鳴門生徒指導研究第27号(2017)
Journal of Naruto School Guidance and Counseling,Number 27,2017,August,ISSN 0917-5180

ここでは,学会誌「鳴門生徒指導研究」第26号の論文のタイトル(英文タイトル)・著者名、要約、キーワードを掲載します。


日本語・英文タイトルと著者名および要約

(1)2 0 1 6年の世界の不登校研究の概観 − ERIC およびPsyc INFO の文献から−
           佐藤正道

A Review of the Studies about Non-Attendance at School,School Phobia,and School Refusal in the World(2017)
      :SATO Masamichi

要約
 日本の不登校の問題を考えるうえで, 常に世界の研究に目を向け続けることは必要である。筆者は1 9 8 0 年から1 9 9 0 年までの研究の概観を行い, その継続研究として1 9 9 1 年から2 0 0 2 年まで, および2 0 1 1 年はERIC およびPsyc INFO( PSYCHOLOGICAL ABSTRACTS ) の, 2 0 0 3 年から2 0 1 0 年まではPsyc INFO の, さらに2 0 1 3 年と2 0 1 4 年はE R ICの不登校との関連が考えられるキーワードschool attendance ,school dropouts , sc hool phobia , school refusal を持つ文献を分類してきている。その継続研究として2 0 1 6 年はERIC およびPsyc INFO の文献59件について取り上げ分類し検討を加えた。

Key words : school attendance , school dropouts , school phobia ,school refusal

(2)共同体感覚と生活充実感の関連
                   石丸秀樹・池田誠喜
The Relationship Between Social Interest and Life Fulfillment
                   :ISHIMARU Hideki , IKEDA Seiki
要約
本研究は, 小学生の望ましい発達にかかわり, 共同体感覚と生活充実感の関連について検討することである。研究T では, 小学生版共同体感覚尺度を開発し, 公立小学校4 〜 6 年生計3 2 0 名を対象に生活充実感調査と合わせ, 質問紙を実施した。因子分析の結果,「他者志向」「自己受容感」「所属感」の3 因子で尺度が作成された。研究U では, 共分散構造分析によって共同体感覚と生活充実感の関連モデルを検討し, 共同体感覚から生活充実感への有意な正の関連が示された。この結果から,共同体感覚と生活充実感の関連が明らかとなり,共同体感覚を高めることで, 小学生の生活に対する充実感が向上することが示唆された。

キーワード: 共同体感覚 アドラー心理学 生活充実感

(3)小学校における絵本の読みあいを通した望ましい人間関係づくり
                   三浦 文・小坂浩嗣
An Action Research on Making Human Relations through Interaction by Reading aloud Picture Books at an Elementary School
                  :MIURA Aya , KOSAKA Hirotsugu
要約
本実践研究では、絵本を読む楽しさを他者と共有する経験を通して望ましい人間関係を育成できるような交流活動を学級や異学年で実践し、その効果を検証することを目的とした。Y 小学校6 年生( 27 名) を協力学級として、X 年4月〜 X 年11月の期間に学級活動で絵本の「読みあい」を通した交流活動を計画し、実践した。実践記録の分析結果から、今回の実践は温かい人間関係を育成するための他者と本を読む楽しさを共有する場や社会性を育てるための異学年の交流活動に有効であった。また、絵本の「読みあい」は、相手と関わる喜びを感じながら、自己決定・自己実現を可能にする有効な方法であった。今後の課題には、絵本選びや絵本の借り受けなどの環境整備、教育課程における「読みあい」活動の位置付けの2 点が挙げられた。

キーワード: 絵本、読みあい、人間関係づくり、自己決定

(4)学年集団に焦点を当てた児童の学校適応感分析の試み − 学校適応感尺度アセスを用いて−
                    森 裕二郎・池田誠喜
An Attempt of Analysis of School Adaptation Sensitivity of Elementary School Students Focused  on Grade Group
                   :MORI Yuziro , IKEDA Seiki
要約
本研究の目的は, 小学生の学校適応感についての実態調査を行い, 学年集団に焦点を当てて関連する要因を分析し, 具体的な支援策を検討することである。公立小学校6 年生計9 0 名を対象に学校環境適応感尺度「アセス」( A S SE S S ) を実施し, 学年集団に対する相対的評価と絶対的評価による比較を行った。具体的には, . 学年全体の「アセス」の6 因子のスコア及び因子の得点平均の検討, . 各因子の平均点分布による検討, . 「アセス」の6 つの因子間の相関分析の実施。結果, 学校環境適応感尺度「アセス」( AS SES S ) で想定されているとされている相関構造とは異なる構造が示されため, 学年や調査時期による経過変化も含めた児童の適応状態の検討を行った。この結果を基に, 学校適応感を高めるための支援として, 環境への適応という受身的な取り組みではなく, 積極的な環境への働きかけの可能性が示唆された。

キーワード: 学校適応感 学年集団 「アセス」 ケース分析

(5)多面的・多角的に考える問題解決的な道徳学習についての実践的研究
                   岡田康孝・池田誠喜
A Practical Study on Problem - Solving Moral Learning with Multifaceted and Multilateral Thinking
(provisional )
                  :OKADA Yasutaka , IKEDA Seiki

要約
本研究は, 特別の教科道徳において求められる道徳性を, 資質・能力という視点からとらえ, 特に多面的・多角的に考えることを資質・能力の一様体として, その向上をねらいとした問題解決的な道徳学習の授業実践報告である。小学6 年生13 名を対象として,モラルジレンマ資料により,内容項目4 -( 3 ) 及び2 − ( 3 ) を主として扱う授業を2 単位時間の構成で行った。中心的な学習活動として, マトリクス表を用いたグループでの共同学習を設定した。授業の効果検証は、それぞれの時間ごとの児童のワークシートやふりかえりの記述のデータを分析する方法で実施された。結果, モラルジレンマ資料を用い, 児童の主体的な学びを促す学習を構成し, 多面的・多角的な検討と,合意形成を要請する活動を取り入れたことで,児童の多面的・多角的に物事を考える力と, 道徳的な考え方に高まりが認められた。

キーワード: 道徳科 多面的・多角的 合意形成 問題解決




このページに掲載された内容および原著論文はすべて鳴門生徒指導学会(THE NARUTO ASSOCIATION OF SCHOOL GUIDANCE AND COUNSELING)に帰属するものである。

Copyright 2000-2017 Naruto Association of School Guidance and Counseling:Last Updated 2017.10.02