平成12度学会・8月19日の講演会

 開会行事後、溝上泰鳴門教育大学学長の講演「教育改革の展開」がおこなわれました。ここでは、当日の資料と資料にはない部分を若干補って記録として残しておきます。


1 鳴門教育大学の現状
 1981年に開学。来年20周年を迎えようとしている。平成10年に学部の改組を行い、学校教員養成課程に1本化、幼・小・中・養・障、170人の定員が100人になり、スタッフを3名欠員とした。
 徳島県では昨年度の義務教育教員の採用が10名であり、教員の採用も厳しい状態である。今年度の前期の大学院試験では、生徒指導コースは、15名の定員に対して60名以上の応募がある。
 平成13年度より生徒指導コースを教育臨床コースと改称し定員を40名以上とする。学校教育研究センターを学校教育実践センターとし、その中に教育相談室を設け、坂先生を教授として8名の形にする。大学院を修了と同時に、臨床心理士の受験資格が得られるようになる。
 また、定員30名、スタッフが8名で、総合学習開発コースをスタートさせる。2002年の実施に向けて遠隔教育の導入へ持っていく。
 1年制の大学院の開設。来年4月より、教員を休業して履修できる保障がもうけられる。
 今後の課題として、教員のための専門大学(大学院)をと考えている。

 

2 教育改革の展開
 当日の講演資料に基づいて、講演記録で補った要旨を掲載することとする。
(1)成熟化の進展
○生活水準の上昇、物の豊かさ→質の豊かさ→国民のニーズの多様化、個性化→選択の自由の拡大
○個性重視の原則
中学校の選択教科の種類の拡大(第1学年−第3学年)
○高等学校における必修科目の最低合計単位数を縮減し(38単位(普通科)→31単位)、選択学習の幅を一層拡大
高等学校の卒業単位数を80単位から74単位以上に縮減
○高等学校の多様化
総合学科
単位制高校
中高一貫教育校
(2)アメリカの前例
○1970−1980 進学適性テスト(SAT)成績の低下
○原因 選択科目の拡大(カリキュラムの多様化)→生徒の安易な選択
○改善 ・基礎教科(国語、数学、理科、社会科、コンピュータ)の必修化
     ・州のカリキュラム、ナショナルカリキュラムの制定
     ・ナショナルスタンダードの設定(’97年クリントン)
(3)問題行動(教育問題)の対応
○原因・背景
@家庭での幼少時からのしつけの問題
A児童生徒の多様な能力・適性等に十分に対応できない学校のあり方
B他人への思いやりや人間相互の連帯感の希薄化している社会状況
○対策
@一人ひとりを大切にし、個性を生かす教育の実現
 個別指導やグループ指導を充実させるティームティーチング
A教育研修
B教育相談体制の充実
C学校・家庭・地域社会の連携
(4)学校や生徒の実態に応じたカリキュラムの編成
 ユネスコの「秘められた宝」
○学習の意味の理解
@知ることを学ぶ 生涯学習の立場 
A為すことを学ぶ 知識と実践を結びつける ものを作るなどの大切さ
B(他者と)共に生きることを学ぶ 自他相互依存の関係
C人間として生きることを学ぶ 生き方 全人教育
@からCは相互に関係が深い
○社会の変化に主体的に対応できる能力
「総合的な学習の時間」 自ら学ぶことを実践する時間
○樹木の幹とそれを支える根に着目する学習
目に見えているものを支えているものに着目を 子ども全体を見る
以下後日追加します。


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