私は,俳句のよいところは有季定型を守るところにあると考えています。さまざまな関連知識を含む季語があるからこそ表現が豊かになり,定型であるからこそ感動を共有することができるのです。俳句という十七音の文芸から,作り手と読み手の心の交流が生まれます。心と心が織りなす俳句は,心理学の研究材料としても注目されています。
私は,中学1年生のときに,祖母の手ほどきで俳句をはじめました。大学3年生のときには,星子(せいし)という俳号を名乗り,同人誌に投稿したり,吟行に参加したりしてきました。本学着任後は,学生の皆さんとも一緒に俳句を楽しんでいます。
ここ鳴門教育大学は,勉学はもちろん,俳句を詠むのにも最適の環境です。満開の桜は,やがて葉桜となり,秋には桜紅葉となります。このように,キャンパスの樹木たちや花々が季節毎に表情を変え,私たちの心に潤いを与えてくれています。四季折々,さまざまな鳥たちがキャンパスを訪れ,私たちの心を和ませてくれます。
そこで,感性と知性を働かせて創作し仲間とともに鑑賞し合う俳句の魅力をゼミの学生たちに伝え,ゼミ内での親睦を図るという目的でゼミ句会を実施してきました。また,本学の授業科目「阿波学」のなかで行われている歩き遍路の体験を俳句に詠むという教育活動も展開してきました。昨年からは,他大学の先生方と協力し,インターネットを利用したマインドフル句会を開始しました。俳句には人の心を癒やし勇気づける力があると考えられます。
このページでは,ゼミ句会の作品から,「選りすぐり」の作品を紹介します。「選りすぐり」というのは,本人も気に入っていて,読み手にも共感者がいるという意味です。俳句とは,そのような自立と協同の文芸なのです。
俳句という美しい言葉の創造の世界に,あなたも参加してみませんか。