平成19年度専門職大学院等教育推進プログラム
教育の専門職養成のためのコアカリキュラム
—地域との連携を通して院生の授業力向上をはかる大学院改革—

[CONTENTS]
2007年度の取組
2008年度の取組(第1期)
2008年度の取組(第2期)
 

2007年度の取組

 試行プログラム
 
旧「教育実践研究」のなかから,4つの試行プログラムを選定しました。
具体的には,以下の4つの観点から,これまでの「教育実践研究」の成果を点検すること,また来年度以降の「教育実践フィールド研究」の
可能性や指導法を追求することにしました。

<選定の観点>
①【教師の協働力】の育成 多様なキャリアの院生がチームを組んで,教育課題の研究に取り組ませている
②【課題の分析力】の育成 同一の教育課題を複数の視点・論点から分析し,多様な解決策を追求している
③【授業の開発力】の育成 先端の学問/芸術と教育実践を架橋し,教育課題に応える授業・教材を開発している
④【実践の省察力】の育成 大学と現場が連携して授業・教材を実践し,実践の成果・課題を省察させている

<選定された試行プログラム>
取組の詳細は,試行プログラムのタイトルをクリックして下さい。
観点①と②に重点を置いて A 梅津正美准教授を中心とする教科目標・授業構成の研究
「主体的に社会認識を形成する社会科学習の展開と構想」(附属中と連携)
観点③と④に重点を置いて

B 草原和博准教授を中心とする内容構成・教材開発の研究
「社会認識形成を支援する映像メディア教材の開発と試行」(公立校と連携)

観点④と①に重点を置いて C 山森直人准教授を中心とする内容構成・評価計画の研究
「目標・指導・評価の一体化をはかった英語授業」(附属中と連携)
観点③と④に重点を置いて D 長島真人准教授を中心とする学習指導・教材解釈の研究
「音楽によるコミュニケーションの成立をめざした音楽授業の工夫」(附属小と連携)

 GPシンポジウム

  平成20年3月15日,文部科学省専門職大学院等教育推進プログラム『教育の専門職養成のためのコアカリキュラム』の中間まとめとして,
専門GPシンポジウムを開催しました


シンポジウムのチラシはこちら(pdf)
シンポジウムの開催報告はこちら(pdf)
シンポジウムの報告書はこちら(pdf)

  <テーマ> 
「教育の専門職に求められる力量をどのように育てるか -既設大学院と教職大学院の活性化にむけて-」
  < 構成 >
13:00 開会のことば 鳴門教育大学学長  高橋 啓
13:10 第1部 本学の取組紹介 「鳴門教育大学大学院コアカリキュラム構想」 鳴門教育大学 草原和博 准教授
                         詳しい資料はこちら  資料1(pdf) 資料2(pdf)
「試行プログラムの事例報告」  
A.古市和臣・河田知憲 「主体的に社会認識を形成する社会科学習の展開と構想」
B.鳥井千寿子・佐々木美緒 「社会認識形成を支援する映像メディア教材の開発と試行」
C.田村千恵子 「目標・指導・評価の一体化をはかった英語授業」
D.渡邉直宣 「音楽によるコミュニケーションの成立をめざした音楽授業の工夫」
14:00  第2部 基調講演 宮城教育大名誉教授,十文字学園女子大学特任教授 横須賀 薫
15:30 第3部 パネルディスカッション 司会       鳴門教育大学 大学院学校教育研究科  学長補佐    山下 一夫 教授   
パネリスト    九州大学    大学院人間環境学研究院           八尾坂 修 教授
          上越教育大学 大学院学校教育研究科            増井 三夫 教授
          兵庫教育大学 大学院学校教育研究科            渡邊  満  教授
          鳴門教育大学 大学院学校教育研究科  学長補佐    西園 芳信 教授
17:25 閉会のことば 鳴門教育大学理事 田中 雄三

   <まとめ>
 平成20年3月15日,文部科学省専門職大学院等教育推進プログラム『教育の専門職養成のためのコアカリキュラム』の中間まとめとして,専門GPシンポジウムを開催しました。テーマは「教育の専門職に求められる力量をどのように育てるか-既設大学院と教職大学院の活性化にむけて-」。本シンポジウムには,中四国を中心に,教育関係者約70名の参加者を得ることができました。
 まずシンポジウムの冒頭で,大学院コアカリキュラム運営委員会を代表して,草原和博准教授が鳴門教育大学の取組を報告しました。取組の特色として,①教育課題を追求する必修コアカリキュラム(教育実践フィールド研究と広領域コア科目)の開設,②教育課題に対する構造的複眼的なアプローチと専門的知見の応用,③多様なキャリアをもつ大学院生と協力校教員による課題解決に向けた協働的研究,の3点を挙げて,その具体策を概説しました。引き続いて,本構想を来年度から本格稼働させるための「試行プログラム」の成果が報告されました。いずれの報告でも,学び手=院生の眼差しとことばで,学びの経過と意義がプレゼンテーションされました。

 本学の取組紹介を受けて,前宮城教育大学長の横須賀薫氏が基調講演を行いました。氏は,「教育の専門職に求められる力量をどのように育てるか」をテーマに,教職大学院が設立される経緯,制度設計の当事者としての問題意識,ならびに教職大学院で養成したい資質・能力などを解説されました。とくに教職大学院で要請される「実習」の性格と指導力育成の方法論(臨床経験に係わる体系的な知識の伝達と,臨床経験を振り返る省察的な学習)について,詳細な説明が行われました。

 パネルディスカッションでは,本学・山下一夫教授の司会のもと,大学院教育の論点・争点と今後の方策をめぐって,意見が交わされました。
九州大学の八尾坂修教授は,教職大学院が構想された背景と制度設計の骨格を概観するとともに,米国の教員養成制度との対比を交えて,我が国の「教育の専門職」養成の課題を指摘しました。上越教育大学の増井三夫教授は,「岐路に立つ新教育大学」という視点から,修了生に対するアンケートの結果を分析し,新教育大学の意義を総括するとともに,三大学のさらなる連携の可能性を提起しました。兵庫教育大学の渡邊満教授は,教育実践高度化専攻「心の教育実践コース」におけるFDの成果を紹介し,授業評価の結果と,そこから読みとれる院生の期待する授業像を展望しました。鳴門教育大学の西園芳信教授は,学部から大学院まで6カ年を射程に収めた本学コアカリキュラムの段階性と,既設-教職大学院の相違を整理するとともに,既設大学院の活性化には「教科内容学」の確立が欠かせないことを説きました。
以上四氏の提言をたたき台に,引き続き討論が展開されました。フロアからは,「教育委員会」の研修と「教職大学院」の授業の本質的な違いについて,質問が投げかけられました。質疑を通じて,議論は深まりを見せました。
 本シンポジウムを通じて,おおよそ以下の3点が確認されました

①既設大学院の改革には,教科専門担当者のコアカリキュラム(教育実践フィールド研究)への関わり方が鍵となること。
②大学院の教育理念に沿って,教科専門の教育内容を再構成していく視点と方法が問われていること。
③鳴門・兵庫・上越の三大学は,これまでの実績にもとづいて①②の論点について積極的に発信していく責任があること。

 なお,本学の取組に対して,講演者及びシンポジストは,軒並み高い評価を与えていたことを付記しておきます。本シンポジウムを契機にして,「教育の専門職」養成のモデルを確立するとともに,その効果を共同で検証してゆくフォーラムが形成されることを期待します。

 

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