旧型情報機器の有効利用

  1. マッキントッシュで旧PC9801用640x400ディスプレイを利用する。(作成日:2000.07.18)
  2. ワークステーション用Sync-On-Green入力型ディスプレイをPCで利用する。(作成日:2000.08.10)

マッキントッシュで旧PC9801用640x400ディスプレイを利用する。

(無保証:すべて自己責任で行ってください。)

つぎの表に示すように,マッキントッシュの12インチモードの水平および垂直走査周波数が旧PC9801型ディスプレイとほとんど同じであることを利用します。マッキントッシュと旧PC9801のビデオ出力用コネクタは,両方ともD-Sub15ピン メスコネクタと同じ形状をしていますが,ピンアサインが全く異なりますので,変換コネクタを必要とします。さらに,マッキントッシュでは,ディスプレイのモードをSense(ID1)-(ID3)という3本のピンの状態で認識しますので,12インチモードとなるように,ID1=GND, ID2=OPEN, ID3=GNDとします。

解像度 水平走査周波数(kHz) 垂直走査周波数(Hz)
マッキントッシュ12インチモード 512x384 24.48 60.15
旧PC9801用ディスプレイ 640x400 24.83 56.40

変換コネクタの作成例は,つぎのとおりです。

材 料: D-Sub 15ピンのオスとメスのコネクタ,25mmぐらいのスペーサ2本,電材少々

接続図:

Quadra700に,変換コネクタを装着すると,つぎのようになります。

E社のPC9801互換機用のディスプレイに表示してみました。

12インチモードなので512x384しか表示されませんが,カラーも綺麗に表示されます。画面が歪み,ちらつきが気になりますが,映らないよりましでしょう。このディスプレイは,背面に調整用の半固定抵抗のつまみが出ているので,水平と垂直同期を合わせ,ちょうど良い大きさに映るように調整します。

V. P. 垂直位置H. P. 水平位置 V. H. 垂直同期H. H. 水平同期 V. S. 垂直大きさH. S. 水平大きさ

(注意)調整用の半固定抵抗がディスプレイ内部の電子基板にある場合,非常に危険ですので絶対に調整しないでください。そのときは,すなおにディスプレイの利用を諦めましょう。

なお,Macintosh IIciでは,H-Sync,V-Sync信号が出力されないので,C-Sync (Pin# 3)をH-Syncに接続します。

接続図(Macintosh IIciの場合):

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ワークステーション用Sync-On-Green入力型ディスプレイをPCで利用する。

(無保証:すべて自己責任で行ってください。)

SONY製NEWS NWS-1750用に使っていたSync-On-Green入力型ディスプレイNWP-513(1989年製)をPCで利用します。NWP-513の主な仕様はつぎの通りです。

受像管 0.26mm蛍光体トリオピッチ 90度偏向17インチ
有効画面表示 幅295mm×高さ236mm
解像度 1280ピクセル×1024ライン
走査周波数 水平:63.38kHz,垂直:60.02Hz
消費電力 150W
重 量 29kg

ディスプレイの背面はつぎのようになっています。映像信号をBNC 3本で入力するため,GREEN信号に水平及び垂直走査信号を混合させる必要があります。

PCで利用する場合,1280ピクセル×1024ラインで垂直走査周波数60Hzという映像信号が出力できるビデオボードが必要です。この解像度はVESA規格に含まれていますので,特殊なビデオボードを必要とすることはないでしょう。

つぎに,VGAコネクタ(DB15HD)で供給されるビデオ信号をBNC 3本に変換する回路を作成します。GREEN信号に走査信号を載せるのでSync-On-Greenと呼びます。ビデオ信号変換回路は,水平および垂直同期信号を「ORゲート」で複合し,負極性とし,アナログスイッチでON,OFFします。その信号とGREEN信号を「ワイヤードOR(単に線をつなぐ。)します。

回路図は,つぎのとおりです。

部品一覧(これ以外に,DC 5V安定化電源,ケース,基板,スペーサ,ICソケット,75Ω同軸ケーブルなどが必要です。)

品  名 形  式 個  数 参考価格(円)
ロジックIC 74HC02 1 70
ロジックIC 4066 1 170
1/4W 抵抗 47kΩ 3 15x3=45
半固定抵抗 1kΩ 1 100
セラコン 0.1μF程度 2 20x2=40

製作は外付けハードディスクの抜け殻を使います。ケースを分解し,中に入っているハードディスク,SCSIケーブル,コネクタを取り出します。結局,利用するのは,DC 5V電源,スイッチとケースです。

製作例:

DB15HDのメスコネクタをケースに取り付けて,VGA信号を変換するボックスとして機能するように作りました。もともとが外付けハードディスクなので電源ランプもあり綺麗にできました。中の配線状態は

のようになっています。回路は簡単なのですが同軸ケーブルの引き回しに苦労しました。なお,ロジックICの+5Vは14番ピン,GNDは7番ピンに接続し,ICにできるだけ近いところにバイパスコンデンサ(部品表のセラコン)を入れてください。バイパスコンデンサはなくても映像は映りますがノイズが多くなります。74HC02の空いている入力ピン番号5,6,8,9,11,12は保護のためGNDに接続しておきます。

このディスプレイのSync-On-Green方式映像信号の仕様はつぎのようになっています。

RED ビデオ信号 0.714Vp-p (正極性)
GREEN 1Vp-p {ビデオ信号 0.714Vp-p (正極性),同期信号 0.286Vp-p (負極性)}
BLUE ビデオ信号 0.714Vp-p (正極性)

GREEN信号にうまく同期信号がのるように,実際に映像を見ながら,基板上の1kΩの半固定抵抗を調整します。

固定走査周波数のディスプレイを利用する場合,ディスプレイ切り替えスイッチを使って,いつでもマルチスキャンモニタと切り替えて使用できるようにしておく方が便利でしょう。

Windows98での利用

ディスプレイのプロパティで1280×1024,リフレッシュレート60Hzに設定し,ディスプレイに映し出します。映像の位置は,ディスプレイ内部にある調整用半固定抵抗で調整します。その場合,調整用のドライバは感電防止のため,必ずプラスチックドライバを使ってください。

Linuxでの利用

X-Windowを使うため,XF86Configの設定をします。肝心なのはModelineのパラメータですので,それを示します。もっと詳しく知りたい場合は,XFree86 Video Timings HOW TOなどを参考にしてください。

  • Modeline "1280x1024" 107.50 1280 1372 1564 1696 1024 1027 1030 1056

なお,SONY製NEWS NWS-1750用ビデオ出力ボードのタイミングチャートによりますと,

  • Modeline "1280x1024" 107.50 1280 1312 1504 1696 1024 1027 1030 1056

ですが,Windows98の表示と合わせるために前述のように設定しました。Windows98での利用で説明したように映像の位置は,ディスプレイ内部にある調整用半固定抵抗で調整します。

こんな感じで利用しています。ディスプレイとPC本体の間にあるハードディスクのようなものが,今回製作したビデオ信号変換器です。

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修正日:2011. 1. 12 /2023. 4. 6