として学生のサポートも行っている。
 特に社会貢献という点では,徳島県の不登校児への訪問臨床事業やスクールカウンセラー事業など徳島県教育委員会等と連携協力し生徒指導分野における実践や体制整備を行ったり,全国各地の発達障害者支援センターや親の会等と連携し,発達障がい児やその家族への支援体制づくり,支援者・保護者への講義を行っており,熊本大震災を受けて熊本市教育委員会が実施した「学校支援スクールカウンセラー緊急派遣」においても,現地での児童生徒,保護者等へのカウンセリングに携わるなど,積極的に活動している。
 氏は,これまで,いくつかの研究グループで,主に思春期・青年期のメンタルヘルスの研究,子育て支援に関する研究,発達障がいやその家族への支援に関する研究を行ってきた。近年の共同研究等の主な業績として,International Journal of Adolescent Medicine and Health誌に‘Ijime in Japan.'(24,69-76,2012年),Brain & Development誌に‘A clinical study of attention-deficit/hyperactivity disorder in preschool children—prevalence and differential diagnoses.'(36,778–785,2014年)がある。平成27年度においては,Psychology誌に‘The Effects of Maternal Rearing Attitudes and Depression on Compulsive-Like Behavior in Children: The Mediating Role of Children’s Emotional Traits.'(7,133-144,2016年)が掲載されたほか,専門書「心の発達支援シリーズ第3巻 小学生 学習が気になる子どもを支える」(明石書店・分担執筆,2016年)が刊行された。
 以上のように,氏は,専門性を生かして社会に貢献するとともに,学術研究分野においても成果を上げており,今後さらに,研究成果等の教育現場,福祉現場への還元が期待される。
 これらのことから,小倉氏をベストティーチャーとして選定した。

受賞者のコメント  臨床心理学を志してから,臨床心理士としてそだちの臨床の現場に深く関わってまいりました。そのなかで,自らの大学の教員としてのミッションとして,現場のニーズにそった研究をすすめ発達支援・心理的支援の質を高めていくこと,研究や臨床経験から得られた専門の知を学生や社会に還元していくこと,発達支援・心理的支援を必要とされている方に必要な支援を届けることができるための仕組みづくりをすすめていくことを強く意識するようになりました。そして,人と人との「つながり」を大切にしながら,このミッションを胸にここまで取り組んできたつもりです。
 今回,ベストティーチャー賞をいただいたこと,非常に光栄に感じております。この受賞を自分への叱咤激励と受け止め,様々な方と連携協力しながら,多様な人たちが自分の生き方を見つけ,多様な人生を自分らしく生きることができるような社会の実現に向けて,今後も着実に歩みをすすめていきたいと思っております。
最終更新日:2016年10月24日