平成27年10月1日 田中学長と村松氏,若井氏との鼎談

平成27年10月1日(木)に,公益財団法人日本女性学習財団理事長の村松泰子氏と,京都光華女子大学副学長・子ども教育学部長の若井彌一氏をお招きし,これからの教員養成と教員養成大学の在り方について,田中学長との3人による鼎談を行いました。


鼎談では,教員養成における国立教員養成大学の役割や,教育に対する経済的支援の重要性などについて,学長経験者3人による熱い意見交換が行われました。


鼎談内容の詳細は,以下をご覧ください。

 

左から村松氏、田中学長、若井氏

 

日時

平成27年10月1日(木)16時00分~17時30分

 

場所

国立大学法人鳴門教育大学 本部棟3階特別会議室

 

対談者

村松 泰子:公益財団法人日本女性学習財団理事長

(国立大学法人鳴門教育大学経営協議会外部委員,(前)国立大学法人東京学芸大学長)

 

若井 彌一:京都光華女子大学副学長・子ども教育学部長

(国立大学法人鳴門教育大学監事,(前)国立大学法人上越教育大学長)

 

田中 雄三:国立大学法人鳴門教育大学長 

 

テーマ

今後の教員養成大学の方向性を探る-機能強化への取組とこれからの課題-

Ⅰ 国の基盤を支える教員養成改革には国立大学のリードが重要

Ⅱ 開かれた大学としての使命と多様な人材育成とは

Ⅲ 新構想教員養成大学の使命と役割をどう考える

Ⅳ 予算削減による経営難を克服し,大学の活路を見出すには

 

鼎談内容

田中:今日は,村松(前)東京学芸大学長と若井(前)上越教育大学長のお二人を招いて,こういう鼎談ができるというのは非常な喜びであり,これは役得かなと思っている次第です。今日は私の方が進行係を務めさせていただいて,お二人から本学の教育改革について忌憚のない御意見・アドバイスをいただければありがたいと思っていますので,よろしくお願いしたいと思います。

 

Ⅰ 国の基盤を支える教員養成改革には国立大学のリードが重要

田中:これまでの教員養成改革については,平成25年12月に改革の第1弾として,文部科学省が大学と協議して,ミッションの再定義を行いました。

田中学長

国立大学法人鳴門教育大学長
田中 雄三
TANAKA Yuzo


1971年鳥取大学医学部卒業後,同大学医学部付属病院,国立療養所鳥取病院などを経て,1991年に鳴門教育大学学校教育学部教授,理事などを歴任し,2010年から現職。
専門は精神医学。


共編・著書に『生徒指導と心の教育』(培風館,2001),『鳴門教育大学教員養成改革の軌跡』(鳴門教育大学企画戦略室編,協同出版,2013)他がある。

 

平成25年度から,改革加速期間ということで現在に至っているわけですが,こういう教員養成改革,これは全国そういう風にミッションの再定義という枠組みの中で改革が進んでいると思いますが,これについてはいかがでしょうか。

 

村松:最初に,教員養成を国立大学で行うことの意義について確認しておきたいと思います。国としても教員の資質能力向上ということでずっと方策を打ってきています。私は,私立や公立大学での教員養成もあった方が良いと思っている立場ですが,やはり教員養成を国立大学できちっとやるというのには重要な意味があると思っています。
この少子化時代にあって,質の高い人材を養成していくこと自体が国の基盤を支えていくことになると思います。また,社会は急速に変化している訳で,それに対応して学校教育に求められるものが増大している中で,そのための学校教育を支える人材を,責任を持って目的養成をする大学というのがなくてはならないと思っています。
多様な教員養成があっても良いけれど,その中で国立が核となってリードしていく役割は薄れないだろうと思っています。
今,国立大学の教育学部の縮小が言われていますが,規模ややり方はともかくとして基本は国立の中で教員養成をしていくということが大前提としてあると思います。

  

若井:私は,教員養成系の大学というのは必ずしも日の当たる道を歩いてきたわけではないと思っています。どちらかといえば長い間努力を強いられてきたと言ってもいいかもしれません。対して私立の場合は,それぞれ任意の取組,経営方針,教育理念で取り組んできている訳で,これはこれでまた意味のあることだと思っています。
だから今,どういうところまで来ているのかというと,全体的な認識だと教員養成は戦後70年の歳月が通り過ぎようとしている段階に来て,ようやく大学院レベルでの教員養成ということが何か現実味を帯びてきていると思うんです。
ですから,ここの部分は是非大事にして,教職大学院か修士課程かというのが殊更何か対立軸のような話で話されてきている一部分があると思うんですけれども,それはむしろそれぞれの大学のこれまでの実績,取組の力の入れ方がそれぞれあった訳ですから,そういうものを踏まえて独自の“色と香り”を出していけるはずだと。何も国で一律に“右にならえ”みたいな感じで,「全部,右も左も同じです」という型にはめる必要はないのではないかと思っています。
大事な論点として,修士課程と専門職学位課程の関係を一律に決めてしまうよりも,各大学の事情を勘案してそれぞれの段階を追っての取組み方を政策としては,進めていただいた方が安全じゃないかなという気はします。
私自身が非常に恐れていることは,法科大学院の二の舞はしちゃいけないということです。船出は派手に出たが,数年もしたら閑古鳥が鳴く大学院が出てきて,店じまいまでするところも出てきちゃったということにならないように。
そういう意味で言うと,村松先生も言われたように,国立大学の教員養成が骨格として1つの大きな柱となるべきだと思います。反発を持つ人達もいるかもしれませんが,それなりに日陰の努力を頑張ってきたと思いますので,そこは認めてもらいたいなと思うんですよ。
もう1つ,平成10~12年度に教員養成課程5千人削減があったでしょう。そしてゼロ免課程ができていった訳だけれども,あの時ショックだったのは各大学のがんばり具合というのはほとんどカウントされていなかったことですね。「なんでうちの大学が削られなきゃならないの,入学希望者の倍率も高いし就職率も悪くないのに」という感じで受け止めた大学が,その当時いくつもあったはずです。
今再び,同じようなやり方で国立の教員養成系を削減するという話にならないように,もう少し人の努力,汗と涙をきちんと見て政策が行われることを大事にしてほしいですね。

  

田中:国の教員養成の在り方について,私自身は教員養成というのは,まず第一に国が施策として担わなければならない非常に重要な柱だと思います。
第二に,「開放制」による教員養成の問題です。教職課程を設置していれば全て免許が取れるというのは,あまりにも安易すぎるのではないでしょうか。やはりきちんとしたカリキュラム,教員養成を目的とした学部・大学院が免許を出せる仕組みにする必要があるのではないかと思っています。ただ,これは非常に難しいというのは重々承知で,先の中教審答申でも大原則は「大学での養成」,「開放制」での養成ということで一応結論は出ましたが,やはり「開放制」には疑問を持っています。

 

 

 

Ⅱ 開かれた大学としての使命と多様な人材育成とは

田中:私自身は,「ダイバーシティ」(多様性)ということに力を入れたいと思っています。開かれた大学として多様な人材,社会人であるとか外国人であるとか,年齢はもちろん不問で「教師になりたい」という意欲と一定の学力がある者に対して多様なカリキュラムや多様な方法を用意して,多様な能力を持った教員を輩出したいと考えています。そういう方向で機能強化をしたいと思うのですが,どうでしょうか。

 

村松:そうですよね。鳴門教育大学は元々小規模な中で,本当に多様な取組を非常に積極的にされていて,実績も挙がっていると思います。この「ダイバーシティ」という形を実現していければ,これからの少子化時代に多様な人材の受入れによって,教育の世界が多様になることが大事だと思います。
大学院に国際教育コースもあり,それに相応しいと思うので,進められたら非常に素晴らしいと思います。コスト面について,どのように折り合いをつけていくかが課題でしょう。
これまでの実績を見ても,結果だけを見ると素晴らしいけれど,個々の先生の負担はどうなっているのだろうと思う面もあります。今は教育と研究をかなり近いところでやっているとは思いますけれども,一方では科研費を積極的に申請するようにということも言っている訳で,そのあたりでどういうバランスを取っていくのかというところが,これからのマネジメントのポイントになってくるのではないかと思いました。

若井氏

京都光華女子大学副学長・子ども教育学部長
(前)国立大学法人上越教育大学長
国立大学法人鳴門教育大学監事
若井 彌一
WAKAI Yaichi


1973年東北大学大学院教育行政学博士課程満期退学,同大助手,仙台大学講師・助教授を,上越教育大学助教授・教授・附属図書館長などを歴任し,2009年学長,2013年退任。
同大名誉教授。その後,仙台大学教授・統括副学長を務めた後,2014年4月から現職。

専門は教育法学,教育行政学 。

共編・著書に『教育法規の理論と実践』(樹村房,1995),『若井彌一著作集』(全5巻,協同出版,2011),『要説教職専門』(補訂第5刷,金港堂出版部,1996),『学校経営の刷新 教育
新時代の学校経営 論点演習』(教育開発研究所,2005),『教員の養成・免許・採用・研修』(教育開発研究所,2008)他がある。

  

若井:そうですね。鳴門教育大学もやっぱり規模はちょっと慎重に考えられた方が,例えば「社会人」という言葉がありますが,社会人・外国人という大きな括りの表現自体は悪いことじゃないけれども,現実的に中身を考えた時に「社会人」というこの括りでどういう人達が想定されるのだろうか。
一つ誤れば「小規模で色々取り組んでいるけれど,何かあまりパッとしないんじゃないの」という感じに,何をやっているか分からない大学という厳しい評価を受けることになるかもしれない。その辺のバランスがなかなか難しいですね。

  

村松:様々なプログラムについては,私の経験から言ってもかなりのニーズがあると思います。一旦社会に出てから免許取得を目指すという教育に熱意のある方達を,教育界に受け入れていくのは大事なことだろうと思います。プログラムという形で出てくるというのはやはり大学の教育力に凄く自信があるということですよね。
これまでの実績の中で相当教育力を高めているからこそ,こういう話が出てきているのだろうと思いますし,方向として本学の売りの一つになってくるのではないかという気はします。

  

田中:お話しは非常によく分かりました。ただ,大学としては“開かれた大学”というイメージが非常に大事で,社会人であれ,外国人であれ,どういう方でも教員という仕事をやってみたい人は,資質能力があれば,教員になれるような制度設計が大事なのではないかと思っています。今言われたように大学の教育力が問われたり,あるいは目的が不明瞭な学部にならないかとかコストの問題がありますが・・・。「ダイバーシティ」をキーワードに改革をしたいですね。

 

若井:社会人受入れについては,私も反対ではないですが,やはりプロフェッショナルというものを意識すると,何か無いものねだりするようですが,もっと意欲と能力,人間的魅力を揃えている人たちを絞って大学に入れて,鍛えるというぐらいの厳しさを持たないと,なかなか難しいかなという気がします。それができれば面白いと思います。

 

 

Ⅲ 新構想教員養成大学の使命と役割をどう考える

田中:本来,本学や兵庫教育大学,上越教育大学は,新構想の大学院大学として新しい理念,言わば早くから教職大学院の理念を持って創設されたわけです。一言で言えば,現職教員の再教育が特色であり,存在理由なのですが,各大学の教育学部に教職大学院が設置されると,一般国民の目から見ても新構想大学の存在意義が見えにくくなってしまうのではないでしょうか。

 

村松:新構想大学の今までの取組成果を評価し,それをもっと広げようとしているのか,それとも新構想の取組に対してどこか不満があり,別の枠組みで教職大学院を設置しようとしているのかという点について,どのように評価されているのでしょうか。
やはり教員養成の高度化というのは時代の流れで必然なのだろうと思いますね。量的に言って,新構想大だけでやったのでは足りないから,全国に教職大学院を展開しようとなったのかなというように私は思いました。

  

若井:そうですよね。色々批判はあるにしても,やっぱり新構想の3教育大学で共通して言えるのは実践的指導力の養成であり,教育実習に各々が相当力を入れて頑張ってきましたよね。現場との教育委員会との連携,これもはっきりしていましたから,それはもう当然のこととしてやっていました。
ただ一方で新構想の大学院は,研究と実践の本当に難しいところだと思います。何か肩書きばかり光らせて,“二階級特進”のような感じの意識になっているのではないかという批判が,設立当初はやっぱりありましたね。ですから上越教育大学でも修了式の時に学長が「皆さんね,現場に出たら決して自慢してはなりません」と話されて,何か「エヘヘ」なんてみんな話を聞いたりしていました。

 

田中:新構想大学の最初の設立経緯を見ますと,大学院で300人定員というのは相当大きな大学なわけです。その内,およそ3分の2は現職教員を当てると明記してあるんです。そうすると200人は現職でなければいけない訳です。ところが,国は現職教員研修に係る予算措置を各都道府県にしているはずですが,院生の3分の2が現職教員というのは夢のまた夢で,今は3分の2どころか定員300人のうち現職は60~70人ですから,この激減ぶりにどう対応したものかなと思っています。

 

若井:これはもうはっきりしていますね。研修に費やすことのできる財源が枯渇してきているということですよね。なかなか厳しい局面を迎えているんですよね。

 

村松:そうですね。学びたい先生はいっぱいいるのですけれど,現在の財源の枠組みの中ではダメだというので,諦めた方がたくさんいらっしゃいますね。

 

田中:私がいつも困るのは,本学は大学院定員の3分の2を現職教員の再教育に当てるとなっていることです。実際そうなっていれば立派に存在理由を説明できるでしょう。ところが現職は今,60人余りということだと, 300人定員が適正規模かどうかとなって,存在理由の説明が難しいわけです。

 

村松:国の制度頼みのところもありますよね。本当に修士レベル化というのをもっと本気に打ち出してくれればと思います。私は民主党政権下の中教審の委員でしたので,答申を出した側ですが,“学び続ける教員”と言いっ放しではなくて,やはりそれが必要で国のためだという形で制度設計して,それなりの財源の手当をしていただきたいと思いますね。
個々の大学の頑張りだけでは,ちょっと難しいと思います。でも教職大学院の定員を充足するために,鳴門教育大学があちらこちらを行脚したと聞いて,流石だなと思いましたけれど,今年もまた考えなくてはいけないですね。

 

 

Ⅳ 予算削減による経営難を克服し,大学の活路を見出すには

田中:教員養成大学の経営方針については,教育というのはその国の基(もとい)であるというのが基本的にあって,だから中長期的な視野で大学経営を見ないといけない。投資したらすぐ回収できるというようなものではないと思っています。
例えば,カリキュラムを今年変えたから来年教員就職率が上がるかというと,とんでもない。そのカリキュラムで4年間学び,4年後に成果が見られる。教員養成においては,一事が万事そうしたものだろうと思います。中長期的な視点で成果を考えるような経営方針でないといけないと思うのです。

村松氏

公益財団法人日本女性学習財団理事長
(前)国立大学法人東京学芸大学長
国立大学法人鳴門教育大学経営協議会 外部委員
村松 泰子
MURAMATSU Yasuko


1967年東京大学文学部卒業後,1991年までNHK放送文化研究所勤務。1984年上智大学大学院博士課程単位取得退学。 1991~2010年,東京学芸大学教授,副学長を経て,2010年東京学芸大学長,2014年退任。同大名誉教授。

2014年6月から現職。 専門は社会学。特にメディアとジェンダー,教育とジェンダーの分野の研究と実践的活動に従事。

共編・著書に『エンパワーメントの女性学』(有斐閣,1995),『女性の理系能力を生かす』(日本評論社,1996),『メディアがつくるジェンダー』(新曜社,1998),『学校教育の中のジェンダー』(日本評論社,2009),『高校の「女性」校長が少ないのはなぜか』(学文社,2011)他がある。

しかし,教員養成系というのはなかなか外部資金獲得が難しい領域なんですね。産学連携も格別にできる訳ではないし,何かうまい方策やアイデアはありますか。

 

村松:鳴門教育大学の予防教育など特色ある取組に関心を持つ企業とかはないものでしょうか。東京学芸大学の例では,銀行と連携して金融教育に取り組みました。銀行側は教育のノウハウを持ってないので,途方もないことを言ってきたりもしますが,大学が教育の現状に合わせて軌道修正して,「投資しなさい」などという教育でなく,全く異なる教育内容を提示すると,向こうも「ああそうだ」と目が開かれるみたいなことがありました。

あと製薬会社と,うつ病などの対応ということでタイアップしたことがあります。やはり教育に期待されるところがあって,教育は外部資金が得にくいというのではなくて,持って行きどころによっては上手くすれば可能性があるのではないかなという気がします。当然,相当な戦略が必要だと思いますけれど,地方だって別に全然不利ではないという気がします。
だからこそ,大学の実績,特色をもっと全国にアピールしていくのが良いのではないでしょうか。こっちがお金を出してアピールするのではなくて,向こうから取材に来させるぐらいの感じでアピールできると良いというように思います。
鳴門教育大学の実績を見ていると,非常にそういう風に思います。

 

田中:話が大きくなりますが,本学は,地球システムが永続するような取組を先導し,ESD(持続可能な開発のための教育)に向けて,地域社会や他の領域に影響を及ぼすことができるような大学になりたいですね。例えば,「エコアクション21」に取り組んでいるのですが,大学発のエコアクションの推進を本学の経営方針の1つとして強調したいと思っています。

 

村松:東京学芸大学でも毎年「環境白書」を出していましたし,似たようなことをしていましたが,エコアクションに登録するということは行ってないように思います。

 

若井:素晴らしい取組だと思いますけどね。それを全部大学持ち出しでおやりになっているのは,これは大変ですね。

 

村松:エコと並んで,私としては,大学の男女共同参画のことに少し言及したいと思います。鳴門教育大学のデータを拝見すると,教員の女性比率は23%くらいだし,教授だけでも18%ぐらいで,国立大学の中では比較的高い比率だと思いますが,残念ながら役職者や教育研究評議会に女性がほとんどいないというのが,気になっています。しかし,次期中期計画を見ると管理職について10%以上と数値目標を出しているので,まずはこの目標を是非達成してほしいと思います。今の時代の流れですので,それをやっていかないと「国立大学は何しているの?」ということになると思いますので,是非お願いします。

 

若井:女性の社会的な活躍を促していく最もベーシックな条件整備ですね。これはもう一大学でできる話ではないので,国の政策,地方公共団体の政策,それとタイアップする形で大学がそれぞれ名乗りを上げることができると良いですね。
大学は採用にしても,役職員の中にできるだけ女性を登用するようにということでやっていますよね。国大協もやっていますし,それはそれなりの緩やかに良い方向へ進んでいく。それで,もっとアピールして,私は授業等で女子学生に訴える形で,「若い時の学びは決してあなた方を裏切ることはないんだからね,頑張ってやりなさいよ,早い時期に学んだ方がいいんだよ」と,「教職も大学院レベルになってきたから,やっぱり学部だけではなくて大学院で学ぶということを心づもりしておいた方がいいよね」という話をして励ましています。

  

村松:教員養成系は特に学生は女性が多いですよね。それなのに教えるのは男性という構図になっています。大学教員の採用については難しい面もあるので努力や工夫が必要ですけれど,いろんな委員会などで「女性がいなくて大丈夫か」みたいなことに気付く人がいないと,誰も気が付かないで問題にならないということがあるんですよね。是非それは意識的にお願いしたいなと思います。

 

田中:今年度は,「夏はサマーライフで」という政府の方針に基づき,本学もフレックスタイム希望者に対して行いましたが好評でした。教員は裁量労働制,附属学校は中学校を除いて変形労働制なので,本部職員に試みたのですが「是非来年もしてほしい」とか,「もっと期間を延長してほしい」という意見がありました。今の職員の労働形態をもっと多様化できないものかと思うのですが,いかがでしょうか。

 

村松:女性が働きやすい,というより男女共に働きやすい職場にする,という意味では良い方向だと思います。ただ,そのためには他の仕掛けも必要で,フレックスタイムにする場合,コアタイムというのを作って,この時間帯はいなければならず打ち合わせもこの時間帯で実施する,だから夜に会議をしてはいけないなどという工夫がされていることが多いようです。そのあたりとセットにして,推進していけばとても良いのではないかと思います。

 

田中:最後に,大学経営に関して言えば政府,財務省と言っていいかもしれませんが,毎年,運営費交付金が,効率化係数とか改革促進係数とか色々な名前によって,1%づつ削減を受けてきました。これをなんとかやりくり算段して,どの大学も機能強化を図り,生き延びてきたと思うのですが,ここに来てかなり経営状態が苦しい大学が出てきました。本学もその中の一つです。
もちろん,国大協は「国立大学の将来ビジョンに関するアクションプラン」を公表し,運営費交付金の確保を要望したり,国立大学振興議員連盟も運営費交付金の削減をストップするように政府に働きかけると言っておられます。期待が持てる状況にはあるのですが,こういう削減が続かないように国民に理解してもらうにはどうしたら良いでしょうか。

 

村松:具体的な策みたいなものを持っている訳ではありませんが,たまたま目にした昨日(9月30日)の毎日新聞の記事を御紹介したいと思います。先週の国連総会で “SDGs”(持続可能な開発目標)が,新しい世界の目標として採択されましたが,ローマ法王の次に今年もマララ・ユスフザイさんがスピーチし,「教育となると今の世界の指導者たちほどケチな人を私は見たことがない」と訴えたそうです。教育への公的投資が少ないということを指摘しているわけです。とくに日本は世界の中で教育への公的支出が少ないとされています。一方で新国立競技場の経費の話などを聞いていると,桁違いのお金の話が出てきて,このお金を少しでも教員養成なり学校現場に還元してくれたらどんなに良いだろうかと思います。
本当に,そういう意味で教育に対してもっと支援をすべきだとつくづく思っています。

 

田中:お二人の先生には貴重なお話しをいただき,今日は本当にありがとうございました。この鼎談もこれで閉じたいと思います。今後とも先生方の御指導,御助言よろしくお願いいたします。 

 

 

最終更新日:平成27年10月28日

 

 

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