工藤研究室7
鳴門教育大学 生物学分野 工藤研究室 








 工藤研究室では,「生物のある性質が,その個体の生存や繁殖にいかに寄与しているか」を明らかにし,「適応進化」を理解することを目指しています。このような学問は,進化生態学あるいは行動生態学と呼ばれています。これまで,節足動物に見られる様々な「親による子供の世話」や「オスとメスの性質の違い」などを対象にした研究を学部学生や大学院生と一緒に進めてきました。

 自然科学の研究とは,自然の成り立ちに関して,先人の知識や理解を超える新たな成果を得ることであり,これは卒業研究といえども例外ではありません。新3年の配属直後から,特定の研究テーマに関して先人の築き上げた知識や理解を踏まえるため,必要な勉強が始まります。週に一度のペースで,教員と一緒に文献を読む研究室ゼミはそのひとつです。自然科学の知識は我々人類の共通財産ですから,世界中の多くの人が理解できる言語,つまり英語で発表することが通例になっています。必然的にゼミで読む文献は英語論文となり,ここでは特定テーマの知識や理解だけでなく科学英文の読解力を養うことも目標にしています。さらに,日本語で書かれた生態学・進化生物学全般の教科書や,科学研究一般に不可欠な素養である統計学の教科書を自らひも解くなど,研究活動を始めるにあたって必要な知識を身につける努力も求められます。

 実際の調査や実験は,4年に入ってから始まることが普通です。具体的な時期は,研究対象やテーマに応じて異なります。野外の生物を対象にしますから,生活のスケジュールを生物の都合に合わせることが必須となります。調査や実験に入る時期,クラブ活動やアルバイトを優先できないことは言うまでもありません。就職活動や教員採用試験の準備においても,研究活動の支障にならないよう各自の責任で行うことが必要です。所属学生の生活には,最高学府に学ぶものとして,そして,大人としての責任と自覚を強く求めています。

 理科教員として必要な自然科学の真の素養を身に着けるためには,このような科学研究の現場に自ら立ち,真実とみなされる科学的知識が成立するまでの実際を体験することが不可欠だと考えています。あくまで,学問を修めた「結果として」教員となる道が開けること,コースの学生の皆さんはこのことを十分に理解してください。
工藤 慎一


















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